LVMH がビューティの経営幹部を再編成し、ビューティの可能性を追求

DIGIDAY

ケリング・グループは、2月にラファエラ・コルナッジャ氏を新しい美容部門のCEOに任命。それに続き、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンも美容部門の経営幹部を再編成している。3月にカテゴリーによるポートフォリオの再編成を完了し、多くの昇進を発表した。美容部門のCEOにステファン・リンデルクネッシュ氏が就任。

ケリング・グループ(Kering Group)は、2月にラファエラ・コルナッジャ氏を新しい美容部門のCEOに任命。それに続き、LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)も美容部門の経営幹部を再編成している。

LVMHの美容部門を率いるCEO、ステファン・リンデルクネッシュ氏

LVMHは、3月7日火曜日にカテゴリーによるポートフォリオの再編成を完了し、多くの昇進を発表した。美容部門の最高経営責任者(CEO)にステファン・リンデルクネッシュ氏が就任。リンデルクネッシュ氏はこの職務において、パルファン・クリスチャン・ディオール(Parfums Christian Dior)、ゲラン(Guerlain)、メゾン フランシス クルジャン(Maison Francis Kurkdjian)、ケンドー(Kendo)やほかの11ブランドを含むLVMHグループの美容事業を統括する。また、ホスピタリティ・エクセレンス(Hospitality Excellence)部門の管理も引き続き担当する。

美容部門のエグゼクティブプレジデントであるステファニー・メディオーニ氏はリンデルクネッシュ氏の直属となる。さらに、リンデルクネッシュ氏の下には、パルファン・クリスチャン・ディオールのプレジデント兼CEOのヴェロニク・クルトワ氏、ゲランのプレジデント兼CEOのガブリエル・サン・ジェニス・ロドリゲス氏ら新しく就任した部下もいる。

リンデルクネッシュ氏は、ロレアル(L’Oréal)に 19年間勤務し、南北アメリカとアジア太平洋の海外市場を担当。当時のロレアル・グループCEOだったジャン=ポール・アゴン氏からエネルギッシュな人物と称されたリンデルクネッシュ氏は、2016年にロレアル中国のCEOに昇進した。ロレアル中国は彼の管理下でロレアル・グループの2番目に大きな子会社となり、またもっとも速い成長を遂げた市場となった。リンデルクネッシュ氏は、2019年10月、グループ最大の子会社、ロレアルUSAのプレジデント兼CEOと北米のエグゼクティブバイスプレジデントに就任。LVMHには2022年に入社し、ホテルズ・シュヴァル・ブラン(Hôtels Cheval Blanc)やベルモンド・ホテルズ・アンド・トレインズ(Belmond Hotels and Trains)を含むLVMHグループのホスピタリティ・エクセレンス部門を率いている。

LVMHの会長兼CEOのバーナード・アルノー氏は声明の中で、「ステファン(・リンデルクネッシュ氏)は、入社以来、敏捷な戦略でホテル事業の回復を主導し、組織全体に凄まじい勢いをもたらしている」と述べている。

美容部門を強化するファッションメゾン他社

この人事は、セフォラ(Sephora)の「記録的な業績」が全体の売上を押し上げて、LVMHの2022年の収益が23%増加し826億ドル(約11.2兆円)を達成したことに続くものだ。しかし、ワイン・蒸留酒、香水・化粧品、時計・宝石の各部門はアナリストの予想を下回った。ラグジュアリーとプレステージビューティのカテゴリーでは企業が地位を確立するために激しい競争を繰り広げている。エスティ ローダー カンパニーズ(Estée Lauder Companies)は最近、トムフォードのブランド全体を28億ドル(約3780億円)で買収し、トム フォード ビューティ(Tom Ford Beauty)への所有を強化している。また、2019年にローンチしたグッチビューティ(Gucci Beauty)の成功により、ヴァレンティノ ビューティ(Valentino Beauty)(ロレアルによるライセンス)、ヴィクトリアベッカム(Victoria Beckham)、ジェイソンウー(Jason Wu)などのほかのメゾンも美容分野に進出している。グッチのメゾンを所有するケリング・グループはさらに強力なビューティポートフォリオの確立に関心を示している。グッチビューティは現在コティ(Coty Inc.)と2028年頃までのライセンス契約を結んでいる。

アルノー氏は、LVMHの第4四半期と2022年末の収支報告でセリーヌ(Celine)が20億ユーロ(約2877億円)の収益を達成したと述べている。セリーヌのフレグランスの売上が好調であり、その好感度と若者へのアピールゆえに「このアイコニックなブランドの将来にとって良い前兆だ」と語っている。LVMHは2022年にステラ・マッカートニー・ビューティ(Stella McCartney Beauty)をローンチした。過去に美容に参入したLVMH傘下のメゾンには2004年頃のケンゾー(Kenzo)やマークジェイコブス(Marc Jacobs)などがある。マークジェイコブスはLVMHのビューティインキュベーターであるケンドー(Kendo)が管理し、2021年に事業を終了した。ほかの有名なファッションメゾンには、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)、エミリオ・プッチ(Emilio Pucci)、フェンディ(Fendi)、ロエベ(Loewe)などがある。

世界がどれだけのラグジュアリーとプレステージビューティを受け入れられるかについて、言及するのは難しい。だが、業界には差し迫った懸念がほかにもある。レガシーブランド間の競争の激化、アウグスティヌス・バデール(Augustinus Bader)のようなラグジュアリーブランドからの挑戦だけではなく、マクロ経済情勢と中国の新型コロナウイルス感染症からの売上回復による下押し圧力などだ。アルノー氏は2022年の第4四半期と年末の収支報告で、逆風にもかかわらず、LVMHは2019年以来市場シェアを拡大し続けていると主張し、自信を持ち続けている。

また、同氏は次のように述べた。「さまざまなメゾンのチームによる多大な尽力のおかげで、経済の危機と健康の危機に彩られたこの困難な時期に我々は市場シェアを拡大することができている」。

[原文:LVMH reshuffles beauty C-suite as it eyes more beauty opportunities

EMMA SANDLER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)


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