再販大手 も黒字化に向けてスピードアップ:利益率の低い商品の排除や買い手ターゲット変更

DIGIDAY

5月9日、再販最大手のスレッドアップ(ThredUp)とザ・リアルリアル(The RealReal)の2社が決算を発表。両社の決算説明会では共通のテーマが明らかになった。それは収益性に重点を置くというものだ。

スレッドアップは今年の第4四半期までに黒字化を達成する計画で、かたやザ・リアルリアルは2024年度までに黒字化を達成するという予測を再確認した。両社はその目標に到達すべくそれぞれ異なる計画を立てている。

企業が何年も利益を出さずに惰性で成長する時代が終わったことは明白である。再販もまた、この10年でもっとも話題になった新しい産業であるにもかかわらず、そのプレッシャーを感じている。

再販の最大の問題はマージン

再販には、収益性の確保を特に難しくしている固有の問題がいくつかある。収益性の高いハンドバッグ再販会社ファッションフィル(Fashionphile)のCEO、ベン・ヘミンジャー氏は、最大の問題はマージンだと言う。

「再販のマージン構造は異なっている」とヘミンジャー氏は述べた。「製品を大量生産しているわけではないので、ユニットエコノミクスは我々の側にはない。販売される商品は基本的にそれぞれ別のSKU(在庫管理単位)となる。Jクルー(J.Crew)なら、1枚のTシャツに値段をつければそれが1万枚に及ぶが、我々はそれを1万回行わなければならない。そのため1回の販売にかかるコストが高くなり、利益を得ようと思うならマージンをより高くしなくてはならない」。

2021年に売上高4億ドル(約544億円)を達成したファッションフィルは、1999年のローンチ以降、黒字を維持しているとヘミンジャー氏は言う。ビジネスのコストを上回る最低販売価格を確保していることが大きな要因だ。ヘミンジャー氏によると、再販は高い価格帯がもっともうまくいく。再販で何かを売るためのコストは販売価格に関係なくすべて同じだからだ。ラグジュアリーな価格帯が関与すればマージンはもっとよくなる。たとえば、25ドル(約3400円)のTシャツを撮影するのも750ドル(約10万2000円)のハンドバッグを撮影するのも撮影費用は変わらないが、後者の方が高いオペレーションコストを相殺するので、1回の販売で確実に多くの価値を得ることができる。

高価な商品とその買い手にフォーカスするスレッドアップ

そうはいっても、再販の競争が激しくなるなか、プラットフォームはいまなお買い手と売り手の双方にとって競争力のあるレートを提供する必要がある。利益率の向上とコスト削減を実現する可能性のひとつが、グッドウィルファインズ(GoodwillFinds)が行っているような商品価格設定の自動化だろうが、これはまだ浸透していない。

スレッドアップのCEO兼共同創業者のジェイムズ・ラインハルト氏は決算説明会で、予算を気にする消費者、つまり価値の低い服を買い、できるだけ安い値段で入手するために再販でしか買い物をしない消費者からの支出が減少していることを明らかにした。こうした買い手は全体的に支出を減らしていると、ラインハルト氏は指摘している。その代わりスレッドアップでは、より高価な商品とそれを求める買い手にマーケティングとメッセージングを再集中させることになるだろうと同氏は述べた。

スレッドアップは、ゆっくりとではあるが黒字化に向けて前進している。2023年第1四半期の損失は、その前の四半期の2000万ドル(約27.2億円)に対し、1900万ドル(約25.8億円)だった。

「消費者環境が大きく揺れ動いていても、我々のマーケットプレイスを柔軟に変化させ、戦略的な成長機会に投資し、収益性に向けて前進する当社の能力に自信を持っている」とラインハルト氏は決算説明会で述べている。

ザ・リアルリアルは積極的なコスト削減で黒字化を目指す

ザ・リアルリアルでは、全体の売上は前年同期比で3%減少したが、売上総利益は1100万ドル(約15億円)増加した。決算説明会において同社のCEOジョン・コリル氏は、積極的なコスト削減を行うことによる黒字化への強い推進力を強調した。そこにはホームグッズを含む不採算部門の廃止、従業員の解雇、ザ・リアルリアルの売上高をさらに増加させるためのコミッションの再構築などが含まれている。

「利益率の低い直販事業を縮小したことで、マージンに多大な影響を与えることができた」とコリル氏は述べている。「当社のコミッション構造の変更は、不採算だった100ドル(約1万3600円)以下のアイテムの販売を重要視しないという効果もあった」。

[原文:Resale companies seeking profitability are eliminating low-margin products]

DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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