AstroForge、宇宙での資源採掘に向けて2つのミッションを実施

GIZMODO

初の完全民間深宇宙ミッションですって。

世界初の宇宙採鉱を目指すAstroForge(アストロフォージ)社が、初の実証フライトを年内に実施すると発表しました。

AstroForgeは急速に発展しつつある航空宇宙産業に乗じて、深宇宙で金属鉱物を採掘する最初の企業になろうとしています。同社はカリフォルニアを拠点とするスタートアップで、創業1年目である昨年に1300万ドル(約16億7000万円)のシード資金を調達。そして先日、年内に打ち上げ予定の採鉱に関連したミッション2つを正式に発表したのです。ミッション実現のため、同社はOrbAstro、Dawn Aerospace、 Intuitive Machines含む数社と提携しています。

豊富な鉱物資源が得られるかも

宇宙にはプラチナ、金、イリジウム、パラジウム、オスミウムなど、希少な金属を含む鉱物資源が豊富にあるとされています。小惑星1つに存在する物質が何兆ドルももたらすかもしれないため、小惑星採掘には期待が持たれているのです。構想自体は数十年前から存在していましたが、主にコストがかかりすぎることから無理だとされてきました。しかし、ロケットの打ち上げと人工衛星や宇宙機の製造がこれまでになく安価になっており、状況は変わりつつあります。

AstroForgeが対象とするのは、さまざまな産業に使われている白金族元素(PGM)。例えば希少金属であるパラジウムは触媒コンバーターに使われていて、このような自動車部品がよく窃盗犯に狙われる理由となっています。AstroForgeのCEOで共同創業者Matt Gialich氏はリリースの中で、「地上での希少金属の供給には限りがあるため、費用対効果が良くて持続可能な素材を入手するには、深宇宙に目を向けるしかない」 と述べていました。

AstroForgeの2つあるミッションの1つ目は4月に実施される予定。SpaceX(スペースX)の「ファルコン9(Falcon 9)」ロケットが、小惑星と類似の物質が積載されたOrbAstro社提供のキューブサットを打ち上げます。6Uサイズのキューブサットは地球の軌道上で、物質の精錬能力を実証するそう。

2つ目のミッションはさらに本格的な内容で、10月の打ち上げを計画中。Intuitive Machinesが契約しているファルコン9のライドシェアミッションで、Brokkr-2という宇宙機を、およそ2200万マイル(約3540万km)離れた太陽周回軌道上の小惑星のもとへと送り出します。OrbAstroのORB-50衛星プラットフォームをベースにしたBrokkr-2は、同社初の回収ミッションの下準備として目標の小惑星を遠くから観察するとのこと。AstroForgeは時期が来たら、直径66~4920フィート(約20~1500m)の小惑星を狙い、天体に着陸はせず遠くから粉々にして貴重な物質の集合体を収集するつもりです。

宇宙環境への負荷も考慮すべき

OrbAstroは英国、ニュージーランド、ドイツに拠点を持っており、宇宙空間で小惑星を評価するためのペイロードを多数積載する重量220ポンド(100kg)の宇宙機Brokkr-2を開発しているところ。同社のリリースには、同機が月重力アシストとDawn Aerospaceの推進システムを活用した8カ月間に及ぶ飛行を経て目標の小惑星に到達すると書かれていました。

小惑星採鉱がサスティナブルかつ利益の出る事業となるかどうかは現時点ではまだわかりません。地球上での資源採掘には生態系や環境の破壊、温室効果ガスの排出などのデメリットがありますし、かといって小惑星採掘もロケットの打ち上げ回数が頻繁であれば地球にとって有害となり得ます。

小惑星採掘に対しては賛否両論がありそうですが、真剣な議論が求められるときが来たようです。

Source: AstroForge, cnet, Keck Institute for Space Studies, OrbAstro, Business Wire, Twitter