ハンドメイドの eコマースマーケットプレイス 、エッツィーが偽造品疑惑に直面中:売り手は団結して変化を求める

DIGIDAY

2月中旬、調査会社シトロン・リサーチ(Citron Research)から模倣品の巣窟になっていると非難されたことを受け、Etsy(エッツィー)の株価は下落した。シトロンの批判は、こうした模倣品の販売が製品をコピーするブランドに与える影響に集中していたが、マーケットプレイスが模倣品を提供することで被害を受ける別のグループがいる。それはほかの売り手たちだ。

EtsyやAmazonなどのプラットフォーム上の3000人近い独立した売り手たちで構成される非営利団体、インディ・セラーズギルド(Indie Sellers Guild、ISG)によると、Etsy上の偽造品や大量生産品の存在はプラットフォーム上の正規のハンドメイド商品に害をなしている。ISGの会員による選任理事会メンバーのマッティ・ボイド氏は、Etsyは消費者が個人のクリエイターから手作りの商品を購入できる場所であるべきだと話す。だが、アリババ(阿里巴巴/Alibaba)やほかのeコマースサイトからハンドメイドと称してアイテムを再出品している多くの売り手が存在するのは明らかだ、と同氏は述べた。

これは、Etsyの異なる売り手による何十ものそっくりの製品の一覧からもわかるが、中にはまったく同じ製品画像を使用しているものも多い。

Etsyのふたつのセラーによる同じ商品リスト

アリババの同一商品

「アリババから仕入れたものを多くのマージンで売るだけの相手に対し、正規の売り手は公正を欠いた不利な立場に置かれている」とボイド氏は指摘した。「そして購入する側も、正当なハンドメイド商品を探しているときに、誰を信用してよいのかわからないという厳しい立場に置かれている」。

プラットフォーム企業と交渉するために団体を結成

売り手からの批判は、消費者が小さな買い物ができる場所というEtsyの評判を台無しにしかねない。2月22日に行われた同社の収益報告で40億ドル(約5452億円)の収益を報告した際、Etsyはスモールビジネスサタデー(地元の商店で買い物をする土曜日)とギビングチューズデー(米国の感謝祭明けの火曜日)での好調なパフォーマンスに言及した。同社の声明では、「(これについて)Etsyは小さな買い物をして、その買い物でよい影響を与えると購入者が連想していると我々は考えている」とある。

ボイド氏はインディ・セラーズギルド(ISG)の創設メンバーのひとりだ。ISGは昨年、売り手への手数料引き上げに抗議する3万人以上のEtsyの売り手による集団ストライキ後に結成された。ストライキによってEtsyからわずかだが意義のある譲歩を勝ち取った後、引き続き売り手側により有利な条件を求めて長期的に戦っていくためにISGが結成されたと同氏は話す。

Etsyのようなオープンマーケットプレイスの売り手は統一された労働力ではないため、従来の意味での組合結成は不可能だ。その代わり、ISGは売り手のコミュニティが統一戦線を張る上での最善の試みであり、ISGを通じて売り手を支持し、プラットフォーム企業との交渉が可能となる。たとえばUberのドライバーやポストメイツ(Postmates)の配達員は従業員ではなく請負業者として分類され、従業員と同じような利益と保護を得られないが、売り手も同じような問題に直面している。ドライバーや配達員といった職種も、ロス・デリベリスタス・ウニドス(Los Deliveristas Unido)のように、よりよい条件を集団で求めるため、企業を超えたゆるやかな連合を形成している。

ボイド氏は、同じ原則が、YouTuberやオンリーファンズ(OnlyFans)のクリエイターなど、デジタルプラットフォームから(あるいはデジタルプラットフォームのために)金を稼ぐ人々にも適用される可能性があると述べた。現在、ISGはデポール大学と共同で、こうしたいくつかの懸念の背景にあるデータを明らかにするために、さまざまなマーケットプレイスの売り手を幅広く対象とした調査を実施している。ISGは今年中にその結果を公表し、よりよい運営がされているマーケットプレイスを売り手が見つけられるようにするための認定プログラムの作成に活用する予定だ。

Etsyは透明性と報告に関する企業文化が問われるべき企業になった

Etsyの広報担当者はGlossyに対し、同社がサイト上の偽造品対策にどのように投資してきたかを説明する透明性に関する報告書を数週間以内に発表する予定だと語った。

「2018年以降、当社はマーケットプレイスの信頼と安全性のために4倍の投資を行ってきた。2022年だけでも、これらの取り組みに5000万ドル(約68億円)を投入している」と広報担当者は述べた。「問題のある出品を自動的に検出するのに役立つ洗練されたツールを追加しており、不正なアイテムの削除に取り組む専門チームがある」。

昨年のストライキの最中とその後の経過において、Etsyがいくつかの要求を受け入れたとしても、ISGはEtsyからは公式な連絡をほとんど受けていない。

「経営陣がこの問題をコントロールするために十分な対応をしていないのは明らかで、内部指標報告の質と収益基盤の実行可能性の質が疑問視されている」と指摘したのは、Etsyの偽造品に関するレポートを発表したシトロン・リサーチの創業者アンドリュー・レフト氏だ。「Etsyは、透明性と報告に関する企業文化が問われるべき企業になっている」。

ISGが初期に言及した問題のひとつは、Etsyのスターセラープログラムだった。これは一定の基準を満たした売り手に与えられるバッジで、売り手には検索結果で上位に表示されるなどのメリットが与えられる。ISGは、このスターセラーの条件である、3カ月間に最低10件の注文を完了することなどが、実際に商品を手作りしているクリエイターを犠牲にしてアリババ製品の転売にインセンティブを与えていると主張した。Etsyは2022年5月、ISGのキャンペーンを直接認めることなく方針を変更、5件の注文のみとした。

自分たちが築いてきたマーケットプレイスのために戦う

ISGの活動の多くはEtsyに集中しているが、ボイド氏によると、ほかのマーケットプレイスの売り手にも同様の問題が存在する。Etsyの売り手は、昨年2月に同プラットフォームが突然実施した30%の手数料の引き上げに不満を持っているが、他の大手プラットフォームにも頻繁に偽造品が現れるため、どこかほかの場所での販売に切り替えるというわけにはいかないのだ。

「いくつかの代替的な場所はある。ゴーイマジン(GoImagine)がそのひとつだが、ハンドメイドのeコマースマーケットプレイスという意味では、Etsyは本当にリーダー的存在だ」とボイド氏は言う。「したがって、より好ましい方針の競合他社があっても、ユーザーは他のそうしたサイトでは買い手がかなり少ないことを比較検討しなくてはならない」。

Amazonは、プラットフォームで偽造品を販売しているとして定期的に非難されており、あまりにひどいために恐れをなしてAmazonでの販売を避けているラグジュアリーブランドやファッションブランドがあるくらいだ。

ISGがEtsyの売り手にほかの場所へ移ることを奨励するのではなく、売り手のために事態を改善しようとするのはなぜかと尋ねると、ISGのプレジデントであるクリスティ・キャシディ氏は、それは実際的な理由とプライドが要因だと答えた。

「Etsyがもたらしてくれる収入が縮小の一途をたどっていても、それらを失うことはできない。だが、Etsyにこうした巨大な購買層があるのは、私たちのおかげだというのも事実だ」とキャシディ氏は言う。「Etsyが実際すばらしい条件だった頃、つまり2017年のウォール街による買収以前には、私たちはすばらしいものを作り、すばらしい取引相手となり、とことん宣伝することでEtsyを築いてきた。もし私たちが離脱したら、10年以上にわたるこうした苦労を途中で放棄し、将来もっとよい待遇を受けられることを期待して、どこか別の場所でまた初めからやり直すことになる。別の場所を作ろうとするよりも、すでに自分たちが築いたマーケットプレイスのために戦う方が理にかなっている」。

[原文:As Etsy faces counterfeit allegations, sellers band together to fight for change]

DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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