KDDI、医用工学研究所と資本業務提携契約を締結–電子カルテ由来データから、薬剤効果検証

CNET Japan

 KDDIは4月6日、医用工学研究所(MEI)と資本業務提携を締結したと発表した。同提携により、MEIは同社の持分法適用会社となる。ヘルスケア・医療データの利活用の推進を目的としている。

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 同社によると、少子高齢化が進むなか、医療従事者の減少や医療費の適正化といった課題から、医療データの利活用が注目されているという。なかでも、電子カルテデータは、レセプト(診療報酬明細書)データや健康診断データなどでは得られにくい治療結果に関する情報が含まれており、薬剤の効果測定や診療行為の分析精度の向上が期待されている。

 一方で、データは各医療機関内で管理されていることが多く、医療機関内ではデータ分析を行う人材の不足がビッグデータ活用への障壁となっているという。

 MEIは、2004年に設立以来、電子カルテ・医事会計システム・各部門システムなど、病院内の各システムに分散したあらゆるデータをひとつに集約させる医療用データウェアハウスシステム「CLISTA!」の提供を通じ、病院経営をサポートしてきた。

 同社は、2015年に郵送型血液検査サービス「スマホ de ドック」を提供。さらに、日々の健康管理からオンライン診療、オンライン服薬指導、薬局連携などの医療体験までスマートフォンアプリでトータルに提供する「auウェルネス」を2020年に開始するなど、ヘルスケア・医療領域における事業開発を進めてきた。

 また、ARISE analytics(株主構成:KDDIが85%、アクセンチュアが15%)において350名を超えるデータサイエンティスト集団を有し、データアナリティクス領域に関するアセットの強化に取り組んでいる。

 今回の提携では、共同で医療データプラットフォームの構築に取り組む。2023年度中に、MEIが医療機関のデジタル化をサポートする過程で得られた電子カルテ由来のデータ約400万人分を蓄積。KDDIグループの通信事業で培ったセキュアな環境構築および、AIなどの知見を活用した分析を実施するという。

 全国の大規模病院も多く含む電子カルテ由来のデータは、後期高齢者を含む全世代をカバーしている。これにより、製薬企業などに対して、例えば、がん・心疾患・脳血管疾患、生活習慣病などさまざまな疾患の薬剤効果測定および、マーケティング高度化、医薬品の研究開発に役立つ分析サービスなどの提供を目指す。

 さらには、同社の3000万人の顧客基盤を活用した個人のデータやauウェルネスを軸としたPHR(Personal Health Record)などを加え、日常生活から医療診療データまでを網羅。高度な分析力をもつARISE analyticsとともに、分析基盤の拡張につなげる方針。

 これにより、既往歴を持った退院患者の再発リスクの予兆発見や再発予防、重症化予防のためのサービス提供など、データに基づく新たな体験価値の創出に共同で取り組んでいくとしている。

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