30秒で約9億円の スーパーボウル 広告、他メディアなら何ができる?:数十億のインプレッションに匹敵

DIGIDAY

2023年に入り、あらゆるものの値段が高騰しているが、スーパーボウルでの広告費も例外ではない。2月12日の日曜日にFOXで放送されたこのビッグゲームでは、30秒間の広告料がなんと700万ドル(約9億1000万円)に達し、最高値を記録した。

多くの人が注目するようなライブイベントは、近年、特にパンデミック中は、開催数が減り、間隔も空くようになっているため、スーパーボウルでの広告は価格が高くてもマーケティング担当者にとっては、やはり魅力的である。とはいえ、いま一度その費用対効果を大局的な視点から考察し、700万ドルあれば他のメディアでどんなことができるかを考えてみよう(以前の集計は右記3種類:こちらこちらこちら)。

Netflixで1億2720万インプレッション

以前にDIGIDAYが報じた記事によれば、Netflixの広告付き配信サービスは、広告主に約束した保証数を下回り、予定する視聴者の8割程度への配信にとどまっている。スロースタートに陥る可能性は否めない。それでも、この動画配信サイトは55ドル(約7150円)のCPMを維持していると言われている。そうであるならば、広告主は、30秒のスーパーボウル広告にかかる700万ドルで、Netflixの広告を通じて1億2720万インプレッションを獲得することができる。

インスタグラムのリールで23億インプレッション

インスタグラムのリール機能を使えば、クリエイターはTikTokを再利用してインスタグラムに投稿できるため、実際のTikTokトレンドから3週間程の遅れが生じる可能性があるが、政府のデバイスを経由した場合を含め、完全な禁止のリスクは、単にTikTokへアップロードした場合と比較してゼロに等しい。インスタグラムのリールを使ったこの手法でCPMが1~3 ドル(約130~390円)程度になるのだから、バイヤーにとってインスタグラムは、より魅力的に映る。700万ドルの予算で、このプラットフォームを利用すれば、23億から多ければ70億ものインプレッションを獲得できる計算になる。

TikTokでは16億4000万回のインプレッション

2023年2月第二週にテキサス州知事のグレッグ・アボット氏が、TikTokを州全体で禁止する計画を発表したように、TikTokは禁止される可能性はあるものの、最も話題になっているソーシャルアプリであることに変わりはない。広告バイヤーによると、このプラットフォームのCPMは2.50ドルから4.25ドル(約325円から約553円)の間であるという。

単純に算出すれば、広告主は700万ドルの予算があれば28億から16億4000万程のインプレッションを得ることができる。とはいえ、DIGIDAYがチェックする限りでは、2023年に入りTikTokは、5万ドルから30万ドル(約650万円から約3900万円)の支出をする広告主に対して3~5%の広告クレジットインセンティブを提供している。それゆえ、広告主はTikTokを利用してより大きな利益を得ることができることになる。

Twitterで23億インプレッションと25万ドル分の広告クレジットを獲得

広告主がスーパーボウルで再びTwitterの採用に戻るかどうかは、懐疑的ではあるものの、ここ数週間の大きな話題だった。実際、ペプシのように、このビッグゲームのために戻ってくる企業もある。ただし2023年は、TikTokの一定能力を利用して、この広告の祭典を無難に切り抜けようとしているマーケターも少なくない。いずれにせよ、バイヤーによれば、Twitterの動画広告のCPMは2~3ドル(約260~390円)の間で推移している。700万ドルの予算があれば、広告主はこのプラットフォームで23億から35億のインプレッションを獲得できる。

さらにTwitterはインセンティブも提供しており、スーパーボウルで同プラットフォームにそれだけの費用をかけると、広告主は最大25万ドル(約3250万円)までのマッチング・クレジットを得ることができる。つまり、23億インプレッションを獲得できるだけでなく、25万ドルにも上る広告クレジットを手にすることができる。

YouTubeでは22億1000万インプレッション

広告バイヤーによれば、YouTubeにはスキップできるインストリーム広告(2.72ドル、約354円)とスキップできないバンパー広告(3.26ドル、約424円)の2種類があり、それらは一般利用者に浸透し、3.16ドル(約411円)という高リーチCPMになると言う。つまりYouTubeを採用すれば、広告主は700万ドルのスーパーボウル広告予算で22億1000万インプレッションを獲得できることになる。

56ページの全面広告

DIGIDAYが以前報じたように、マーケターは全面広告を好む傾向にある。声明や発表、キャンペーン内容に一定の重厚感を加えられるからだ。そのような広告主は、時には大掛かりなことをする傾向がある。その一例として、2022年12月に、ゼネラル・エレクトリック(GE)はニューヨークタイムズ紙の印刷広告を1日限定で独占した。TBWAニューヨーク・グループ(TBWA New York Group)会長のロブ・シュワルツ氏が以前DIGDIAYに語ったように、主要新聞の全面広告は2万5000ドルから12万5000ドル(約325万円から約1625万円)の費用がかかるという。単純な算出だが、700万ドルが投じられると、最低価格(2万5000ドル)であれば280ページ分の全面広告を、最高価格(12万5000ドル)であれば56ページ分の全面広告を出稿できる。

ニュースレターで2億8000万インプレッション

特定の視聴者にフォーカスしたいと考えているマーケターには、ニュースレターの利用も有益な手法と言える。以前にもDIGIDAYで報じたように、ニュースレターのCPMはリストサイズにもよるが、5ドルから25ドル(約650円から約3250円)の間とされている。つまり700万ドルの予算があれば、広告主はニュースレターを通じて14億から2億8000万のインプレッションを得ることができる計算になる。

[原文:Here’s what a $7M, 30-second Super Bowl ad can purchase in digital media in 2023

Kristina Monllos(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)

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