ローランド、4機の空飛ぶスピーカーを使ったピアノが攻めすぎてる

GIZMODO

ドローンとの協演。

毎年1月に開催される、世界最大級のテクノロジー見本市「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」は、メーカーがその年に推す自社製品を消費者に宣伝する舞台ですが、それにとどまりません。これから目指すコンセプトや独自技術を紹介する、コンセプトデザインをお披露目する場でもあるのです。

電子楽器メーカーのRoland(ローランド)が発表したのは、なんと演奏者の上空にドローン・スピーカーが浮遊する電子ピアノです。

1973年に国産初電子ピアノ「EP-10」を発売以来、電子ピアノをつくり続けているRoland。今年迎える創業50周年の記念に、「CES 2023」(米国ラスベガス、現地時間1月5日~8日開催)で最新電子ピアノのコンセプトモデルを発表しました。

でも、これ、「欲しい!」となっても買えないのです。たいていのコンセプトモデルと同様に、発売は予定されていないから。

ezgif-5-30536f7e8d
Photo: Roland Corporation

家具ブランドのカリモクと共同開発したこのモデル。国産のナラ材を使用した一体成型の木製ボディが暖かい、印象的なデザインが特徴。アコースティックピアノの伝統的な職人技と、柔軟で機能性に優れる電子機器の融合をイメージした、インパクトのあるピアノです。

テクノロジーも革新的。鍵盤の蓋を開けると大型ディスプレイが現れ、楽譜表示、各種設定、サウンドプロフィール変更、プロの卵向けレッスンなどが可能に。鍵盤は、まるでアコースティックピアノのハンマーで弦を叩いたような自然なタッチとレスポンスを楽しめます。

ezgif-5-9b51094678
Photo: Roland Corporation

50周年記念モデル最大の特長は、自然な音場を再現する14個のスピーカーを配置した「360度スピーカー・システム」を採用したこと。

部屋やホールのあらゆる方向に発音可能なスピーカーは個別に音量調整でき、 ピアノの設置場所や鑑賞者の座席位置に関係なく、臨場感あふれる音が再現されるそう。でもこれはまだ序の口なんです。

ezgif-5-bb1fcd5906
Photo: Roland Corporation

50周年コンセプトモデルでは空間の響きを再現するため、ボディーと同じナラ材製の4台のドローン・スピーカーを、文字通りピアノの上空と周囲の空間に浮遊させています。

ドローンには専用の通信プラットフォームを採用し、「レイテンシー(遅延)を最小限に抑える」ことでドローンとピアノ本体のスピーカーからの発音を同期させています。ドローンの位置は演奏者が弾きながらコントロール可能です。

確かにアイデアは独創的です。でも、ドローンの15メートルくらいに近づけばわかりますが、近くのドローンの音しか聞こえなかったり、4台のドローンのサウンドだけ聞こえて肝心のピアノ本体からは聞こえなかったりする現象があるようで、誰もが「う~ん、いまいち」と感じているとか。

こういう残念な現象でも、初めての演奏会でミスってしまうのを隠せたら大歓迎!とアマチュアだけが喜んでいる限り、ドローン・スピーカーというコンセプトは、CESの思い出の1ページとしてほどなくお蔵入りになってしまうかも。

タイトルとURLをコピーしました