視覚障がい者の自立移動を助ける「AIスーツケース」開発の進捗–IBMら活動期限を延長

CNET Japan

 アルプスアルパイン、オムロン、清水建設、日本アイ・ビー・エム(以下IBM)の4社からなる「次世代移動支援技術開発コンソーシアム(以下、コンソーシアム)」は、視覚障がい者の自立移動を助けるナビゲーションロボット「AIスーツケース」の進捗を発表し、活動期限を11月30日まで1年間延長して開発に取り組むことを明らかにした。

 AIスーツケースは、視覚障がい者の移動や周辺認識といったアクセシビリティの向上を目指す、小型のナビゲーションロボット。触覚で進行方向を知らせるハンドルや、歩行者の行動を予測してユーザーに自然に回避する機能などを搭載する予定だ。

 2022年9月には日本橋室町地区の5つのビルと東京メトロ三越前駅地下道を結ぶ市街域内にある店舗や施設を自由に移動する、大規模なパイロット実験を初めて実施し、1カ月間で40人の視覚障がい者が30分~1時間の歩行を実施した。参加者は開始前に数分間練習をしただけだったが、安全に利用できることを確認できたという。

 コンソーシアムでは、IBMが衛星を用いた高度の測位による屋内外の連続走行や地図データがない場所におけるナビゲーション機能の研究を担当。オムロンは、周囲の歩行者の行動予測の精度向上に取り組み、アルプスアルパインがディスク型の方向提示装置を備えた新型ハンドルを開発するなど、各社が強みを持つ先進技術を持ち寄る体制だ。

 もともと、AIスーツケースを発案したのは、IBMフェローの浅川智恵子氏だ。同氏は中学生時代のケガが原因で視力を失っており、自身の体験をもとに視覚障がい者のアクセシビリティー向上につながるAIスーツケースの開発に着手したという。


AIスーツケースをデモンストレーションする浅川氏

 なお、1月28日、29日の2日間、日本科学未来館においてAIスーツケースの技術展示と体験会が実施する。一般参加者も無料でAIスーツケースを体験できるとしている。

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