DE&I の公約を掲げる米メディア各社、新規採用は以前としてほぼ白人

DIGIDAY

パブリッシャーたちは徐々に、従業員の多様性に関する最新の報告書を公開している。コンデナスト(Condé Nast)、ハースト(Hearst)、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)、ヴァイス・メディア・グループ(Vice Media Group)、ヴォックス・メディア(Vox Media)といった企業では、前年に比べて従業員構成が多様化されている一方で、それでも新規の雇用では主に白人を雇用していることが分かる。

2020年5月のジョージ・フロイド氏殺害事件をきっかけに、メディア業界における多様性に関する深刻な問題にも注目が集まり、ジャーナリストや読者は、パブリッシャー各社に組織の多様化を求めた。メディア企業は、多様性、平等、包摂イニシアチブ(DE&I)に焦点を当てたエグゼクティブを雇用し、メディアとして彼らが情報を提供しているコミュニティの多様性をより社の従業員構成に反映するため、目標をいくつか設定した

このほど公開された従業員の多様性に関する報告書のデータを、米Digidayがトラッキングしたものはこちらを参照してほしい。ただし、ガネット(Gannett)はスタッフの多様性に関する最新の統計を公開したものの、新規雇用者の多様性については明らかにしなかった。

ハーストは、「多様なバックグランドを持つ人々」の採用率を前年比で2ポイント増加させたが、新規採用者の大半は依然として白人だった。ほかの4つのパブリッシャーについても、前年に比べて2022年の方が採用における白人の割合が大きかった。そして、最近の新規採用者のほとんどが白人であった。

新規採用者の多様性は低下

コンデナストでは、2022年のアメリカにおける新規採用者のうち、有色人種だったのは39%で、前年の41%から減少した。新入社員のうち、自己申告で白人とされたのは49%で、2021年の45%から上昇した。12%は「未申告」とされている。コンデナストは2020年に、採用候補者の50%を「幅広いバックグラウンドと出身校」から選ぶという目標を設定している。アメリカでの新規採用者のうち、75%が女性で、2021年から4ポイント上昇した。

ハーストでの新規採用は、2022年には59%が白人で、2021年の61%から減少した。女性の採用比率は減少しており、新規採用の48%が女性で、前年の51%から減少した。

ニューヨーク・タイムズでは、昨年の新規採用のうち、44%が有色人種であり、2021年と比べて10ポイントの減少と大きな差を見せている。56%が女性、43%が男性、1%がノンバイナリーであった。2021年は新規採用のうち、62%が女性だった。

同社は報告書で、「2025年までにリーダーシップ職における黒人のレプリゼンテーションを50%増加させる」という目標をすでに達成し、「タイムズはこの進歩をさらに推進し、ラティーノ(ラテンアメリカ諸国にルーツを持つ人々)の雇用者に関してもこのリーダーシップ目標を達成する予定だ」と述べている。タイムズの報告書によると、2022年のリーダーシップのうち7%が黒人で、前年比1ポイント増加した。ヒスパニック/ラティーノのリーダーシップの比率は前年と変わらず5%だった。

ヴァイス・メディア・グループ(以下、VMG)の新規採用は、2022年には白人が54%で、2021年の47%から上昇した。昨年の北米でのVMGの新入社員の多数が女性だったが、前年比1ポイント減の65%に縮小した。同社では、過去1年間の新規採用のうち、44%が有色人種と自己申告し、前回の報告結果である50%から減少した。

全体的な改善には積極的

ガネット、ハースト、VMG、ヴォックスは、前回の報告と比較して、各社従業員の多様性を1ポイント改善した。コンデナストでは白人従業員の割合が2ポイント減少し、ニューヨーク・タイムズでは4ポイント減少した。

ガネットでは、2023年1月1日現在、従業員の71%が自己申告で白人だった。「当社はインクルージョンを先導し、従業員の多様性をめぐる取り組みに積極的だ」と同社のインクルージョン戦略シニア・ディレクターであるラトーヤ・ジョンソン氏はメールで述べた。

「労働力に対する理解を深め、ビジネスのあらゆる側面にインクルーシブを組み込むことで、所属感のある文化を強化している」とも話し、ガネットの広報担当者からは、「多様性は最優先事項であり、人材の確保と魅力向上の取り組みが改善を示していることを強調したい」と付け加えられている。

2022年のコンデナストでは、アメリカの従業員の32%を白人以外が占めており、前年と同じ絵割合だ。全体として、白人の従業員は62%で、2ポイント減少している。

一方でハーストの従業員の70%が白人で、前年の71%から減少している。「我々は着実に進歩を遂げており、ブランド全体で人種や民族の代表性(レプリゼンテーション)をより均衡にするために積極的に取り組んでいる」と同社の広報担当者は述べている。

ニューヨーク・タイムズの従業員は現在56%が白人だ。2021年には60%であったが、やや低下した。

VMGの米国の従業員は現在58%が白人であり、ヴォックス・メディアの従業員は59%が白人だ。「採用が制限された時期にもかかわらず、多様な候補者からの採用に引き続き取り組んでいる。また、DEI+の取り組みは、すべてのバックグラウンドの人々がここで歓迎され、祝福されるように、単なる新規採用を超えたレベルで焦点を当てている」とヴォックスの広報担当者は述べている。

[原文:Despite DEI promises, media companies are still mostly hiring white people

Sara Guaglione(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)

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