【ありがとう】ウチの田舎のAコープが全店閉店するらしいけど「悲しい」なんて言えた義理じゃなくてつらい

ロケットニュース24

「鳥取県中部のAコープが2023年度中に全店閉店」というニュースはまたたく間に(鳥取中部出身者の間で)話題となり、東京に住む私と友人たち(鳥取中部出身)は深い悲しみに包まれた。完全撤退の理由はズバリ「経営悪化」……ぐっ。

聞けば鳥取中部のAコープは今やたった4店舗にまでその数を減らしていたのだそう。私が最後にAコープを利用したのは10年以上前であり、口が裂けても「悲しい」なんて言えた義理ではない。かといって悲しい気持ちに変わりはない。

あまりに局地的な話題ではあるが、きっと地方民ならこの気持ちをご理解いただけるハズ……そんなわけでAコープに最後の別れを告げてきた。

・私とAコープ

少なくとも25年くらい前まで、ウチの実家からチャリで行ける距離にAコープがあった。広い駐車場では定期的に『農協祭』(農業祭だったかもしれない)なるイベントが開催され、それは大変な騒ぎだったことを覚えている。幼い私は全ての小遣いを祭りで放出していたほどだ。

それが今じゃ思い出のAコープ自体が無くなり、現在ウチの実家から最寄りのAコープへは車で20分以上。とても日常的に利用できる距離ではなくなった。今回まず私が訪れたのは『Aコープせきがね店(関金町)』である。

現存する鳥取中部のAコープはどれも中心部から離れた場所に位置しているが、中でも “最も辺境の地” と言えるのがココ(筆者の主観)。別のスーパーへ行くには車が必須で、「Aコープの商品だけで生活している」というお年寄りも多いエリアだ。 “関金の友達んち” へ行く際はよく立ち寄った思い出の店である。

大きめのコンビニに毛が生えた程度の広さを有する店内。それでもちょっとした惣菜や日用品、野良着など幅広く厳選された品々が揃っている。野菜のタネや農業グッズもあるぞ〜!



・超・局地的ランキング

せっかくなのでこの日Aコープで売られていた中から、個人的オススメ商品ベスト5を発表したいと思う。国民の99%にとって何の参考にもならない情報だが、まぁ最後だから大目にみてほしい。

まず鳥取で多く栽培されている長ネギ。このクオリティが3本で80円はヤバい。さすが農協の息がかかっているだけのことはある。

Aコープは海の幸も扱っている。夏にかけて最盛期を迎える鳥取の白イカは甘くて肉厚。東京にも出荷されているので見つけたら即買いだ。

実は鳥取はトリ肉も有名。一人暮らしの身の上では手羽先の大パックを購入する機会も多くない……でも実家には母がいるから安心だね!

他にも岡山名物『バナナカステラ(の亜種)』、今や西日本でしか買えない『カール』など、ニクいポイントを押さえているAコープ鳥取中部。Aコープでしか買えないものは1つもないが、ある意味「それがAコープの魅力」と言えるだろう……普通でいいのだ、普通で。


・地方の悲しいジレンマ

鳥取中部のAコープは他に『下北条店』『トピア店(琴浦町)』『赤崎店』がある。

お礼参りとばかりに各店を巡ってみたところ、店内に「感動をありがとう」という張り紙を見つけた。思わず泣きそうになったのだが……

よく見ると野球の話だったことをお伝えしておきたい。



かつて鳥取では地元の小規模スーパーや商店が各家庭の徒歩圏内に点在していたが、チェーンのスーパー(県外資本)が進出してきたことで徐々に消滅。その後は “生鮮品も扱うドラッグストア” が異常に数を増やし、客がそちらに流れている……というのが現状だ(と思う)。

誰だって「地元の店を応援したい」という気持ちはある。しかし安くて便利な大型店が近所にあれば、そりゃ利用したくもなるだろう。そんなこんなで徐々に街が衰退していく現象は、多くの地方都市が直面する大問題だ。そういえばウチの祖父母は鳥取で八百屋を経営していたが、もし父が店を継いでいたとしたら、私は無事に大人になれたか分からないよなァ……。

ちょっと壮大な話すぎるうえ、東京に住んでいる私が何を言っても説得力ゼロなのでこれ以上の言及は控える。でも「何とかしたい」という気持ちはつねに忘れず生きてゆきたいと思うのだ。そして何かできるチャンスが来たら、したい。これは地方出身者全員の想いだろう。

なお鳥取県中部のAコープ跡地には、別スーパーの進出が協議中とのこと。陰ながら今後の展開を見守るとして……とりあえず今までありがとう、鳥取中部のAコープ!!!

(※中部以外のAコープは今後も存続します!)

参考リンク:日本海新聞
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

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