Google Ads Safety Report 2022 が発表:あやしげな広告活動の増加が明らかに

DIGIDAY

2023年3月23日、短尺動画プラットフォーム「TikTok」のCEOが米公聴会でやり玉に挙げられたのは、ビッグテックのようなプレイヤーが直面する政治的反感の典型的な例だ。

ビッグテックのなかで、オンラインサービスを提供するGoogleほど厳しい目にさらされている企業はない。Googleはこれまでもすでに事業が詳しく調査されており、あらゆる機会を使い、守りを固めざるを得ない状況にある。

Googleの戦略

3月29日、Googleは最新の「Ads Safety Report 2022年版」を公表し、よき企業市民(グッド・コーポレート・シチズン)としての取り組みをアピールした。さらに同日、「広告の透明性について(Ads Transparency Center)」も発表している。これは広告主のデータリポジトリであり、第3者でも広告費の出所を検索し、適格性を確認することが可能になるものだ。

Googleの広告プライバシーおよび安全担当ディレクターであるアレハンドロ・ボルジア氏は、ブログで最新の取り組みを明らかにし、「Googleが2022年に削除した広告数は前年比で20億件増だ」と投稿し、「2022年には、広告主とパブリッシャー向けに29のポリシーを追加・更新した。たとえば、金融サービス適格性確認プログラム対象を7つの国と地域に拡大、13歳以上の未成年者に対する保護対策の拡大、選挙広告ポリシーの強化が含まれる」と記した。

2022年に「悪質な広告」と分類された有害な広告は、トップが「広告ネットワークを悪用した」広告(13億6000万件の広告がこのカテゴリーに分類)、次いで登録商標違反広告(5億6200万件。Googleが停止もしくは削除)が続く。

2022年は2021年よりも停止広告数が増加しているが、Googleによるとその原因は、「対策の更新に加えて、有害コンテンツのスクリーニングに不可欠なテクノロジーや人員に対する投資の拡大にもある」という。

「その結果、2022年に削除された広告は、前年の2021年よりも20億件増加している」とボルジア氏はブログに記している。「さらに、広告配信を停止もしくは制限したパブリッシャーのページは15億以上におよび、14万3000を超えるパブリッシャーのサイトで、サイトレベルの広範な措置を講じた」とした。

同氏によると、Googleは2022年に14万3000件のパブリッシャーのサイトに対してサイトレベルの対策を講じており、これはそれまでの12カ月間の6万3000件を大きく上回るという。

さらに、「広告の透明性について」で検索すれば、広告主が具体的にどのような広告を掲載しているのか、ユーザーの地域ではそのうちどの広告を掲載しているのか、さらにはいつ最新キャンペーンが実施されたのかもユーザーが確認できるようになると説明する。また、Googleによると、2022年には670万件以上の広告主のアカウントが停止されたという。

全体像は不明瞭?

しかしながら、アドテク業界の監視団体チェック・マイ・アッズ(Check My Ads)共同創業者のナンディニ・ジャミ氏は、オンライン広告の巨人Googleが透明性100%を実現したいのなら、そのデータの背景を明らかにしなければならないと指摘する。

「670万と言われても、それがGoogleの広告全体のどのくらいなのかわからず、具体的にどういう意味なのかわからない。ひょっとしたら、Googleが扱っている総数のわずか0.05%かもしれない」。

さらに同氏はこうも指摘する。「Googleは悪意ある第三者から守るべく広告業界を取り締まっていると豪語するが、それなら少しずつ対策を講じるのではなく、もっと細かく広告をチェックしたほうが効果的なのではないか」。また、「そもそも数字は、その背景がわからなければまったく意味がない。たとえどんな数字を出したところで、何も変わらないだろう」と言い放った。

[原文:In graphic detail: Google’s Ads Safety Report shows suspect ad activities are on the rise

Ronan Shields(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)

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