Z世代は 中古品 に抵抗がない。AIを活用し進化する再販へ:グッドウィルファインズのCEOマット・カネス氏

DIGIDAY

マット・カネス氏には、モッドクロスのCEOやアーバンのチーフストラテジーオフィサーを8年間務めるなど、eコマースに重点を置いた幅広い小売の経歴がある。昨年末から、同氏は新しいオンラインマーケットプレイスであるグッドウィルファインズのCEOとして、小売業で急成長している再販部門に専念している。

マット・カネス氏には、モッドクロス(Modcloth)のCEOやアーバン(URBN)のチーフストラテジーオフィサーを8年間務めるなど、eコマースに重点を置いた幅広い小売の経歴がある。昨年末から、同氏は新しいオンラインマーケットプレイスであるグッドウィルファインズ(GoodwillFinds)のCEOとして、小売業で急成長している再販部門に専念している。

「我々はテクノロジー・ベンチャーだ」と、カネス氏は最新のGlossyポッドキャストでグッドウィルファインズのビジネスモデルについて説明した。同社の技術的な焦点は、「売り手が(商品を)すばやく出品できるようにするため、そして顧客の獲得と維持のため、また(パートナーの)グッドウィル(店舗のオーナー)に向けた梱包や配送、アウトバウンド物流をサポートするため」の独自のツールを構築することだ。

カネス氏がグッドウィルファインズの経営に興味を持ったのは、ひとつにはタイミングがある。「Covidから抜け出して、Z世代の消費者は中古品になんの恥ずかしい気持ちも持たないと言っている」と同氏は述べた。「それが多くのテクノロジーの進歩と相まって、再販が利益を生むまでの規模へと成長した」。

グッドウィルファインズ自体も、目を見張るほどスケールアップしている。カネス氏によると、現在このマーケットプレイスは、サステナビリティ重視の買い物客をターゲット層としつつ、価値重視の買い物客とトレンド重視の買い物客を引きつけている。ローンチ以降、25万人のサブスクライバーのeメールデータベースを構築し、さらに年内に100万点の商品を同社のeコマースサイトで提供する方向に向かっている。現在、正社員は20名で、2023年末までに新たに20〜30名が入社する予定だ。

以下では、ポッドキャストで語られた内容のハイライトを、読みやすさのために若干編集して紹介する。

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AI駆動型の価格設定

「AIが活用されているのは、何よりもまず価格設定だ。再販はすべて一点ものなので、おそらく価格設定がこのカテゴリーで乗り越えなければならない最大のハードルだ。何十万点ものアイテムがある場合、それぞれどのように価格設定すればいいのか? そこでテクノロジーを活用する必要がある。AIはカタログや販売履歴を横断的にチェックするのに非常に効率的だし、それに加えてウェブ上で似たようなアイテムが掲載されている場所をスクレイピングし、商品の価格やそのほかの詳細情報をリアルタイムでレコメンドすることができる。ローンチした際、当社の価格設定はバラバラで、それは起こるべくして起きたことだった。だが、これらのモデルを構築し、我々もより賢くなり、AIが可能にすることを活用するうちに、価格設定も改善されてきている。

またカタログ全体の価格設定もある。(たとえば)いつ値引きするか? いつプロモーションを行うのか? ユーザーエクスペリエンスにどのレコメンデーションを取り入れるのか? おそらくマーケットプレイスのもっとも重要な機能は流動性で、そこで需要と供給のマッチングを図る。したがって売り手を拡大し、カタログを成長させ、顧客を獲得して買い手のリストを成長させる際には、いちばん売れているカテゴリーともっとも購入している顧客を一致させるだけでなく、顧客とカタログのアイテムのロングテールが一致することも確認しなくてはならない。AIならこうしたデータモデルを活用して、引き続きカタログの回転率を上げて流動性を牽引していくために、どこでレコメンドや商品のプロモーション、プライシングアクションを使ってコンバージョンを促進できるのか、すばやく把握できるようになる」。

究極のブランドパートナーになる

「当社のサイトをいま見ると、ナイキ(Nike)、パタゴニア(Patagonia)、ルルレモン(Lululemon)、フリーピープル(Free People)、カーハート(Carhart)、リーバイス(Levi’s)などが売られている。このように、人々に愛され、長く販売されてきた大手の成功したブランドは、中古品も市場に多く出回っている。そこで、こうしたブランドと協力して当社のプラットフォーム上にブランドショップーーgoodwillfinds.comの後にスラッシュでブランド名がくる形のショップーーを設置し、寄贈されたなかからブランドの商品をキュレーションして取り出すという世界を作ることを思い描いている。そうすることで、消費者にとってはブランド体験が可能となり、当社はブランドが責任を持って処分したいと考える生産終了品に関してブランドと協働できる。そしてブランドは、地元のグッドウィルの実店舗や寄贈センターと提携し、当社のプラットフォーム上のブランドショップに商品を掲載できる。ブランドにとっても、顧客にとってもメリットがあるし、これが供給と販売の原動力となって地域のグッドウィルの店舗にさらに還元されるので、当社のミッションにもメリットがある。また、いずれはブランド側にとって、顧客に捨てるのではなく、寄付を促したり、そうすることでインセンティブを与えたりするといった、製品寿命について考える戦略となるだろう」。

優れたブランドになる素質

「私は(これまでのキャリアで)ふたつのことを学んだ。ひとつは、優れたブランドは焦点を絞り、広くアピールするということ。そのためにこれまで関わってきたどの企業でも、現在の顧客を掘り起こすことが自分にとって当たり前のことであり、顧客が何を求めているのか、どんなフィードバックがあるのか、もっと改善してほしい、もっとやってほしいと思っていることは何か、ブランドの約束に沿ってちゃんと実行ができているかなど、いつも本当に頭を悩ませている。だが同時に、顧客体験や提供する製品、顧客価値を向上させながらスケールアップできるほど十分大きな市場にアピールするには、幅広くブランドストーリーを伝えていかなくてはならない。ふたつめ(の哲学)は、今いない顧客を獲得しようとして、今いる顧客を切り捨てるなということ。私の経験からすると、これは変革を試みたり急成長しようとしたりする際、多くのブランドや小売業者が長年にわたって犯してきた大きな過ちだ」。

[原文:GoodwillFinds CEO Matt Kaness: ‘Great brands have a narrow focus and a wide appeal’]

JILL MANOFF(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)


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