「 Amazon には出店しない」はもう古い?:オンライン新興企業が Amazon を活用するための新プレイブック

DIGIDAY

こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
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成長中のブランドとAmazonとの関係は、この2年間で変化を遂げた。

「アウェイ(Away)についての記事をずっと前に読んだことがある」と、ボディケアブランドのキュリー(Curie)の創業者兼CEOのセアラ・モレ氏は述べる。「その記事で、彼らはAmazonには決して出品しないと話していた」。これは、スタートアップ業界全体で広く共有されていた意見だった。しかし現在では「すっかり変化した」と、同氏は述べる。

同氏は、米モダンリテールが4月11〜13日に開催したモダンリテールコマースサミット(Commerce Summit)に参加して、成長中のブランドがAmazonに抱いている認識の変化について語った多くの創業者のひとりだ。ほんの少し前まで、Amazonについての問いは「出品するべきか否か」という二択だった。現在は、「もし出品するとしたら」ではなく「どのように出品するべきか」が問題なのだ。デジタルネイティブなブランドの創業者たちが、Amazonのチャネルと、成功のために必要な新しいスキルについて、どのように再考しているのか、概要を以下に示す。

参加に必要な新しい条件

キュリーの商品はAmazonで販売されている。デオドラントやほかのボディケアの商品を販売している同社は、オンライン販売のほとんどは自社のD2Cチャネルで行っている。しかし、2020年後半、モレ氏はAmazonにも出店する必要があることを認識した。その理由は、消費者の単純な買い物のパターンだった。「2、3カ月に一度、デオドラントを購入するためにウェブサイトを見るというのは普通の行動ではないと思う」と、同氏は述べている。また、Amazonではよく品切れになるが、商品が販売されているときにはキュリーの合計収益の20%程度を占めるほどだ。

「Amazonは世界最大のショッピングモールだ」と、グラビティブランケット(Gravity Blankets)やキャンドルブランドのホームシック(Homesick)などの新興企業を保有しているウインブランドグループ(Win Brands Group)の創業者兼CEOのカイル・ウィドリック氏は述べる。「Amazonで販売しないわけにはいかない」。

同氏は、主にShopify(ショッピファイ)で販売するブランドに特化しているが、Amazonは成長を求めるときに見過ごされることが多いチャネルのひとつだとしている。多くの新興企業はD2Cチャネルに過剰に偏っている一方、卸売やAmazonを活用する方法を見つけだしていない。「これらのビジネスを持続的に成長させるには、D2C、Amazon、卸売の3つがすべて必要であることがわかった」と、同氏は述べている。

ウィドリック氏は次のように述べている。「問題は、そのビジネスをShopifyでどれだけの規模にすることができるのか、ということだ。多くの場合、ブランドがShopifyで1000万(約13億4000万円)、2000万、3000万ドルという直接収益を獲得したら、Amazonでさらなる展開を求めるべき時期だ」。

ブランドを活用した販売

最近起きたもっとも大きな変化のひとつは、Amazonプラットフォームにおけるブランドの役割を理解することだ。長きにわたって、Amazonは利益率での勝負、すなわちできるだけ低いコストで大量に販売するものだと見なされてきた。

ウィドリックによれば、これが最近のAmazonアグリゲーターの台頭を招いた。多くのアグリゲーター企業が、アマゾンのSKUのうち業績の良いものをすくい上げ、集金マシンに変えると約束して何十億ドルもの資金を調達してきたのだ。

問題は、「これらの業者がブランド商品を保有していなかった」ことにあると、ウィドリック氏は語る。同氏は、Amazonで重要なのはプレミアムな業者になることだとしている。「ブランドによる店舗、ブランドでアプローチする方法と競合することになる。ブランド商品は、それほど多くの顧客を獲得することはできないが、より多くの利益を上げられる」。

ハイエンドのランチバッグを製造しているモダンピクニック(Modern Picnic)も同様のアプローチをとっている。創業者でCEOを務めるアリ・カミネスキー氏は、「我々は、厳選された品揃えで販売を開始した」という。この厳選によって、同社はAmazonでブランドの評価を高めることができた。昨年後半の発売以降、同氏は、ほかの類似したバッグが売られていることに気付いた。「これらは模造品だ。当社のものと同じ品質ではない」。

さまざまなオンラインショッピングのパターン

ブランドがすべての商品をAmazonのプラットフォームで販売していないとしても、さまざまな種類の買い物客に対応することは必要だ。

「当社のウェブサイトでは、返品率がきわめて低い」と、カミネスキー氏は述べる。しかしAmazonでは返品率が大幅に高くなる。「人々は単にプライム(Prime)で購入し、何も考えていない」と、同氏は述べる。

同氏は、この問題に対処する方法をまだ見いだしていないが、返品率を下げるために役立つような新しい商品の説明や画像を作りだそうと試みている。「Amazonはまったく異なる世界だ」と、同氏は述べる。

しかし、このような類いの無思慮な買い物客は、特定のカテゴリーの新興企業にとっては有益なことが証明されている。キュリーのモレ氏は、多くの人は、各ブランドの個別のウェブサイトに行くよりも、何かを買った後はそのことを忘れたいと考えていると、述べている。

「特に消耗品を販売している場合、非常に簡単だ。何百万人もの買い物客に接することになる。誰もがAmazonを利用しているからだ」と、同氏は述べている。

[原文:Amazon Briefing: The new Amazon playbook for growing online startups]

Cale Guthrie Weissman(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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