TikTok で新しい香水を探す。BIPOCが創業したフレグランスブランドが増加傾向に

DIGIDAY

ベビーブーマーのような前世代のフレグランス消費者と比較すると、ミレニアル世代とZ世代の買い物客は、ヘリテージではないフレグランスブランド、特にBIPOC(黒人、先住民、有色人種)が創業したブランドを受け入れる傾向が強くなっている。これは、買い物のしやすさ、ブランド認知度、BIPOCが創業したフレグランス企業への社会的・経済的支援といった要因によるところが大きい。

消費者行動分析会社サーカナ(Circana)の担当者は、黒人が創業したフレグランスブランドの流通が、2021年から2022年にかけて美容量販店全体での販売個数で9%以上増加しており、同時期のフレグランス市場全体の割合の3倍になったと指摘している。小売店のサポートや棚スペースが以前よりも増えているためだ。

また、消費者行動調査会社スペート(Spate)によると、2015年にビー・シャピロ氏が創業したエリスブルックリン(Ellis Brooklyn)や、2021年にクリセル・リム氏が買収したフラー(Phlur)といったアジア系アメリカ人所有のフレグランスブランドに対する消費者の関心も急増している。2023年2月の時点で、エリスブルックリンのGoogleでの月間検索回数は平均1万1500回で、前年比19%増となっている。一方、フラーの月間検索回数は平均5万9800回で、前年比205%増だ。

化粧品市場調査会社ミントイロ(Mintoiro)の創業者であるジェニファー・カールソン氏は、インスタグラムでもっとも検索された上位50ブランドについて毎月調査を行っている。カールソン氏は、トップ50にランクインしたBIPOC創業のフレグランスブランドの割合が、2023年9月から2023年3月までのわずか半年間で18%から26%に跳ね上がったと指摘した。

消費者はTikTokで新しい香水を発見している

米国の美容市場でBIPOC創業のフレグランスブランドが急増している背景には、フレグランスのオンライン販売の増加に併せて#PerfumeTokや同様のハッシュタグが増大しているなど、いくつかの要因がある。

かつてのフレグランス消費者は、ノードストローム(Nordstrom)やセフォラ(Sephora)といった美容専門店や大手小売店で購入できるブランドにアクセスが限られていたが、今日のフレグランスの買い物客はキーボードを数回タップするだけで、何百ものブランドにアクセスできる。

ニールセンIQ(NielsenIQ)が2023年3月に発表したレポートでは、2022年のオンラインフレグランス市場の規模は30億ドル(約4025億円)で、前年比21.4%の成長を記録している。その一方で店頭でのフレグランス市場は10億ドル(約1342億円)と、前年比2.9%の成長率にとどまっている。

また最近の消費者は、ビルボードやテレビ広告で新しい香水を発見するのではなく、数百万から数十億ビューを集めている #PerfumeTokのようなハッシュタグなどを活用し、TikTokで新しい香水を見つけるようになっている。

TikTokの担当者は、もっともトレンディなフレグランス関連のハッシュタグの最近のビュー数を共有した。#PerfumeTokは26億ビュー、#PerfumeTikTokは61億ビュー、#FragranceTokは6億5400万ビュー、#FragranceTikTokは13億ビューとなっている。

NPDグループ(NPD Group)の2022年フレグランス消費者レポートによると、米国におけるソーシャルメディアが牽引したフレグランス購入のうち、TikTokが占める割合は45%で、2021年と比較して15ポイント増加している。

オンラインのフレグランス買い物客は、香水を直接嗅ぐことはできないが、それがどのような香りで、誰に合っていそうなのかという全体的な感触をつかむことができる。通常それは、フレグランスのノートや香りの持続時間など、詳細に関するインフルエンサーの説明に基づいている。TikTokのフレグランス分野で重要なインフルエンサーには、ファンミ・モネ氏(@funmimonet、フォロワー数36万6400人)、@blackgirlssmellgoodのマイヤ・ニコール氏(フォロワー数14万1000人)、TikTokのクリエイターマーケティングのグローバルヘッドで@sircandlemanとしても知られているクジ・チクンブ氏(フォロワー数9万3000人)らがいる。

TikTokは、従来はタイムズスクエアのビルボードやドラマチックなテレビ広告で宣伝されてきたヘリテージブランド以外の新しいブランドを消費者が発見できる、豊かな情報源となっているのだ。

母親世代とは違う新しい香りを求める若い消費者

クレドビューティ(Credo Beauty)で販売されている初の黒人所有のフレグランスブランド、ムードゥー(Moodeaux)の創業者ブリアナ・アープス氏によると、「Z世代は、半裸の男がビーチで走り回っているような広告にうんざりしている。『これに一体どういう意味があるのか? この香りの何を教えてくれるのか?』と思っている」。

韓国にインスピレーションを受けているフレグランスブランド、エロレア(Elorea)の創業者であるスー・ミン・パーク氏とウォニー・リー氏もまた、現代のフレグランスの消費者は、ブランドメッセージにおいてより信頼性のあるアプローチを評価しており、以前の世代ほど「シグネチャーフレグランス」という概念に強く結びついていないと考えている。

「(フレグランス消費者は)母親の香水を思い出させるような、すでに市場に出回っている製品よりも、もっと魅力的な製品を見つけたいと思っている。私たちのような小規模なブランドのよい点は、耳を傾け、順応性があり、顧客からのフィードバックがあれば新たなものを導入できることだ」と、パーク氏は言う。

リー氏も次のように付け加えた。「トレンドに敏感な若い消費者はバラエティ、つまり新たな時代の異なる香りを求めている。古い世代はシグネチャーな香りを求めていた。これはソーシャルメディアが普及し、情報が増えたからだと思う」。

Z世代を中心としたインフルエンサーインキュベーターおよびコンテンツ制作会社のカイラ(Kyra)が発表した2022年Z世代の美容レポート(The 2022 Gen Z State of Beauty Report)では、Z世代の消費者の60%以上が3種類以上のフレグランスを所有し、16%が6種類から9種類のフレグランスを所有していることが示されている。ひとつのシグネチャーな香りにこだわるよりも、Z世代の消費者はフレグランスのワードローブを作りたいと考えているのだろう。

BLM以降、黒人が創業したブランドへの関心や消費が高まっている

また、2020年のブラック・ライブズ・マター(BLM)運動の高まりといった政治的かつ社会的な大きな出来事の後、BIPOCが創業した美容ブランド、特に黒人が創業したブランドが全体的に増加していることも、BIPOC創業のフレグランスが増加している大きな要因となっている。また、社会正義改革の必要性に動機を与えることに加え、BLM運動は「黒人から購入する」傾向の増加、または特に黒人が経営する企業を支援して購入する黒人の米国市民の増加にもつながった。

消費者市場調査会社インサイダーインテリジェンス(Insider Intelligence)が発表したレポートでは、米国人の約3分の1にあたる10人に6人の黒人消費者が、黒人が経営する企業をひいきにする可能性がある。2021年から2026年にかけて黒人消費者の消費力は25%以上急増し、白人消費者の消費力を約4ポイント上回ると予想されていることを考えると、これは特に注目すべき点だ。

フレグランス業界における黒人調香師の教育と普及のためのオンラインリソースガイド、blackperfumers.comの創設者であるエル・N氏は次のように語る。「この世代は新しいことを試し、実験し、探求することにオープンだ。黒人が経営するフレグランスブランドへの関心(の高まり)は、2020年に注目されたことに対する反応だ。香水は芸術、歴史、科学、遺産など、非常に多くが交差するものを結びつけ、古代エジプトから現在にいたるまで、黒人はつねにフレグランスに関わってきた。肌につける製品、ボディバターやオイル、ヘア製品、香水など、私たちは頭のてっぺんからつま先まで香りに包まれている。そして今、(黒人の間では)消費者になるだけでなく、フレグランスの創造や生産にもっと深く関わりたいという願望がある」。

NPDグループ(NPD Group)によると、香水やその他のフレグランス製品を身に着けているのは、米国の全人口で78%であるのに対し、黒人とヒスパニック系の消費者では85%以上となっている。ニールセンIQが2023年2月に発表した調査では、2022年の米国における黒人消費者によるオムニチャネルのフレグランス売上は15億ドル(約2012億円)に増加、2021年の同時期と比較して数量では32%増を記録した。

BIPOC経営ブランドに対するさまざまな取り組みも後押し

2020年以降、BIPOCが所有・創業するフレグランスの増加につながるいくつかの社会的取り組みが行われており、そのひとつに2020年にオーロラ・ジェームズ氏が作成した15%の約束(15 Percent Pledge)がある。この誓約は、小売業者が棚面積の15%を黒人所有のブランドに割くことに同意するというものだ。また、2021年10月には、フレグランス財団(The Fragrance Foundation、TFF)が#FragranceForwardTFFという取り組みを開始した。このイニシアチブはファッション工科大学(FIT)における初のフレグランスの多様性奨学金プログラムを中心としており、学部生と大学院生に毎年10万ドル(約1341万円)を提供する。またTFFは、全米の歴史的黒人大学(HBCU)や同様のマイノリティ支援組織で、フレグランスのキャリア開発ワークショップシリーズをローンチした。

さらなる例として、もともとは2016年にローンチされたセフォラ・アクセラレート(Sephora Accelerate)がある。このブランドインキュベーションプログラムでは、半年間のカリキュラムにメンターシップ、マーチャンダイジングサポート、助成金が提供される。このプログラムに参加した2023年の創業者には、フレグランスブランドのムードゥー創業者ブリアナ・アープス氏や、ブラック・イン・フレグランス(Black in Fragrance)と名づけられた黒人調香師のための助成金イニシアチブプログラムがある。また、ブラウンガールジェーン(Brown Girl Jane)のマライカ・ジョーンズ氏、タイ・ボーチャンプ氏、ニア・ジョーン氏も参加している。

[原文:BIPOC-founded fragrance brands are on the rise]

NICOLE KIRICHANSKAYA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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