皮膚科医ダスティン・ポーテラ医師が Snapchatシリーズ を活用しビジネスを成長させた方法

DIGIDAY

皮膚科医のダスティン・ポーテラ医師(米国皮膚科学会フェロー)は、ソーシャルメディア上で急速に注目されている。アイダホ州ボイシを拠点とするこの皮膚科医・皮膚外科医は、トレジャーバレーダーマトロジー(Treasure Valley Dermatology)を創業し、そこであらゆる年齢の患者に皮膚科治療を行っている。ポーテラ医師のソーシャルメディアチャネルは、TikTokに240万人、インスタグラムに29万6000人、YouTubeは45万5000人と、フォロワーを着実に増やしている。

ポーテラ医師は、同業の皮膚科医やさらには従来のスキンケアインフルエンサーとは異なる道を歩んできた。それはまた、彼のような認定を受けた専門家がソーシャルプラットフォームへと展開する際に、どのように創造性を発揮しているかを示す例にもなっている。

Snapchatにフォーカス

ポーテラ医師は、俳優のザック・ガリフィアナキス氏の有名なトーク番組「Between Two Ferns」をもじった「Between Two Derms」というポッドキャストを主催するほか、Snapchat(スナップチャット)のチャネルにも力を入れている。Snapchatの月間利用者数は2023年時点で7億5000万人で、一方インスタグラムの月間利用者数は23億人TikTokの月間利用者数は8億3400万人となっている。ポーテラ医師は、「Skinned」と呼ばれる定期的なセグメントを通じて、Snapchatでの存在感を高めている。このセグメントは、彼が旅行先の都市で選ばれたフォロワーと直接会うというものだ。

Snapchatの「Skinned」シリーズ

「Skinned」では、セフォラ(Sephora)、アルタ(Ulta)、ターゲット(Target)、CVS、ウォルマート(Walmart)などの小売店で、ポーテラ医師がフォロワーのひとりと会う。そこで医師はその人のためにパーソナライズされたスキンケアルーティンを考案、その人の肌の悩みを指摘し、その人にとって最適な成分について教育し、買い物に連れて行く(支払いは医師が行う)。当然ながらこのすべてがコンテンツとしてキャプチャーされる。そしてこれらの動画は編集され、再利用され、ほかのソーシャルチャネルで共有されるのだ。

「ソーシャルメディアでは特定の症状に対して製品を勧めているが、それではフォローアップの質問を受けたり、その人特有のニーズに合ったより微妙な療法を作ることはできない」と、ポーテラ医師は言う。医師が誰かと一緒に店頭にいれば、その人が製品を選んだ際にリアルタイムでフィードバックを得ることができる。たとえば、テクスチャーや香りの好みや、以前その製品を使ったときに気に入らなかったかどうかといったことを、医師が知ることができるのだ。

他のプラットフォームと同様に、医師のSnapchatのスタートは遅かった。1月11日にローンチしたSnapchatは、最初のわずかなエピソードを経て、医師とチームはSnapchatのユーザーによりうまくリーチするよう戦略とプレゼンテーションを改良している。たとえば、グラフィックや番組の見た目をアップデートして、他のソーシャルメディアプラットフォームでのポーテラ医師のブランディングとさらに一貫性を持たせるようにした。また、TikTokのリアクション動画など、ショッピング以外のコンテンツも導入しており、それが視聴者の関心を引きつけることに役立っている。「現在、サブスクライバーの数は1万8000人で、シリーズの視聴時間は150万分を超えた」と医師は言う。

お気に入りの「Skinned」のエピソード

ポーテラ医師が気に入っている動画のひとつは、乾燥肌とニキビの両方に悩む買い物客のために製品を選んでいるものを中心としたシリーズだ。「ニキビケア製品の多くは乾燥肌を悪化させる可能性があるので、製品選びには細心の注意を払う必要があった」と医師は言う。その結果、ニキビだけでなく、乾燥肌も改善できるようなルーティンを考案した。医師は、フレッシュビューティ(Fresh Beauty)のブラックティーモイスチャライザーのようなバリア修復製品に着目し、ビークマン1802(Beekman 1802)のバクチオールを含む代替レチノールを見つけた。「従来のレチノールと比較して、バクチオールは乾燥や刺激のリスクがはるかに少ない」とポーテラ医師は述べている。

Snapchat vs TikTokなのはなぜか

Snapchatでは、クリエイターは最大5分の長さの番組を制作することができる。また、Snapchat特有の動画編集スタイル(複数のカットを使い、ペースが速い)は、視聴者の関心を維持するのに有効だとポーテラ医師は言う。「もちろんTikTokでもそれはできる。だが、Snapchatは重要な瞬間に広告を挟むことで、人々を番組に巧みに引きつけることができる。オーディエンスをより引き留めておくことが可能だ。それにくらべてTikTokの動画はカットされる前にすべて再生される」。

「私の経験では、平均的なTikTokの視聴者を3~5分間、維持するほうが難しい」と医師は述べた。またTikTokでは、Snapchatできるようなかたちで、連続して現れる複数の動画を重ねることができない。ポーテラ医師がSnapchatに投稿を始めた際、医師の知る限りでは、専門家と一緒にショッピングを体験するコンテンツを作っているクリエイターはいなかった。そのため、成功のチャンスがさらに大きくなったのだという。

ポーテラ医師は、皮膚科医としての専門性をアピールするためのシリーズを開発する上で、Snapchatは独特な機会だったと話す。「私はエージェンシーと協力して、多くの人が共感できるだろうと思えるコンセプトを開発した。どんな皮膚科医やインフルエンサーでも、カメラの前に立って製品を勧めるのは簡単だ。私は人を見つけて、その人にまさに必要な製品を購入したいと思った」。これまで、ポーテラ医師は、セフォラ、アルタ、ターゲット、ウォルマートでショッピング動画を作成している。

「店内を歩き、実際の人と会話をすることで、スキンケアに関する専門知識だけでなく、自分が人々の健康の目標の達成をサポートできる医師であることもアピールできる」とポーテラ医師は言う。

また、このショッピングシリーズは、製品のレコメンデーションがよりわかりやすく、理解しやすいとして、多くのフォロワーの共感を呼んだとも付け加えた。「私が特定の製品を選んでいる理由をフォロワーがより理解するにしたがって、私の受信トレイにやって来る質問の質がより詳細でニュアンスのあるものになっていることに気づいた」と医師は述べている。そしてポーテラ医師いわく、自分が紹介した推奨製品を使った結果、肌の調子がよくなったという感謝のメッセージも届いている。

ポーテラ医師の事業への影響

ポーテラ医師のクリニックはすでにかなり満員なので、結果的はそうなるかもしれないにせよ、Snapchatシリーズの目的はクリニックに新しい患者を呼び込むことではない。また、Snapchatシリーズを通じたいかなるスポンサーシップも受け入れていない。「いまの目標は、その人が必要としているものを純粋に勧めるというオーガニックなフォーカスを維持することだ」と医師は言う。とはいえ、Snapchatは動画の最中に広告を流すため、クリエイターが追加収入を得る機会がある。「このおかげで、一緒に買い物をする人のために自分が購入する製品のコストをカバーすることができた」。

ほかのプラットフォームにおけるポーテラ医師の知名度のアップ

ポーテラ医師は当初、地元で自分のクリニックの認知度を高めるためにFacebookとインスタグラムでソーシャルメディアでのプレゼンスを構築していた。「Facebookとインスタグラムの成長は最初は遅かったが、TikTokに投稿するようになってから、すべてのプラットフォームでフォロワーが爆発的に増えていることに気づいた」と医師は述べている。

その後、時間をかけて各プラットフォームについて学び、医療行為を補完するためのソーシャルメディア上におけるパーソナルブランドの確立を急速に進めていった。「ソーシャルメディアを通じて私を知った患者がより多く来院するようになった。私のクリニックはいまや開業して5年になり、3つの拠点がある。今月は、診療所の永遠の本拠地となる新しい建物も着工した。ソーシャルメディアのおかげでここまで成長できたと言っても過言ではない」。

今後の展開

ポーテラ医師は、より多くの人々に医療を提供する方法を見つけたいと語る。「私の住む地域はもちろん、全米でも多くの人が医療、特に皮膚科の専門医療を受けることができない」。 医師は新しい非営利団体を通じて、より多くのこうした人々に手をさしのべるプロジェクトを開始した。「フォロワーを教育し、有意義な医療改革を提唱する新たな方法として、ソーシャルメディアを通じてその活動を共有していく」と彼は言う。引き続き資金を確保しながら、夏近くにこのプロジェクトを正式に発表する予定だ。

[原文:How dermatologist Dr. Dustin Portela used a Snapchat series to grow his business]

AMBER KATZ(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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