深夜便で上京しよう(デジタルリマスター)

デイリーポータルZ

2時だ。

久しぶりに上京することになった。しかしこの時期、ちょうどお盆休みを沖縄で過ごした人たちが東京へ帰る頃なのだ。そのため飛行機が取れなかった、深夜便しか。

深夜便というのは夜(というか朝)3時台に離陸する便なのだが、その話をするとみんなだいたい「そんな時間に飛行機あるんですか」と疑う。あるんだなこれが。いったいどんなことになっているのか、報告したいと思います。

2007年8月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。

深夜便前日

僕が沖縄でやっているお店は通常0時までの営業だ。この日は雨が降っていて(もしくは幽霊の噂が広まったのか)いつもより暇だったのだが、それでも一応ラストオーダーの時間までは仕事をした。家に帰ってご飯を食べて、シャワーを浴びたら1時過ぎだった。

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閉店までがんばって業務。

飛行機は3時20分発なので2時過ぎには空港に着いておきたい。空港まではバイクで30~40分、ということはそろそろ家を出るべきだ。

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いざ出発するも。
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途中、暴走族に行く手をさえぎられる。

当日1時30分

夜の道は週末ということもあり暴走族がうじゃうじゃいた。この人たちがまた20キロくらいで走っているのだが、うかつに抜かすと追っかけられそうでアクセルを開けられない。しかたなくだらだらと後ろからついていった。一斉検挙とかあったらひとまとめにされそうだなと思った。

2時

那覇空港着。空港ビルに入ろうとすると警備員さんが寄ってきた。「すみませんが時間外なのでこちらからは入場できません」と。え。

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空港では警備員さんに行く手を阻まれる。
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閉まってる。

那覇空港は24時間営業ではないので夜は閉まるのだ。それなのに僕の乗る便は3時発。どうしたらいいのか。警備員さんに尋ねてみると、深夜便用の一部ロビーのみ開放されているのだという。教えてもらったとおりに暗い連絡通路を渡って唯一開いているという出発カウンターへ向かった。こんなに光が恋しいのは昆虫以来だ。

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この暗さに「大丈夫かよ」と思う。
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恐る恐る近づくと自動ドアが開いた。
いったん広告です

2時30分

教えられたとおり開いている入り口から空港内へ入ると、そこはほとんど閉館状態だった。主要な航空会社のカウンターは全て営業を終了しており人の姿はない。ぽつんぽつんと等間隔に感じる生命反応は警備員さんのもの。ご苦労様です。

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息を潜めて警備員さん。
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カウンターは無人。

無人かと思われた発券カウンターの一番奥に細い列ができていた。そう、あれこそが僕の乗る深夜便用のカウンターなのだ。同じ境遇の人たちがこれだけいるということでなんだか安心した。みんなで行こうね、東京に。

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おお、同士よ。
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ぽつんと一つだけともるインフォメーション。
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無事チケットをゲットできました。

3時

手荷物検査を終え出発ロビーへと向かう。開いているお店もあったが弁当棚はやはり空っぽだった。まあこんな時間に(しかもしらふで)何も食べたくなんかないので、特別落胆することもなく待合所のベンチで搭乗時間を待つ。

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お店やってる。
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でも生ものは無し。

ベンチはさながら野戦病院みたいになっていた。中には床に寝ちゃってる人もいる。これ、このまま寝て乗り過ごす人とかいるんじゃないか。そのくらいに熟睡している人たちが多く、僕は心配だったので飛行機に乗るまで寝ないことに決めた。

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息も絶え絶えだ。

しかしそうなると少しの時間暇だ。テレビではジャパネットの通販番組が流れていたが、このエクトプラズム漂う待合室で、いったい何人が乾燥機付き洗濯機を注文するのだろうか。

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たかたさんのテンションが憎い。

そんなことを考えながら夢と現実の世界を行き来しているうちに搭乗開始のアナウンスが流れる。よかった、本当に飛ぶんだ。待っていた同士全員が、目をしょぼしょぼさせながら搭乗機へと向かう。

3時20分

飛行機には座った瞬間に寝た。で、次起きたら東京にいた。飛び上がった振動も降りた衝撃も覚えていない。

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町は動き始めていました。

5時30分

到着した空港からそのまま地下鉄へと乗り継いだので外の状況はまだわからないが、たぶんそろそろ明るくなっている頃だと思う。というかここは本当に東京なのだろうか、それすらよくわからない。電車を待つ間、手ごろな棒を探したが無かった。

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これはちょっと太いな。
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うん全然むり。

6時前に着けます

ということで深夜便は本当に飛ぶのだ。時間を節約したい人にはお勧めかもしれません。なにせ人が寝てる間に移動がすべて終わっているので。その代わり、ひとつ寝過ごすと取り返しのつかないことになりかねない、という恐怖は通常便の5倍くらい感じました。

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何日も前に飛行機に乗ったような気がするが。

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