トルコ大地震の支援金を狙ったネット詐欺が横行中、募金はトルコ共和国大使館へ!【】

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 2月6日、トルコ南部のシリア国境付近を震源地としたM7.8の大地震が発生しました。報道によると、多数の建物が崩壊し、4万人以上の死亡が確認されているうえに、現在100万人以上の人たちが避難生活をしているそうです。現地では衛生環境が悪化するなど悲惨な状態が続いているそうです。日本でも注目度が高く、トルコ大使館や国連、日本赤十字社などで募金を募っています。

 しかし、本連載の過去記事「ウクライナ侵攻に便乗、SNSやクラウドファンディングなどで寄付を募るネット詐欺に注意!」でも紹介したように、注目を集める事件が起きると、ネット詐欺師も便乗するのが常です。

 英BBCの報道によると、TikTokライブで被災地の写真やテレビの報道映像を映しながら「トルコを助けよう」とか「トルコのために祈ろう」、「地震被災者のために寄付をしよう」などと呼び掛けているネット詐欺が横行しているそうです。

 中には、3時間以上にわたって破壊された街の空撮映像をライブ配信したケースもあります。動画には「トルコに寄付して助けよう」とキャプションが表示されていましたが、笑いながら中国語で会話している声が聞こえたそうです。

 Twitterで検索してみると、「トルコの地震災害で被災された方々に届くよう、支援キャンペーンを開始しました」と、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨の口座が記載されているツイートも見つかります。SMSなどで、偽の募金サイトへ誘導する手口もあります。

 また、地震が起きてから、「トルコやシリアのため」と謳い、PayPalの決済サービスを使用する募金活動が観測されました。トルコ在住でPayPalで支援金を受け取りたいというのです。しかし、PayPalは2016年にトルコでサービスを停止しており、現在も再開していません。これだけで詐欺だと断じることはできませんが、募金する際は慎重に内容を確認する必要があります。

SNSで募金を呼び掛けている活動が観測されていますが、要注意です。画像はBBC Newsの該当記事より

 このほかに廃墟で泣いている子どもなどの写真を見せて募金を呼び掛ける投稿も確認されましたが、そのうちのいくつかは数年前の紛争地で撮られた写真で、今回の地震と全く関係ないことが分かっています。ネット詐欺師が、騙すのに効果がありそうな写真を検索して使い回しているのです。

 消防士が子どもを保護している画像も出回っていますが、画像生成AI「Midjourney」で作られたものであることが報告されています。よく見ると、右手の指が6本あるのですが、ぱっと見では違和感がなく、AIで作られた偽の画像だと思わないでしょう。このように画像生成AIを悪用した手口も確認されています。

「Midjourney」で筆者が作った画像です。BBCの記事で公開されているプロンプトどおりに”image of firefighter in aftermath of an earthquake rescuing young child and wearing helmet with Greek flag”と入力すると、それらしい画像を1分ほどで生成できました

 以前から、トルコ人を装ったり、トルコ国内の銀行への振り込みを要求したりするネット詐欺は起きていました。在トルコ日本国大使館は昨年7月、「トルコを舞台とした振り込め詐欺に注意」という注意喚起を行っています。贈与詐欺やロマンス詐欺、投資詐欺といったネット詐欺の事案が複数発生しているので、注意するように、という内容です。これらのネット詐欺をしている輩が、今回のような事態を見逃すはずがありません。

 ネット詐欺に遭わないように、自分で嘘を見抜くデジタルリテラシーを身に付けましょう。特に、PayPalや暗号通貨での支払いを求める時点で怪しいと考えてください。

 募金する場合は、トルコ共和国大使館や在名古屋トルコ共和国総領事館に直接送金することをお勧めします。他の組織でも募金を受け付けていることがありますが、本当に被災地への支援に使われるのか、全額がトルコに渡るかどうかなどを確認しましょう。せっかく募金するのであれば、支援以外に使われてしまっては意味がありません。

※駐日トルコ共和国大使館のTwitterでは振込先の口座を公開しています

あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。

「被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー」の注目記事

高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。

※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと

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