14年ぶりの宇宙飛行士候補となった2人–自身の強み、影響を受けた作品、幼少の経験など語る

CNET Japan

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月28日、14年ぶりとなる新たな宇宙飛行士の選抜結果を発表した。諏訪理さん(46歳)と、米田あゆさん(28歳)が宇宙飛行士候補に選ばれた。

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 諏訪理(すわまこと)さんは、1977年生まれの46歳。現在は世界銀行上級防災専門官を務めている。出身地は茨城県つくば市。2007年6月にプリンストン大学大学院地球科学研究科を修了後、2008年に青年海外協力隊でルワンダに派遣、2010年11月に国際連合・世界気象機関(WMO)に入社、2014年3月に世界銀行入行し現在に至っている。

 米田あゆさんは1995年生まれの28歳。出生地は東京都。2019年3月に東京大学医学部医学科を卒業後、同年4月に東京大学医学部附属病院に入職、2021年4月に日本赤十字社医療センター入職、2022年10月に虎の門病院に派遣され現在に至っている。

 2人は「専門分野や学歴で門戸を絞らない」とするJAXAの選抜方針のもと、4127人という応募者から選ばれた。今後は基礎訓練の結果を踏まえ、JAXA飛行士として正式に認定される予定だ。なお、JAXAが新たな宇宙飛行士候補を選別したのは約14年ぶりとなる。

 同日11時半から開催された会見では、2人にさまざまな質問が飛び出した。なお、諏訪理さんは米国ワシントンDC周辺に居住している関係で、リモートでの会見参加となった。

──多くの方から選ばれた感想や心境は

 諏訪理さん:合格の連絡を(電話で)いただいたのが24時間前、まず最初に驚いた。大きな責任を追うことになったという感覚。昨夜は気持ちが高ぶってあまり眠れなかったが、今後大きなキャリアシフトになっていくんだなと。しっかりと仕事をしていかなければならないという気持ちを強く持った。

 米田あゆさん:一番最初は喜びと同時に驚き、そして選んでいただいたという責任感や使命を感じて身が引き締まる感覚、最後にこれまで支えてくださった方々に対する感謝の気持ちがこみ上げてきた。驚き、喜び、身が引き締まる気持ち、感謝という順に気持ちがこみ上げてきた。

──合格の自信はあったか

 諏訪理さん:2次試験や3次試験で出会った方々は素晴らしい方ばかり。合格する自信は殆どなかった。

 米田あゆさん:正直あったとは言えない。なので驚きが一番最初に来た。

──ご自身の強みはどのように認識されているか

 諏訪理さん:目標を立ててそれに向かって淡々と努力をするのが得意。長時間にわたっても諦めない粘り強さがあると自分では思っている。

 米田あゆさん:職業的には医師としての働き。これまでの学びを活かせればと思っている。特性としては、人の輪があったときに、嫌な思いがする人がいないように、その場を和ますことをモットーとしている。国際間のさまざまなクルーとの間で、チームの和を大切にできる存在だと思っている。

──宇宙飛行士を目指すようになったきっかけは

 諏訪理さん:きっかけは幼少期、いくつかの体験を通じて宇宙飛行士になりたいという思いが強くなった。私は茨城県つくば市の出身だが、小学3年生の時に近所で開催された科学万博に両親が何度も連れていってくれて、宇宙や科学に興味を持つきっかけとなった。

 小学5年生の頃、アポロ17号の船長に直接お会いする機会があり、「目の前のこの人は宇宙に行ったのか」と宇宙飛行士に興味をもった。私が中学生の頃、秋山豊寛さんが日本人で初めて宇宙に行った際には、宇宙に行くまでのプロセスをテレビにかじりついて見ていた。また、高校生の頃に毛利衛さんが日本人で初めてスペースシャトルに搭乗して宇宙に行かれた。その帰国報告会に参加させていただいて、宇宙に行った人が語る言葉の重みに惹かれて宇宙飛行士になりたいと思った。

 米田あゆさん:宇宙へのきっかけは幼少期だった。小さい頃に父からいただいた向井千秋さんの伝記をもらったのがきっかけ。それを読んで、漫画で描写されていた、向井さんが宇宙から地球を眺めて感動してらっしゃる姿に感銘を受けて、宇宙飛行士という職業を知るきっかけになった。

──影響を受けた映画や書籍はあるか

 諏訪理さん:多くの宇宙飛行士も挙げられているが、立花隆さんの著作である「宇宙からの帰還」や、映画は「スターウォーズ」などのSFや、「アポロ13号」というか、宇宙を題材とした映画は見るようにしている。

 米田あゆさん:きっかけとなったのは向井千秋さんの伝記の漫画だったが、「ライトスタッフ」という映画があり、米国の一番最初の宇宙飛行士の選抜と宇宙に飛び立つ様子が描かれていて、選抜の際に勇気をもらった。

──どのような飛行士になりたいか

 諏訪理さん: 幼少期に宇宙飛行士から実際に話を聞いたり、テレビを通じて語る宇宙飛行士から夢や希望、モチベーションをいただいてきたので、自分も同じようにできればと思っている。

 米田あゆさん:日本や世界の皆さんに、友達感覚で、身近に感じられる宇宙飛行士になりたいと思っている。

──運動経験は

 諏訪理さん:コロナのリモートワークをきっかけに走り始め、今ではすっかりランニングが趣味となった。中学校まで野球、高校は弓道をかじっていた。趣味は料理。

 米田あゆさん:運動は好きで、中学時代はテニス部、大学時代はテニス加えてヨット、そのほかゴルフや乗馬を楽しんでいる。マラソンの経験もあるが、今後はトライアスロンにチャレンジしてみたい。

──地球外生命は信じるか

 諏訪理さん:いるんだろうと。広い宇宙なので。ただ、遭遇することはあるのかと聞かれると、遭遇したら面白い。遭遇する機会があればいいなと思っている。

 米田あゆさん:いるだろうとは信じているし、いてほしいという願望の両方がる。地球が豊かになったのは奇跡の連続だと思うが、宇宙はとても広いので、そういった奇跡は他のところでも起こっていると考える。

──前回(2009年)の選抜には応募したのか

 諏訪理さん:前回は1次試験で不合格だった。これで小さい頃からの思いにけじめを付けられると思ったが、不完全燃焼になってしまい、次回の応募を待っていたところアナウンスがあったので応募した。

 米田あゆさん:私は当時中高生で応募資格がなかった。今回選抜がアナウンスされた時に幼少期の夢がぶり返してきた。

 (この記事は「UchuBiz」からの転載です)

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