アドビ株式会社は2月21日、「クリエイティブツールスキルの企業採用におけるニーズの変化」に関する調査結果を公表した。営業や企画などの非クリエイティブ職でも写真・画像の加工や動画の編集ができる「クリエイティブツールスキル」が求められているとしている。
なお、この調査における「非クリエイティブ職」とは、クリエイティブ職を除く営業、企画、経営、管理、事務などの職種。「クリエイティブツールスキル」とは、ソフトウェアを使って簡単な写真や画像の編集や加工、動画編集、イラスト作画、チラシやポスターのデザインなどができることとしている。
非クリエイティブ職においてクリエイティブツールスキルは求められているのだろうか? アドビでは、転職サイト「マイナビ転職」が作成した「2022年11月度 正社員求人掲載数・応募数推移レポート」をもとに2010年と2022年の数字を比較している。
「非クリエイテイプ職中途採用の求人における、“クリエイティブスキル歓迎”の記載がある割合の変化」では、2010年から2022年の間に、「管理・事務」で4.7倍、「営業」で4倍、「企画・経営」で2.4倍に増えているという。
このように営業にクリエイティブツールスキルが求められるようになったのは、オンライン商談において、画像や動画を用いた資料を制作することが多くなったと考えられるとしている。
また、採用担当者に対して「中途採用をする際、非クリエイティブ職において、クリエイティブツールスキルの重要性が高まっていると感じるか?」と質問すると、「とてもそう思う」が25.5%、「少しそう思う」が42.0%、「あまりそう思わない」が23.5%、「全くそう思わない」が9.0%だった。
このように中途採用において、非クリエイティブ職におけるクリエイティブツールスキルは重要視されており、平均月収で3万8000円の差が出るとしている。
同様に、派遣社員の採用における調査結果がある。
「派遣採用をする際、非クリエイティブ職において、クリエイティブツールスキルを持つ方を優先する場面が増えてきたか?」との質問では、「とてもそう思う」が26.5%、「少しそう思う」が49.0%、「あまりそう思わない」が20.0%、「全くそう思わない」が4.5%だった。
優先する場面として「面接」が挙げられており、派遣社員を採用する担当者の約8割は「クリエイティブツールスキルを持つ派遣社員の方を面談時に優先する場面が増えている」と答えている。一方、求職者の約7割が、面接時に「採用担当者からクリエイティブツールスキルの有無を聞かれることが増えた」という。
その結果、派遣社員の採用担当者の約8割が、同等の能力を持つ人材と比較した場合、クリエイティブツールスキルを持っている人材であれば時給で平均82.8円優遇できるとしている。月給に換算すると平均1万4572円だ。
また、「現在(2022年12月時点)、自社内で非クリエイティブ職を対象にクリエイティブツールスキルの向上を目的とした取り組みを実施しているか?」と質問。「実施している」が33.5%、「実施予定」が19.0%、「予定はない」が47.5%だった。
2021年の調査では、「実施している」が21.3%、「実施予定」が18.3%、「予定はない」が60.3%だった。2021年と比べると2022年は、クリエイティブツールスキルの向上を目的とした取り組みを実施している企業が12.2ポイント増加している。
この調査結果についてアドビ常務執行役員兼CMO(最高マーケティング責任者)の里村明洋氏は、「デジタル人材育成は、急務とされる企業のDXを推進するだけでなく、個人にとっても副業や転職の武器を持つことに繋がる」としている。
求職・転職者および採用者へのアンケート調査は、全国の求職・転職者(正社員/派遣社員から各200人)、1都3県・愛知・大阪の採用者(中途採用/派遣採用から各200人)を対象に、2022年12月3日~5日に行われた。