【Hothotレビュー】傑出したゲーム性能と電力性能比が光る「Ryzen 9 7950X3D」をベンチマーク

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Ryzen 7000X3D

 AMDは3月3日より、Zen 4ベースのCPUに3D V-Cache搭載した「Ryzen 7000X3D」シリーズ製品を日本国内で発売する。価格は最上位の「Ryzen 9 7950X3D」が11万1,800円、上位の「Ryzen 9 7900X3D」が9万5,800円だ。

 今回、発売に先立って同シリーズの最上位モデルであるRyzen 9 7950X3Dをテストする機会が得られた。AMDが“究極のゲーミングプロセッサである”とするRyzen 7000X3Dシリーズのパフォーマンスをベンチマークテストで確かめてみよう。

“究極のゲーミングプロセッサー”Ryzen 9 7950X3Dの実力は?最速ライブで解説!【2月27日(月) 22:30より】

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Ryzen 9 7950X3Dを最速ライブ解説! 2月27日(月) 22:30より。つまり、この記事を読んでいるあなたは今すぐ見ることができます! 23:00からはベンチマーク結果の解説とそれに続いて実動デモを予定。解説はベンチの鬼にしてハードコアゲーマーの“KTU”加藤勝明氏、MCは“改造バカ”こと高橋敏也氏のゴールデンコンビ。さらに日本AMDの佐藤美明さんにもお越しいただき、AMD公式配信AMD HEROES WORLDとのコラボ配信としてお届けします。(配信終了後は即時アーカイブを視聴いただけます)

合計128MBのL3キャッシュを備えるRyzen 9 7950X3D

 Ryzen 9 7950X3Dは、Zen 4アーキテクチャと3D V-Cacheを採用したRyzen 7000X3Dシリーズの最上位となる16コア/32スレッドCPU。対応CPUソケットはSocket AM5。

 Ryzen 9 7950X3DのCPUパッケージには、5nmプロセスで製造されたCCD(Core Chiplet Die)が2基と、6nmプロセスで製造されたIODが1基が実装されており、このうちCCDの1基に3D V-Cacheと呼ばれる64MBのSRAMを積層している。これにより、3D V-Cache搭載CCDは96MB、非搭載CCDは32MB、合わせて128MBのL3キャッシュ容量を実現した。

 1つのCCDに3D V-Cacheを搭載したことを除けば、従来のRyzen 7000シリーズ最上位モデルであるRyzen 9 7950XとCPUコア数やIO機能などは同等で、IODにはRDNA 2ベースのGPUコア「Radeon Graphics」も搭載されている。

 一方、電力指標であるTDPが170Wから120Wに引き下げれており、これに伴って電力リミットのPPTやベースクロックが引き下げられたほか、サーマルスロットリングの作動温度であるTjMAXも95℃から89℃に変更されている。

【表1】Ryzen 9 7950X3Dの主な仕様
モデルナンバー Ryzen 9 7950X3D Ryzen 9 7950X
CPUアーキテクチャ Zen 4 Zen 4
製造プロセス 5nm CCD + 6nm IOD 5nm CCD + 6nm IOD
CPUコア数 16 16
CPUスレッド数 32 32
L2キャッシュ 16MB 16MB
L3キャッシュ 128MB (96+32MB) 64MB (32+32MB)
ベースクロック 4.2GHz 4.5GHz
ブーストクロック 5.7GHz 5.7GHz
CPU内蔵GPU (iGPU) Radeon Graphics Radeon Graphics
GPUコア数 2 2
ストリーミングプロセッサ 128基 128基
対応メモリ DDR5-5200(2ch) DDR5-5200(2ch)
PCI Express PCIe 5.0 PCIe 5.0
TDP 120W 170W
PPT 162W 230W
TDC/EDC 120A/180A 160A/225A
TjMAX 89℃ 95℃
対応ソケット Socket AM5 Socket AM5

3D V-Cache搭載16コア/32スレッドCPU「Ryzen 9 7950X3D」

Ryzen 9 7950X3DのCPU-Z実行画面

 Ryzen 9 7950X3Dでは、2個のCCDのうち1基にのみ3D V-Cacheを搭載しているため、このキャッシュを効果的に活用するためにはドライバの導入が必要となる。

 「3D V-Cache パフォーマンス・オプティマイザードライバー」と呼ばれるこのドライバは、チップセットドライバと合わせて提供されるもので、ゲーム実行中は3D V-Cache非搭載CCDを保留状態にして3D V-Cache搭載CCDに処理を割り振る一方、ゲーム以外では(3D V-Cacheが上に載っていない分)より高クロック動作が可能な非搭載CCDに処理を割り振るという機能を備えている。

Ryzen 9 7950X3Dの3D V-Cacheを効果的に活用するためには、対応ドライバの導入が必要

テスト機材と比較環境

 Ryzen 9 7950X3Dの比較機材には、16コア/32スレッドCPUの「Ryzen 9 7950X」と、従来の3D V-Cache搭載CPU「Ryzen 7 5800X3D」、Intel最新の24コア/32スレッドCPU「Core i9-13900K」を用意した。

 Ryzen 9 7950X3DとRyzen 9 7950Xは、どちらもSocket AM5対応マザーボードである「ASRock X670E Taichi」に搭載してテストを行なうが、Ryzen 9 7950X3DにのみAMD提供の対応BIOSとドライバを導入している。メインメモリについては各CPUの最大メモリクロックに調整した。

 また、今回はゲーミング性能に注目した製品の検証であるため、ビデオカードにはGeForce RTX 4090 Founders Editionを使用し、AMDの推奨設定に従ってVBS(Virtualization Based Security)を無効化している。そのほかの機材については以下の通り。

【表2】テスト機材
CPU Ryzen 9 7950X3D Ryzen 9 7950X Ryzen 7 5800X3D Core i9-13900K
コア数/スレッド数 16C/32T 16C/32T 8C/16T 8P+16E/32T
L2キャッシュ 16MB 16MB 4MB 32MB
L3キャッシュ 128MB (96+32MB) 64MB (32+32MB) 96MB 36MB
CPU電力リミット PPT=162W PPT=230W PPT=142W PL1=PL2=253W
CPU電流リミット TDC=120A、EDC=180A TDC=160A、EDC=225A TDC=95A、EDC=140A IccMAX=400A
CPU温度リミット 89℃ 95℃ 90℃ 100℃
マザーボード ASRock X670E Taichi ASUS TUF GAMING X570-PRO WIFI II GIGABYTE Z790 AORUS ELITE AX
BIOS 1.15.SMU215 1.11.AS06 4601 F3
メモリ DDR5-5200 16GB×2 (2ch、42-42-42-84、1.1V) DDR4-3200 16GB×2 (2ch、22-22-22-52、1.2V) DDR5-5600 16GB×2 (2ch、46-45-45-89、1.1V)
CPUクーラー ADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%)
ビデオカード GeForce RTX 4090 Founders Edition (24GB)
GPUドライバ GRD 528.49 (31.0.15.2849)、Resizable BAR=有効
システム用SSD CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
アプリケーション用SSD CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB 10Gbps)
電源 玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1,200W/80PLUS Platinum)
OS Windows 11 Pro 22H2 (build 22621.1265、VBSオフ)
電源プラン バランス
計測 HWiNFO64 Pro v7.36、ラトックシステム RS-BTWATTCH2
室温 約24℃

16コア/32スレッドCPU「Ryzen 9 7950X」

3D V-Cache搭載8コア/16スレッドCPU「Ryzen 7 5800X3D」

24コア/32スレッドCPU「Core i9-13900K」

GeForce RTX 4090 Founders EditionのGPU-Z実行画面

ベンチマーク結果

 それでは、ベンチマークテストの結果をみていこう。

 実施したベンチマークテストは、「Cinebench R23」、「Blender Benchmark」、「やねうら王」、「Adobe Photoshop」、「DaVinci Resolve 18」、「HandBrake」、「TMPGEnc Video Mastering Works 7」、「PCMark 10」、「SiSoftware Sandra」、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「Forza Horizon 5」、「オーバーウォッチ 2」、「フォートナイト」、「エーペックスレジェンズ」、「サイバーパンク2077」、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」、「Microsoft Flight Simulator」。

Cinebench

 CPUの3DCGレンダリング性能を測定するCinebench R23では、Multi CoreとSingle Coreを実行した。

 Multi Coreでは、35,320を記録したRyzen 9 7950X3Dは3番手となっており、全体ベストのCore i9-13900Kを約9%、Ryzen 9 7950Xを約5%下回り、Ryzen 7 5800X3Dを約153%上回った。

 Single Coreでは、2,040を記録したRyzen 9 7950X3Dが2番手で、全体ベストのCore i9-13900Kを約9%下回り、Ryzen 9 7950Xを約1%、Ryzen 7 5800X3Dを約38%上回った。

【グラフ01】Cinebench R23 (R23.200)「Multi Core」

【グラフ02】Cinebench R23 (R23.200)「Single Core」

3DMark「CPU Profile」

 3DMarkの「CPU Profile」において、Ryzen 9 7950X3Dは16スレッド以上ではRyzen 9 7950Xを約10%下回ったものの、8スレッドでほぼ同等のスコアを記録しており、4スレッド以下になると約1%という僅差ながらRyzen 9 7950Xを上回った。

 そのほかのCPUとの比較では、Ryzen 7 5800X3Dを25~100%上回り、Core i9-13900Kを16スレッドで23%上回ったが、ほかの条件では5~11%下回っている。

【グラフ03】3DMark v2.25.8056「CPU Profile」(1/2)

【グラフ04】3DMark v2.25.8056「CPU Profile」(2/2)

Blender Benchmark

 Blender Benchmarkでは、Ryzen 9 7950X3DはRyzen 9 7950Xに次ぐスコアを記録しており、Ryzen 9 7950Xを2~5%下回った一方で、Ryzen 7 5800X3Dを153~169%、Core i9-13900Kを1~4%上回った。

【グラフ05】Blender Benchmark 3.1.0 (Blender v3.4.0)

将棋ソフト「やねうら王」

 将棋ソフトの「やねうら王」では、ベンチマーク機能を利用してマルチスレッドテストとシングルスレッドテストを実行した。

 マルチスレッドテストでは、Ryzen 9 7950X3Dは全体2番手のスコアを記録しており、Ryzen 9 7950Xを約5%下回り、Ryzen 7 5800X3Dを約149%、Core i9-13900Kを約1%上回った。

 シングルスレッドテストでは、Ryzen 9 7950X3Dが全体ベストを記録しており、Ryzen 9 7950Xを約1%、Ryzen 7 5800X3Dを約26%、Core i9-13900Kを約4%上回った。

【グラフ06】やねうら王 v7.61「マルチスレッド (bench 128 nT 19)」

【グラフ07】やねうら王 v7.61「シングルスレッド (bench 128 1 19)」

Adobe Photoshop Camera Raw

 Adobe Photoshopでは、プラグインのCamera RAWを使用して2,400万画素のRAWファイル×100枚を最高画質のJPEGファイルに変換するのにかかった時間から、その変換速度を比較した。

 Ryzen 9 7950X3Dの変換速度は6.71fpsで、全体ベストのCore i9-13900Kを約17%、Ryzen 9 7950Xの2.94fpsを約11%下回り、Ryzen 7 5800X3Dを約60%上回った。

【グラフ08】Adobe Photoshop Camera Raw (v15.2.0.1381)「RAW→JPEG変換」

DaVinci Resolve 18

 DaVinci Resolve 18では、カメラで撮影した2160p60(4K60p)動画に字幕を追加したものを、YouTube向けプリセットでレンダリングした際の処理速度を比較した。

 フルHD(1080p60)でのレンダリングでは、128.6fpsのRyzen 9 7950X3Dが全体2番手の速度を記録しており、Core i9-13900Kを約11%下回った一方で、Ryzen 9 7950Xを約7%、Ryzen 7 5800X3Dを約75%上回った。

 4K(2160p60)でのレンダリングでは、75.0fpsを記録したRyzen 9 7950X3DとRyzen 9 7950Xが2位タイで、Core i9-13900Kを約13%下回り、Ryzen 7 5800X3Dを約13%上回った。

【グラフ09】DaVinci Resolve 18 (v18.1.3 BUILD 8)

動画エンコードソフト「HandBrake」

 オープンソースの動画エンコードソフト「HandBrake」では、フルHD(1080p)と4K(2160p)の動画ソースをCreatorプリセットでエンコードして、その処理速度を比較した。

 Ryzen 9 7950X3Dは4KからフルHDへの変換でRyzen 9 7950Xと並んでいるが、そのほかの条件ではRyzen 9 7950Xを4~10%下回った。ほかのCPUとの比較では、Core i9-13900Kを4~11%下回り、Ryzen 7 5800X3Dを110~123%上回った。

【グラフ10】HandBrake v1.6.1

動画エンコードソフト「TMPGEnc Video Mastering Works 7」

 動画エンコードソフトのTMPGEnc Video Mastering Works 7では、フルHD(1080p)と4K(2160p)のソース動画をH.264形式とH.265形式に変換した際のエンコード速度を計測した。

 H.264形式への変換でのRyzen 9 7950X3Dは、4KからフルHDへの変換でRyzen 9 7950Xと同等だったものの、そのほかの条件ではRyzen 9 7950Xを2~3%下回った。他のCPUとの比較では、Core i9-13900Kを3~9%下回り、Ryzen 7 5800X3Dを43~126%上回っている。

 H.265形式への変換でのRyzen 9 7950X3Dは全体2番手の速度となっており、全体ベストのRyzen 9 7950Xを約5%下回る一方で、Ryzen 7 5800X3Dを74~131%、Core i9-13900Kを5~20%上回った。

【グラフ11】TMPGEnc Video Mastering Works 7 (v7.0.26.29)「H.264形式へのエンコード」

【グラフ12】TMPGEnc Video Mastering Works 7 (v7.0.26.29)「H.265形式へのエンコード」

PCMark 10

 PCMark 10では、もっとも詳細なテストである「PCMark 10 Extended」を実行した。

 Ryzen 9 7950X3Dが記録した総合スコアの14,448は、Ryzen 9 7950Xの14,704に次ぐ全体2番手のスコアで、Ryzen 9 7950Xを約2%下回り、Ryzen 7 5800X3Dを約15%、Core i9-13900Kをわずかに上回った。

【グラフ13】PCMark 10 Extended (v2.1.2574)

SiSoftware Sandra 「CPUベンチマーク」

 SiSoftware SandraのCPUテストから、「Arithmetic」、「Multi-Media」、「Image Processing」の結果を紹介する。

 CPUの演算性能を測定するArithmeticでは、Ryzen 9 7950X3DはRyzen 9 7950Xを5~6%下回り、Ryzen 7 5800X3Dを約144~160%上回った。Core i9-13900Kに対してはDouble-Floatで約3%上回ったものの、そのほかのテストでは10~16%下回っている。

 マルチメディア性能を測定するMulti-MediaでのRyzen 9 7950X3Dは、Double-floatでRyzen 9 7950Xを約3%上回って全体ベストを記録したものの、ほかのテストではRyzen 9 7950Xを1~9%下回って全体2番手となっており、Ryzen 7 5800X3Dを146~262%、Core i9-13900Kを24~98%上回った。

 画像処理性能を計測するImage Processingでは、Ryzen 9 7950X3DがRyzen 7 7950XをBlurとDiffusionで40~49%も上回ったが、その他の処理では逆に4~9%下回っている。この結果は、ゲーム以外でも一部の処理では3D V-Cacheが効果を発揮する可能性を示すものだろう。ほかのCPUとの比較では、Ryzen 7 5800X3Dを23~366%上回り、優劣が分かれたCore i9-13900Kに対しては、有利な処理で7~128%上回り、不利な処理では8~24%下回った。

SiSoftware Sandra「メモリベンチマーク」

 SiSoftware Sandraで、メインメモリの帯域幅とレイテンシの計測を行なった。

 Ryzen 9 7950X3Dのメモリ帯域幅は52.00GB/sで、同じDDR5-5200動作のRyzen 9 7950Xを約6%上回った。最速はDDR5-5600メモリに対応するCore i9-13900Kの69.25GB/sで、DDR4-3200メモリを使用したRyzen 7 5800X3Dは32.00GB/sだった。

 メモリレイテンシについては、69.5nsを記録したRyzen 9 7950X3Dは、66.5nsだったRyzen 9 7950Xより4%ほどレイテンシが増加している。

【グラフ19】SiSoftware Sandra v31.115 「Memory Bandwidth (メモリ帯域幅)」

【グラフ20】SiSoftware Sandra v31.115 「Cache & Memory Latency (メモリレイテンシ)」

SiSoftware Sandra「キャッシュベンチマーク」

 CPU内蔵キャッシュのレイテンシや帯域幅を測定した結果が以下のグラフだ。

 Ryzen 9 7950X3Dのキャッシュは64~256MBの範囲でRyzen 9 7950Xより低いレイテンシを保っており、この範囲では帯域幅でもRyzen 9 7950Xを上回っている。これは、3D V-Cacheによって増加したL3キャッシュの効果が反映された結果だろう。

【グラフ21】SiSoftware Sandra v31.115 「Cache & Memory Latency (レイテンシ)」

【グラフ22】SiSoftware Sandra v31.115 「Cache & Memory Latency (クロック)」

【グラフ23】SiSoftware Sandra v31.115 「Cache Bandwidth」

3DMark

 3DMarkでは、「Speed Way」、「Port Royal」、「Time Spy」、「Fire Strike」、「Wild Life」を実行した。

 特に高負荷なテストであるSpeed WayとPort Royalでは、各CPUのスコアはほぼ横並びとなっている。

 Time Spyでは、Ryzen 9 7950X3Dは全体2番手のスコアを記録しており、全体ベストのCore i9-13900Kを約7%下回り、Ryzen 9 7950Xを約1%、Ryzen 7 5800X3Dを約10%上回った。

 Fire StrikeでのRyzen 9 7950X3Dは全体2番手のスコアを記録しており、全体ベストのRyzen 9 7950Xを約2%下回り、Ryzen 7 5800X3Dを約5%、Core i9-13900Kを約14%上回った。なお、このテストではGraphics SocreでRyzen 7 5800X3Dが傑出したスコアを記録しているが、GeForce RTX 4090は本来この程度のスコアが出せるGPUであり、Ryzen 9 7950X3Dを含むほかのCPUのスコアが奮っていない。これはテスト側のメニーコアCPUに対する最適化不足によるものであると考えられる。

 Wild Lifeでは、Ryzen 9 7950X3DはRyzen 9 7950Xを同等~7%下回って全体3番手となっている。ほかのCPUとの比較では、Core i9-13900Kを3~22%下回り、Ryzen 7 5800X3Dを3~19%上回った。

VRMark

 VRMarkでは、「Orange Room」、「Cyan Room」、「Blue Room」を実行した。

 Orange RoomでのRyzen 9 7950X3Dは、Ryzen 9 7950Xを約9%、Core i9-13900Kを約3%下回り、Ryzen 7 5800X3Dを約8%上回った。

 DirectX 12テストのCyan RoomでのRyzen 9 7950X3Dは最下位に沈んでおり、Ryzen 9 7950Xを約6%、Ryzen 7 5800X3Dを約41%、Core i9-13900Kを約49%下回った。このテストはCCDを2基備えたCPUでスコアが著しく低くなる現象が知られており、Ryzen 9 7950X3DとRyzen 9 7950Xの結果はテストとの相性によるものだ。

 5K解像度で実行されるBlue Roomについては各CPUのスコアが横並びとなっており、CPU性能の差がスコアに反映されていない。

【グラフ29】VRMark v1.3.2020「スコア」

【グラフ30】VRMark v1.3.2020「平均フレームレート」

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」にして、3種類の画面解像度でテストを実行した。

 キャッシュ容量やメモリ性能がスコアに反映されやすいことで知られるこのテストにおいて、Ryzen 9 7950X3Dは全ての条件で全体ベストかつ傑出したスコアを記録。Ryzen 9 7950Xを21~22%、Ryzen 7 5800X3Dを7~19%、Core i9-13900Kを7~10%上回った。

【グラフ31】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「スコア」

【グラフ32】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「平均フレームレート」

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、描画品質を「高品質」にして、3種類の画面解像度でテストを実行した。

 Ryzen 9 7950X3Dはここでも全体ベストとなるスコアを記録しており、Ryzen 9 7950Xを同等~7%、Ryzen 7 5800X3Dを1~3%、Core i9-13900Kを1~2%上回った。

【グラフ33】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.3

Forza Horizon 5

 Forza Horizon 5では、描画品質を「エクストリーム」に設定したフルHD~4Kの画面解像度と、フルHD解像度で描画品質を「中」に引き下げた高fps設定で、ゲーム内ベンチマークモードを実行した。

 Ryzen 9 7950X3Dは全ての条件でほかのCPUを上回る平均フレームレートを記録。Ryzen 9 7950Xを2~16%、Ryzen 7 5800X3Dを5~29%、Core i9-13900Kを5~9%上回った。

【グラフ34】Forza Horizon 5 (v1.553.89.0)

オーバーウォッチ 2

 オーバーウォッチ 2では、描画品質を「エピック」に設定したフルHD~4Kの画面解像度でフレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fps。

 Ryzen 9 7950X3DはフルHDでCore i9-13900Kに次ぐ全体2番手の556.8fpsを記録する一方、WQHDではCore i9-13900Kを約4%上回って全体ベストを記録した。計測誤差の生じやすいテストであることも事実だが、フルHDについては最大フレームレートがゲーム側で600fpsで頭打ちになることが、Core i9-13900Kと僅差の結果となった一因だろう。なお、4KについてはGPU性能のボトルネックによって各CPUのフレームレートは横並びとなっている。

【グラフ35】オーバーウォッチ 2 (v2.3.0.0.109691)

フォートナイト

 フォートナイトでは、グラフィックプリセット「最高」をベースにNaniteやLumenを無効化した設定で、フルHD~4Kの画面解像度と、アンチエイリアスを「TAA」と「TSR最高」に設定した場合のフレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIはDirectX 12。

 アンチエリアス「TAA」では、各CPUの性能差が反映されたWQHD以下の画面解像度においてRyzen 9 7950X3DがほかのCPUを凌駕しており、Ryzen 9 7950Xを16~21%、Ryzen 7 5800X3Dを18~27%、Core i9-13900Kを5~7%上回った。

 アンチエリアス「TSR最高」では、TAAでは差がつかなかった4Kを含めた全ての条件でRyzen 9 7950X3Dがトップに立っており、Ryzen 9 7950Xを13~21%、Ryzen 7 5800X3Dを14~27%、Core i9-13900Kを2~5%上回った。

【グラフ36】フォートナイト (v23.40)「アンチエイリアス=TAA」

【グラフ37】フォートナイト (v23.40)「アンチエイリアス=TSR最高」

エーペックスレジェンズ

 エーペックスレジェンズでは、描画品質を可能な限り高く設定して、フルHD~4Kの画面解像度でフレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。

 このゲームでは平均フレームレートに各CPUの差がほとんど反映されていない。強いて言えばRyzen 7 5800X3DがややほかのCPUに遅れをとっている様子だが、いずれのCPUもGPU性能を最大限に発揮できていると言える結果だ。

【グラフ38】エーペックスレジェンズ (v3.0.26.26)

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077では、グラフィックプリセットを「レイトレーシング:ウルトラ」にして、フルHD~4Kの画面解像度でベンチマークモードを実行した。

 Ryzen 9 7950X3Dは、フルHDで2番手のCore i9-13900Kを約5%上回っており、WQHD以上の解像度ではCore i9-13900Kをわずかかに下回ってはいるが、GPUのボトルネックにより頭打ちとなった結果と言って差し支えない程度の差だ。ほかのCPUに対してはCPU性能差がついたWQHD以下の条件において、Ryzen 9 7950Xを10~23%、Ryzen 7 5800X3Dを10~24%上回った。

【グラフ39】サイバーパンク2077 (v1.61)

モンスターハンターライズ:サンブレイク

 モンスターハンターライズ:サンブレイク では、描画品質を「高」にして、フルHD~4Kの画面解像度でフレームレートを計測した。

 このゲームではRyzen 9 7950X3DとCore i9-13900Kがほぼ横並びとなっており、CPU性能の差が大きく反映されているWQHD以下の解像度において、Ryzen 9 7950Xを約16%、Ryzen 7 5800X3Dを28~29%上回った。

【グラフ40】モンスターハンターライズ:サンブレイク (v14.0.0.0)

Microsoft Flight Simulator

 Microsoft Flight Simulatorでは、描画設定を「ウルトラ」にしたフルHD~4Kの画面解像度と、フルHD解像度で描画品質を「ミドル」に引き下げた高fps設定でフレームレートを測定した。グラフィックスAPIは「DirectX 12」で、羽田空港から関西国際空港へのルートをエアバスA320neoでAIに飛行させ、離陸から3分間の平均フレームレートを計測している。

 かつてRyzen 7 5800X3Dをレビューした際、3D V-Cacheの効果が顕著に表れたのがMicrosoft Flight Simulatorだったが、今回のテストでも3D V-Cacheの効果はてき面で、Ryzen 9 7950X3DはRyzen 9 7950Xを38~57%、Ryzen 7 5800X3Dを12~27%、Core i9-13900Kを30~45%も上回った。

【グラフ41】Microsoft Flight Simulator (v1.30.12.0)

CPUベンチマーク実行中のシステム消費電力と電力効率

 ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、CPUベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。

 アイドル時消費電力がもっとも低かったのは63.4WのCore i9-13900Kで、次点が70.5WのRyzen 7 5800X3D。Socket AM5対応CPUであるRyzen 9 7950X3DとRyzen 9 7950Xは93W前後で横並びとなっている。

 CPUベンチマーク実行中の平均消費電力については、224.3~285.0Wを記録したRyzen 9 7950X3Dが、171.9~253.6WだったRyzen 7 5800X3Dに次いで低く、Ryzen 9 7950X(331.3~345.9W)やCore i9-13900K(385.0~397.2W)より明らかに低い消費電力となっている。

【グラフ42】CPUベンチマーク実行中とアイドル時のシステムの消費電力 (平均/最大)

 CPUベンチマークのスコアを平均消費電力で割ったワットパフォーマンスを比較したグラフと、Ryzen 9 7950Xを基準に指数化したグラフを用意した。なお、PhotoshopとTMPGEnc Video Mastering Works 7のワットパフォーマンスについては数値が小さくなりすぎるため1,000倍にしてグラフ化している。

 Ryzen 9 7950X3DワットパフォーマンスはRyzen 9 7950X比で108~141%となっており、特にCPUコアをフル稼働するようなテストでは3~4割ほどRyzen 9 7950Xよりも高い電力効率を実現している。これは比較製品の中でもっとも優れたワットパフォーマンスだ。

【グラフ43】CPUベンチマークのワットパフォーマンス(スコア/平均消費電力)

【グラフ44】CPUベンチマークのワットパフォーマンス (Ryzen 9 7950X比)

ゲームベンチマーク実行中のシステム消費電力と電力効率

 ワットチェッカーを使って計測した、ゲームベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。

 Ryzen 9 7950X3Dの平均消費電力は333.3~596.7Wで、比較製品全体の中での順位はテストによって変動するが、全てのテストでRyzen 9 7950X(354.2~620.0W)より低い消費電力を記録している。

【グラフ45】ゲームベンチマーク実行中のシステムの消費電力 (平均/最大)

 ゲームベンチマークのスコアを平均消費電力で割ったワットパフォーマンスを比較したグラフと、Ryzen 9 7950Xを基準に指数化したグラフを用意した。

 Ryzen 9 7950X3DのワットパフォーマンスはRyzen 9 7950X比で101~130%で、3DMark系のテストでは僅差となっている一方、ファイナルファンタジーXIVとFINAL FANTASY XVではRyzen 9 7950Xを13~30%上回っている。

【グラフ46】ゲームベンチマークのワットパフォーマンス(スコア/平均消費電力)

【グラフ47】ゲームベンチマークのワットパフォーマンス (Ryzen 9 7950X比)

CPU温度とモニタリングデータ(Cinebench R23)

 モニタリングソフトのHWiNFO64 Proを使って取得した、Cinebench R23のMulti Coreテスト実行中のモニタリングデータをまとめてみた。

 Ryzen 9 7950X3DのCPU温度は最大84.9℃(平均83.7℃)で、TjMAXの89℃を下回っている。CPU消費電力も平均140.1Wとなっており、200W以上の電力を消費するRyzen 9 7950XやCore i9-13900Kと比べれば、CPUの発熱量自体は控えめであることが伺える。

 Ryzen 9 7950X3DのCPUクロックは、3D V-Cacheを搭載しているCCD_0が平均4,791MHz、非搭載のCCD_1が平均4,905MHzで動作しており、3D V-Cache非搭載CCDの方が高クロックで動作していることが確認できる。

CPU温度とモニタリングデータ(ファイナルファンタジーXIVベンチマーク)

 Cinebench R23と同じように、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークを「フルHD/最高品質」設定で実行した際のモニタリングデータをまとめてみた。

 Ryzen 9 7950X3DのCPU温度は最大69.6℃(平均61.5℃)で、最大68.4℃(平均60.0℃)だったRyzen 9 7950Xとほぼ同じ結果となっている。

 一方、CPU消費電力については平均56.1Wで、Ryzen 9 7950Xの平均100.8Wより明らかに低い数値となっているのが印象的だ。Ryzen 9 7950X3Dは3D V-Cache パフォーマンス・オプティマイザードライバーによって、ゲーム実行中のCPU処理を3D V-Cache搭載CCDに割り振る一方、非搭載CCDを保留状態にするため消費電力がカットされたものと思われる。

 Ryzen 9 7950X3DのCPUクロックは、3D V-Cache搭載CCDであるCCD_0が平均4,709MHz、非搭載CCDのCCD_1が平均4,062MHzとなっており、Cinebench R23実行時とは逆に3D V-Cache搭載CCDの方が高クロックで動作している。先述の通り3D V-Cache非搭載のCCDは保留状態になっているためクロックも引き下げられているというわけだ。

各CPUの内蔵GPU性能を比較

 最後に、CPUに統合されている内蔵GPUのパフォーマンスを確認する。テスト環境は以下の通りで、内蔵GPU非搭載のRyzen 7 5800X3Dは比較から除外している。

【表3】内蔵GPUテスト機材
CPU Ryzen 9 7950X3D Ryzen 9 7950X Core i9-13900K
コア数/スレッド数 16C/32T 16C/32T 8P+16E/32T
L2キャッシュ 16MB 16MB 32MB
L3キャッシュ 128MB (96+32MB) 64MB (32+32MB) 36MB
CPU電力リミット PPT=162W PPT=230W PL1=PL2=253W
CPU電流リミット TDC=120A、EDC=180A TDC=160A、EDC=225A IccMAX=400A
CPU温度リミット 89℃ 95℃ 100℃
内蔵GPU Radeon Graphics Radeon Graphics UHD Graphics 770
GPUドライバ Adrenaline 22.40.02.02 (31.0.14002.2002) 31.0.101.4091
マザーボード ASRock X670E Taichi GIGABYTE Z790 AORUS ELITE AX
BIOS 1.15.SMU215 1.11.AS06 F3
メモリ DDR5-5200 16GB×2 (2ch、42-42-42-84、1.1V) DDR5-5600 16GB×2 (2ch、46-45-45-89、1.1V)
CPUクーラー ADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%)
システム用SSD CORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
アプリケーション用SSD CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB 10Gbps)
電源 玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1,200W/80PLUS Platinum)
OS Windows 11 Pro 22H2 (build 22621.1265、VBSオフ)
電源プラン バランス
室温 約24℃

 Ryzen 9 7950X3Dの内蔵GPU性能はRyzen 9 7950Xとほぼ同等で、DDR5-5600メモリを用いたCore i9-13900KのUHD Graphics 770に劣る場面も多い。

 RDNA 2ベースでレイトレーシング処理用のRay Acceleratorを備えているため、Speed WayやPort Royalを実行できるというアドバンテージはあるが、ゲーミング性能を期待するほどのGPU性能でないことは、3D V-Cacheを搭載しても変わりない。

優れたゲーミング性能と想像以上のマルチスレッド性能を実現。ゲーマーにもクリエイターにも魅力的な最上位モデル

 Ryzen 9 7950X3DにおけるZen 4アーキテクチャと3D V-Cacheのシナジーは、Core i9-13900Kと同等以上のゲーミング性能を実現し、特にファイナルファンタジーXIVやMicrosoft Flight Simulatorでは比較製品を圧倒してみせた。これはGPUに相応の余力があってこその結果ではあるが、パフォーマンスを追求するゲーマーにとってRyzen 9 7950X3Dは間違いなく有力な選択肢となるだろう。

 期待通りと言える優秀なゲーミング性能を実現する一方で、予想以上に優秀だったのがCPUのマルチスレッド性能だ。3D V-Cacheを搭載する代償として引き下げられたTDPやTjMAXが少なからず性能を制限する枷になると想像していたのだが、実際のRyzen 9 7950X3DはRyzen 9 7950Xに近いマルチスレッド性能を実現していた。

 より複雑なワークロードが発生する実用環境では未知数な部分もあるが、今回のテスト環境では専用ドライバによる処理の割り振りも問題なく機能しており、ゲーム以外でも高いパフォーマンスが得られるのはRyzen 9 7950X3Dの強みである。

 国内での価格は11万1,800円と、Core i9-13900KSとほぼ同じ。デスクトップ向けCPUとしては高価な製品であることは間違いないが、今回のテストで確認できたRyzen 9 7950X3Dの性能は、その価格に相応しいものであると言えるだろう。

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