OBSでSwitch/PS5のゲーム配信する方法をまるっと解説!設定とか機材はどうすればいい? ~Elgatoのキャプチャデバイス「HD60X」なら、HDRも4KもVRRもイケる![Sponsored]

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Elgatoのキャプチャデバイス「HD60 X」。実売価格は2万5,000円前後

 5月にはNintendo Switchで「ゼルダの伝説」シリーズの最新作が、6月には「ストリートファイター6」が発売されるなど、eスポーツ系のゲームもまだまだ盛り上がりを見せており、PS5/PS4を含めた家庭用ゲームタイトルでの配信に今こそチャレンジしてみたいと考えている人は多いだろう。

 PCを使って家庭用ゲームタイトルを本格的に配信するには、映像を記録できるキャプチャデバイスが必要だ。さまざまなメーカーから、さまざまな製品が登場しているが、ここではその中でも特に家庭用ゲーム機向けにおすすめのElgato「HD60 X」を紹介しよう。

4K/HDR/VRR対応と快適にプレイしながら配信できるのがHD60 Xの強み

 ElgatoはPCパーツやゲーミングデバイスで知られる「Corsair」の配信向け製品ブランド。さまざまなキャプチャデバイスを展開しているが、HD60 XはUSB接続型のキャプチャデバイス。4K、HDR、VRR(可変リフレッシュレート)といった各種最新技術に対応しているのが最大の特徴だ。

 具体的には、映像のキャプチャはフルHD(1080p)では60fps、4K(2160p)で30fpsまで可能で、それぞれVRR、HDRにも対応。入力した映像を遅延なしで出力する「パススルー」については4K/60fps、WQHD(1440p)/120fps、フルHD/240fpsが可能で、こちらもそれぞれVRR、HDRにも対応している。

 VRRとHDRの両方をサポートするキャプチャデバイスは少なく、これによってたとえばPS5でVRRとHDRを両方有効にしたままプレイが可能と、デバイス側の都合で表示環境を極力変えなくて済むのが大きな強み。自分にとって快適な表示設定でゲームをプレイしつつ録画や配信もできる。

 入力および出力はHDMIで、PCとの接続インターフェイスはUSB 3.0。対応OSはWindowsとmacOSで、本体サイズは約112×72×18mm、重量は約91g。なお、HDRでのキャプチャが可能なのは現在Windowsのみとなっている。

Elgato HD60 Xのインターフェイス

本体前面。3.5mmミニピンのサウンド入力端子を備えるが、これは別売りのサウンドキャプチャ用アダプタ「Chat Link Pro」を接続するためのもの

本体背面。左からゲーム機などと接続HDMI入力、PCと接続するたためのUSB Type-C,モニターに映像を表示させるためのHDMIパススルー出力だ

付属品はUSB Type-C to Type-AケーブルとHDMI 2.0ケーブルだ

 Windowsでのシステム要件はCPUがIntel第6世代Core i5またはAMD Ryzen 7以降、GPUがNVIDIA GeForce GTX 10xx以上、メモリが4GB以上、内蔵USBポート、インターネット接続だ。GPUにGeForceシリーズが求められるため、手持ちのPCが要件を満たしているのかチェックしておこう。

 HD60 Xには専用のキャプチャアプリとして「4K Capture Utility」が用意されているが、録画機能だけのシンプルなもの。ただ、ファームウェアのアップデートにも対応しているので、最新ファームが登場していないか確認できるのが便利だ。

専用アプリの「4K Capture Utility」

専用のキャプチャアプリ「4K Capture Utility」。配信機能は搭載されていない

アプリ上からファームウェアのアップデートが行なえる

 専用アプリは録画だけなので、本格的な配信には超定番アプリと言える「OBS Studio」を使用するのがおすすめだ。

 OBS Studioベータ版のバージョン29.1では、高画質なAV1ストリーミングが可能になる。AV1は既存の映像フォーマットより高い圧縮効率を実現しているため、同じビットレートでも現在配信では主流のH.264に比べて画質が大きくアップする。

 分かりやすい例としては、H.264ではFPSなど動きの速いゲームではブロックノイズなどが目立つこともあるが、AV1ならそれを抑制できるというわけだ。AV1ストリーミングは配信側、視聴者側の両方に大きなメリットがあり、今後の主流になると言われている。

 ただし、現状はOBS StudioによるAV1ストリーミングが利用可能なビデオカードは、AV1エンコーダを搭載しているNVIDIAのGeForce RTX 40シリーズ、AMDのRadeon RX 7000シリーズ、IntelのArcシリーズに限られる。

 AV1での配信ついては、記事の最後のほうでも説明しているので、気になる人はそちらもご覧いただきたい。

HD60 XとOBSを組み合わせてNintendo Switchで配信してみよう

Nintendo Switchでの配信セッティング

これがNintendo Switchでのセッティング。ドックのHDMI出力をHD60 XのHDMI入力に接続し、PC側につないだモバイルモニターでOBS Studioを使って配信を実行。ゲームのプレイはHD60 Xのパススルー出力に接続した遅延のないモニターを見て行なうという形だ

 ここからは、Nintendo SwitchのゲームをHD60 XとOBS Studioの組み合わせでYouTubeにライブ配信する手順を紹介していこう。

HD60 XをPC/ゲーム機と接続

 まずは、ハードウェアのセットアップだ。HD60 Xは付属のUSBケーブルでPCと接続する。ドライバの導入などは不要で自動的にWindowsで認識される。

 Nintendo Switchはドックを使ってTVモードにし、ドックのHDMI出力に接続したHDMIケーブルを、HD60 XのHDMI入力に接続する。

 この状態でも、Nintendo Switchの映像をPCのOBS Studioにプレビュー表示させてプレイや配信を行なうことは可能だが、PCを介する都合上、どうしても表示までに0.1秒程度の遅延が発生してしまう。

モニターが2台あると遅延を避けられる

HDMI入力に接続したゲーム機の映像は、PC側のモニター(右)にプレビュー表示可能だが遅延があるため、パススルー出力に接続するモニター(左)を別途用意したい

 キャプチャユニットとしては遅延が少ない方で、オープンワールド系といった一般的なアクションゲームならプレイ可能なレベルだが、FPSや格闘ゲーム、音ゲーなどシビアな入力が求められるゲームでは影響が出る。

 そのため、PCのモニターとは別にモバイルモニターなどを用意し、それをHD60 XのHDMIパススルー出力と接続するのがおすすめだ。パススルー出力なら遅延が発生せず、快適にゲームをプレイできるからだ。

 今回はPC用のモニターとゲームプレイモニターをそれぞれ用意した環境という前提でセッティングを行なっていく。

 上の写真の状態で接続したとして、OBS Studioの設定をしていこう。バージョンは29.1 beta4を使用している。

OBS Studioの設定

 今回はYouTubeへのライブ配信なので、「設定」→「配信」でサービスを「YouTube-RTMPS」、サーバーを「PrimaryYouTube ingest server」として自分のアカウントに接続する。

「設定」→「配信」からYouTubeのアカウントに接続する(YouTube側のアカウント取得やライブ配信などの設定は済んでいるものとする)

 左のメニューから「映像」を選び、基本(キャンパス)解像度と出力(スケーリング)解像度を「1,920×1,080」に、FPS共通値を「60」にする。Nintendo SwitchはフルHD(1,920×1,080ドット)表示だからだ。

「映像」は基本、出力の解像度とも1,920×1,080にしてFPSは60に

 続いてメイン画面の左下にあるソース欄の「+」ボタンをクリックして「映像キャプチャデバイス」を選ぶ。名前は自分が分かりやすいものでいいだろう。ここでは「HD60 X」とした。

ソース欄の「+」ボタンをクリックして「映像キャプチャデバイス」を選ぶ

 プロパティが表示されるのでデバイスに「Game Capture HD60 X」を指定。解像度/FPSタイプを「カスタム」して、解像度を「1,920×1,080」、FPSを「出力FPSに合わせる」を選ぶ。

デバイスを「Game Capture HD60 X」に設定

解像度/FPSタイプを「カスタム」、解像度を「1,920×1,080」、FPSを「出力FPSに合わせる」にする

 ほかはデフォルト設定で問題ないが、音声出力モードが「音声のみをキャプチャ」になっているか確認しておこう。

音声出力モードは「音声のみをキャプチャ」に

 Nintendo Switchの映像が問題なく表示されたら、プレビュー画面で右クリックメニューを開き、「スケールフィルタ」から「ランチョス」を選択する。これでジャギーなどを抑えて、高画質化が可能になる。特に文字の周囲などブロックノイズが出やすい部分をクッキリさせる効果が高い。

プレビュー画面で右クリックメニューを開き「スケールフィルタ」→「ランチョス」を選ぶ

 これで基本的な準備は完了だ。OBS Studioの「配信開始」ボタンをクリックすればゲームをプレイしている映像をYouTubeにライブ配信できる(配信タイトルの入力やジャンル設定などはあらかじめやっておいた方がよい)。

「配信開始」ボタンをクリックすればライブ配信を開始できる。ゲームの音はパススルー出力に接続したモニター側から流れる

実況用にマイクを設定

 しかし、ゲームのプレイ映像だけではなく、音声による「実況」を付けるのがオーソドックスなゲーム配信と言える。

 ゲームを快適にプレイしながら、自分がしゃべってライブ配信するのであれば、ゲームの音はパススルー出力に接続したモニターにヘッドフォンを接続して聞き、マイクを別途用意してPC側につなぐのがベストだ。

マイクをつないで実況配信

実況付きで配信するなら、ゲームの音はHD60 Xのパススルー出力に接続したモニターにヘッドフォンを接続、マイクは別途用意してPC側に接続するのが快適なスタイルだ

 PC側に接続したマイクは、「設定」→「音声」にあるマイク音声から使用しているマイクを選ぶだけ。マイクの音量はメイン画面の音声ミキサー欄にあるマイクのスライダーで調整できる。

「設定」→「音声」にあるマイク音声を使用するマイクに設定する

マイク音量は音声ミキサーのマイクにあるスライダーで調整可能だ

 これで、ゲームの音にマイクの実況を入れた配信が可能になる。しゃべりながらのプレイをしたい人は試してみるとよいだろう。

PS5でも配信用に設定してみる

PS5での配信セッティング

PS5でのセッティング例。ハードウェアの接続に関してはNintendo Switchと変わらない

 PS5での配信方法は、基本的な流れはNintendo Switchと変わらないがいくつかチェックすべきポイントがあるので紹介しておこう。

 まず、PS5の「設定」→「システム」→「HDMI」→「HDCPを有効にする」をオフにすること。そうしないとHD60 Xで映像をキャプチャすることができない。もし、映像が表示されないときは、まずココをチェックしよう。

PS5のHDCPをオフにしないとキャプチャが行なえない

 PS5を4K(3,840×2,160ドット)でパススルー出力する場合、OBS Studioの設定も必要だ。HD60 Xは4Kだと30fpsまでしかキャプチャできないので、滑らかな表示で配信したいならフルHD(1,920×1,080ドット)がおすすめだ。Nintendo Switchと同じくスケールフィルタをランチョスにしておこう。

Nintendo Switchと同じく1,920×1,080にする

「設定」→「映像」は基本、出力とも1,920×1,080に設定。プルダウンメニューに1,920×1,080がなければ手動で入力する

HDRの設定方法

 HD60 XはHDRをサポートしているので、YouTubeにHDRで配信することも可能だ。

 ただし、PS5側でHDRを有効にし、OBS Studio側でHDRトーンマッピング(上書き)のフィルタを適用、出力のエンコーダに「NVIDIA NVENC HEVC」を指定、エンコーダのプロファイルを「main10」にする、詳細設定でカラーフォーマットを「P010(10ビット, 4:2:0, 2 planes)」、色空間を「Rec, 2100(PQ)」、色範囲を「フル」にする必要がある。

 さらにYouTube側を通常の「YouTube-RTMPS」ではなく、「YouTube-HLS」にするなど、細かな設定が必要になることは覚えておきたい。

PS5、OBS Studio、YouTubeそれぞれHDR用に設定することでHDR配信が可能になる

高画質なAV1で配信できるかPS5でテスト

 冒頭で述べた通り、YouTube Live、OBS Studioともまだベータ段階ではあるが圧縮効率の高いAV1コーデックでの配信をサポートしている。

 そのためHD60 Xでキャプチャした映像をAV1で配信することも可能だ。実際に問題なくPS5のゲームプレイをAV1で配信できるかもテストしてみた。

 現状、AV1でYouTubeのライブ配信をできるのはWQHDと4Kだけ。YouTubeの仕様で、フルHDだと従来のH.264に強制変換される。その内フルHDもAV1に対応することを期待したいところだ。

 PS5はアップデートでWQHD解像度での出力をサポートしたが、残念ながらHD60 Xの入力は対応していない。PS5でWQHD出力をテストしても非対応と表示されてしまう。そのため、AV1で配信するには4Kを使うしかない。

HD60 XはPS5のWQHD(1440p)出力をサポートしていない

 基本的な配信設定は上記で紹介したPS5のものとほぼ同じ。異なるのは、「設定」→「出力」→「配信」→「映像エンコーダ」で「NVIDIA NVENC AV1」を選ぶこと。これでAV1による配信が可能になるが、4K配信する必要があるので、「設定」→「映像」は基本、出力とも3,840×2,160に設定する。なお、今回はビデオカードに「GeForce RTX 4070」を使用した。

YouTubeにAV1で配信するには「映像エンコーダ」を「NVIDIA NVENC AV1」にすればOKと準備は簡単だ

 AV1はH.264の同ビットレートに比べて画面の回転など映像がすばやく大きく変わるようなブロックノイズが出やすいシーンでも画質を保てるのが大きな強み。HD60 Xでも4Kで問題なくAV1による配信ができたことを確認できた。

キャプチャデバイスとして安牌

 HD60 Xは4K/HDR/VRRに対応しながらコンパクトなボディでデスクに設置しやすく、OBS Studioと組み合わせれば、Nintendo SwitchやPS5でのゲーム配信にすぐ挑戦できる。

 OBS Studioは機能豊富なので、Webカメラで自分を撮影してそれをゲーム画面に重ねたり、VTuberのようにアバターをゲーム画面に入れ込んだり、Discordなど仲間とのボイスチャットを加えたり、さまざまな配信スタイルが可能。

 HD60 Xはキャプチャデバイス側の機能制限であきらめなければいけない部分が少なく、これから配信や録画をやりたい人はもちろん、キャプチャデバイスの買い換えを検討している人にもおすすめだ。

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