「商品の特長には誰も注目していない」:パーソナルケアの キュリー 創業者セアラ・モレ氏がQVC出演で学んだブランド成長のカギ

DIGIDAY

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パーソナルケアブランドのキュリー(Curie)は、一見従来型のD2Cブランドのようだが、伝統にとらわれないさまざまなチャネルによって成長してきた。

一例として、同社はQVC(キューブイシー)で10回以上取り上げられたことで、新しい熱心なオーディエンスにリーチすることができた。さらに、同社の創業者でCEOを務めるセアラ・モレ氏は、シャークタンク(Shark Tank)に出演してブランドを売り込み、それによってバーバラ・コーコラン氏との契約で売上を増やしたほか、バイラル化による売上も獲得した。

「シャークタンクで放送されて以来、当社は10倍に成長した」と、モレ氏は述べる。

同氏は4月11〜13日にニューオーリンズで開催された、米モダンリテールのコマースサミット(Modern Retail Commerce Summit)に登壇した。その模様は録音され、米モダンリテールのポッドキャストのエピソードとして配信されている。このセッションでモレ氏は、D2C中心のビジネスをほかの小売業者を包めて成長させた方法や、オンラインのパーソナルケア企業であることの試練や苦難について語る。

キュリーは最初の頃、オンラインでのみ販売を行っていた。現在は、同社の製品がアンソロポロジー(Anthropologie)、ノードストローム(Nordstrom)、ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)で販売され、この夏には大手小売業者とのパートナーシップがローンチする。しかし、同社を重要な存在に押し上げ、もっとも大きな売上増加をもたらしたのは、シャークタンクではなくQVCだ。

「当社は2021年にはじめてQVCで放送された。私は15回から20回放送に出演した。それが私のビジネスを大きく変えた」と、モレ氏は語る。

しかし、QVCでの販売は、カメラを見つめて「これを買ってくれ!」と言えばいいというものではない。モレ氏は、自社の商品を売り込む方法や、商品をオーディエンスにとって真に魅惑的にする方法を学びなおす必要があった。「QVCから教えられたのは、商品の特長については誰も注目しないということだ。オーディエンスが気にするのは、自分たちのためにその商品が何をできるのかだということだ」と、同氏は述べている。

モレ氏はその知識を活かして、キュリーのブランドをさらに成長させた。そして、モレの出発点であるデジタルの枠を超えて会社を拡大することに注力している。その多くは、マーケティングに関連するものだ。キュリーは何年にもわたり、Facebook広告を中心に販売してきた。しかし現在、モレ氏はより多くの人々にブランドを認知してもらう方法として、トップオブファネルへの注力が必要だと理解している。

「当社はブートストラップ経営で、利益をあげており、すべての意思決定において、ROI(投資収益率)を非常に重視している。そのため、これらのPPC(クリック報酬型)広告への依存を減らすという考えは、当社にとって大きな転換を意味する」と、同氏は述べている。

対談からいくつかの要点を紹介する。これらは明瞭化のため多少の編集を加えたものだ。

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キュリーの3つの大きな変曲点

「この4年間、私がキュリーを運営してきたなかで、もっとも大きな変曲点のひとつは、Covidのあいだに手指消毒剤の取り扱いに転向したことだ。人々が本当に必要としている商品を扱い、商品と市場がぴったりと適合することを経験したのは、これがはじめてだった。生産が追いつかなかったのが最大の問題だった。これは私が経験した最初の成功だった。それまでに私は地道に努力し、それなりの成長を達成していたが、爆発的な売上はなかった。2つ目の変曲点はQVCだった。当社は2021年にはじめてQVCで放送された。私は15回から20回ほど放送に出演し、それによって私のビジネスは大きく変化した。3つ目の最大の変曲点はシャークタンクだった。シャークタンクは、一夜にしてビジネスを本質的に変えてしまうのだ」。

QVCで販売するための学習

「QVCはトレーニングを行う。放送の前に2日間のトレーニングがあり、誰が顧客なのかを教えるだけでなく、販売のトレーニングも行う。同社は、商品を販売する方法、カメラの前で話す方法、説得力を持つ方法について教えてくれる。これはちょっとしたMBA(経営学修士)のようなものだった。同社は人々の心理などを非常に重視していて、非常に興味深かった。QVCは、多くの顧客と収益を当社にもたらしてくれたが、私がQVCから学んだもっとも重要なことは、自分たちの商品について語る方法だと思う。QVCで教わる前は、当社はアルミニウムを使用していない、クリーンな材料を使用している、ココナッツオイルやクズウコン粉を使用していると宣伝していた。QVCから教わったのは、商品の特長については誰も注目しないということだ。顧客が気にするのは、自分にとってその商品がどう役に立つのかということだ」。

ブランドマーケティングの新しい注目点

「現在、当社の販売のほとんどはFacebookの広告によってもたらされている。当社の顧客獲得の多くは、Facebookや、インスタグラム、Googleによるものだ。そして、もちろんシャークタンクもいまだに多くの売上をけん引している。また当社にはフィットネススタジオがあり、QVCを多少使用している。そして、これらは実際に当社のメインチャネルでもある。8月には、はじめて大手小売業者での販売を開始する。そして今、D2Cの枠を超えてブランドを成長させる方法やブランドへの認知を広める方法を考えている。これは当社がこれまで特化したことがなかったことだ。当社はブートストラップ経営で、利益をあげており、すべての意思決定において、ROIを非常に重視している。このため、これらのPPC広告への依存を減らすという考えは、当社にとって大きな転換を意味する」。

[原文:Curie founder Sarah Moret on leveraging QVC to be a national brand]

Cale Guthrie Weissman(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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