「拡張できるWi-Fi」を目指して
Wi-Fiルーターを選ぶ際、何を重視するだろうか。通信規格、速度、有線LANポート、ソフトウェア機能、価格、本体サイズ、デザイン、ブランド等々、考え得るポイントはいくつもある。
とはいえ、最も重視するのは通信範囲、という方も多いだろう。Wi-Fi 5以降、主に使われる電波帯域が2.4GHz帯から5GHz帯に移ったことで、通信速度が飛躍的に上がった代わりに通信範囲は狭まった。「古いWi-Fiルーターを新調したら電波が届かなくなった」という声の多くは5GHz帯の電波の特性によるもので、Wi-Fiルーターを別のものに交換しても改善しないことが多い。
そこで役に立つのがメッシュWi-Fi。
メッシュを構築できるWi-Fiルーターはもはや一般的だが、この概念を一歩進めて「拡張できるWi-Fiルーター」(=Extendable Router)としてアピールしているASUSのようなメーカーもあったりする。同社によると、このExtendable Routerは「メッシュでWi-Fi のエリアを拡張できるだけでなく、旧機材をメッシュ構築用に流用できる経済性を持ち、さらに様々な機能も搭載しているWi-Fiルーター」なのだという。
では、この「Extendable Router」とはどういう概念なのか、解説していきたい。
機材が自由なASUSのメッシュWi-Fi機能「AiMesh」
「Extendable Router」の核となる機能は、ASUS独自のメッシュネットワーク構築機能「AiMesh」だ。メッシュネットワークは、複数のWi-Fi親機同士をWi-Fi通信で接続し、Wi-Fi通信の範囲を広げるというもの。有線ケーブルを必要とせず、Wi-Fi親機の追加で手軽に通信範囲を広げられるのがメリットだ。
メッシュネットワークは一般的に、同じメッシュWi-Fiルーター機器を複数用意する。そのため最初から2台セットで販売されているものが多い。1台分の接続設定をすれば2台目も連動し、導入の手間がかからない。
ただし欠点もある。そもそも1台のWi-Fiルーターで必要な場所に電波が届くのであれば、メッシュネットワークは必要ない。しかし実際に設置してみるまで、1台で足りるのかどうかはわからない。念のためメッシュWi-Fiルーターを購入しておく手もあるが、メッシュWi-Fiルーターは比較的高価で、2台分ともなればさらに費用がかさむ。
また、費用をかけずに済ます方法としては既存のWi-Fiルーターの電波を中継する、中継器を追加するやり方もある。しかし、中継器を使った方法では、SSIDを複数設定しなければならなかったり、親機の持つ機能が充分活用できなかったりする場合もある。
そこで、ASUSが提唱するのが「AiMesh」を使ったWi-Fiルーターの「拡張」。同社のやり方では、AiMesh対応のWi-Fiルーターを1台導入し、使ってみて電波が十分に届かなければ、AiMesh対応のWi-Fiルーターをもう1台追加すればいい、というわけだ。やり方としては、メッシュWi-Fiルーターと同じ要領で通信範囲を広げられる。
ポイントは、「AiMesh」対応製品であれば異なる機種でも構わないという点。例えば、まずは「安価なエントリーモデルを試しに購入、もっと高機能が欲しくなったら、そのエントリーモデルを“家の端っこ用“などとしてメッシュ構築用に使い、メインの通信範囲ではマルチギガやゲーミングなどの高機能モデルを導入する」なんてこともできる。同社が「Extendable Router」として掲げているのはWi-Fi 5のRT-AC68Uからなので、ちょっと昔の製品でも「メッシュ構築用」として流用できるのは経済的と言えるだろう。
「拡張できる」という概念
Wi-Fiルーターの電波が届くかどうかの問題は、Wi-Fiルーターを新調した時だけでなく、より広い家に転居した時や、インターネット回線の切り替えによるWi-Fiルーターの設置場所の変更などでも起こる。いずれも稀にしかないこととはいえ、今あるもので対応できないという状況に陥るのは辛い。
【Extendable Routerの例】
そういう意味では、ASUSの「Extendable Router」という概念は興味深い。「今すぐ必要ない」としても、いずれ必要になる可能性があるなら、「Extendable Router」の方が安心できるのは確かだろう。
では「Extendable Router」に対応するのはどんな機種だろうか? 例えば、写真のような製品がその一例だが、実はそれ以外の製品でも、ASUS製Wi-Fiルーターであれば、かなりの機種が対応している。ポイントは、現行製品だけでなく、過去の製品も含む点だ。次回、この点は紹介していきたい。
(協力:ASUS JAPAN株式会社)