卵かつ丼なのにサクサクしてる。かつ丼のジレンマを解決した存在・卵とじないカツ丼。最近の焼きカツ丼ブームから昔ながらの店まで、色んな名前で呼ばれているそんなかつ丼たちを探し出しアーカイブするのが本連載『卵とじないカツ丼を探せ』だ。
まあ、平たく言えば趣味も兼ねたメモ。ゆえに、食べ歩くにつれ、こう思うようになっていた。「立ち食いそば屋でとじないカツ丼があったらいいのになあ」と。
・フラッと入った立ち食いそば屋
実は、私(中澤)は『立ち食いそば放浪記』という連載もやっている。かつ丼が好きになったのも入口はそば屋だ。それほどに、そばとかつ丼は相性が良い。本格インドカレーを売りにする立ち食いそば屋があるんだから、とじないカツ丼があってもいいのではないか。
何も、焼きカツ丼の専門店くらい良い肉を使って欲しいというわけではない。そばと合わせてちょっとしたウマさとコスパが感じられるような、通えることに振った店が欲しいのである。と、そう思っていたところ本当にあった。フラッと入った立ち食いそば屋でなんとなくかつ丼セットを注文したところ……
とじてない!
・かけスタイル
卵は別でとじられており、それがかけ布団のようにとんかつにかけられているのだ。四谷『鈴新』と同じスタイルである。
言うまでもなく、衣はサクサクのまま。さらには、肉が柔らかく、低温調理っぽいしっとりとした肉感がある。ただとじないカツ丼なだけではなくちゃんとウマイのが良い。
1つだけメニュー写真を見て気になっていたのは、セットのかつ丼のとんかつが3切れなことだが、食べてみると肉が厚いため十分な量がある。良かった。印象だけで「厚みかつ1きれ」をトッピングしないで。
・そばもウマイ
そんな店の名前は『中村麺兵衛』。公式サイトによると、渋谷や相模原にも店舗を展開しており、茨城県や栃木県には十割そば店も展開するおそば屋さんのようだ。
ゆえに、そばも普通にウマイ。しっかりした歯ごたえがあってのど越しにキレがある。私が注文したのは「厚みかつ丼とピリ辛温玉つけそば(税込み1080円)」だが、ピリ辛温玉つけそばはラー油が入った港屋インスパイアのつゆ。麺のガチさに比べて、こういうジャンクめなメニューも揃っているのは魅力だと思う。
・ハイブリッド立ち食いそば屋
それゆえか、昼時を少し過ぎた時間帯でも店内はいっぱいであった。この近辺で働く人や住民にとってはすでに密かな話題の店となっているのかもしれない。
まあ、分かる。私も次池袋に来たらまた寄りたいと思ったし、住んでたらめっちゃ通ってるだろう。それほどにバランスの良さを感じたこの店。言うならば、ハイブリッド立ち食いそば屋と言える。こういう店を待っていた。