Twitter 離脱を検討中? 代替プラットフォーム6選はこちら

DIGIDAY

Twitterの凋落がもたらす空隙は、ひとつのプラットフォームでは(おそらく)埋められないし、埋まらない。

イーロン・マスク氏による買収を契機に、Twitterに取って代わりうるソーシャルプラットフォームとして、自薦他薦を問わずいくつもの名が挙がるのもなんら不思議ではない。

本記事では、いま知っておきたい6つの代替プラットフォームについて概説する。

Hive Social(ハイブソーシャル)

設立:2019年10月

本社:カリフォルニア

バックグラウンド:ふたりの大学生、創業者のラルカ(カサンドラ)・ポップ氏とフリーランスのプログラマーによって開発された。2019年10月にiPhone版のアプリが公開され、2022年11月にAndroid対応のベータ版が公開された。

概要:ハイブソーシャルはいわゆるミニブログで、Twitterと同様に、ユーザーはプロフィールとハンドル名を作成し、テキスト、画像、GIF、投票その他の投稿をフォロワーと共有する。タイムラインの表示順は時系列で、アルゴリズムによらない。

総ユーザー数:2022年11月現在で150万人

広告表示:なし

マーケティング関係者の評価:

ハイブソーシャルは中小企業が新規のオーディエンスに対して露出度を上げるには有効だが、ターゲティング広告の機会がなく、その点は課題になりうると、ランクセキュア(Rnak Secure)のバルーク・ラブンスキーCEOは指摘する。「ユーザーにとっては好都合だが、中小の企業はオーガニックコンテンツの作成で苦労するだろう」。

一方、独立系フルサービスエージェンシーのフィッツコ(Fitzco)でソーシャル戦略の責任者を務めるジャッキー・ターナー氏は、「Android版では頻繁にクラッシュが発生し、ユーザーには大きなストレスとなっている」と強調した。

さらに、テックコー(Tech.co)が伝えるところによると、昨年12月、複数の研究者から「悪意ある者が削除済みのダイレクトメッセージを含むすべての公開および非公開データにアクセスできるだけでなく、他者のアカウントから投稿内容を編集できる」というセキュリティ上の脆弱性を指摘され、サーバーの一時停止を余儀なくされた。

要するに、まだ解決すべき課題を残しているということだ。

Mastodon(マストドン)

設立:2016年3月

本社:ドイツ

バックグラウンド:ドイツ人プログラマーのオイゲン・ロッコ氏が開発し、クラウドファンディングで運営されている。2021年にドイツで非営利団体として登録された。2022年11月現在、支援者は3500人を数える。

概要:特定のテーマや興味ごとにまとまる個別のサーバーが、相互に接続された分散型のソーシャルネットワーク。ミニブログ的な機能を持つことから、Twitterと比較されやすい。

総ユーザー数:ロッコ氏によると、接続するサーバーの数は8600台、月間アクティブユーザー数は250万人を数える。

広告表示:なし

マーケティング関係者の評価:

ラブンスキー氏によると、ハイブソーシャルとは異なり、「さらし行為」でTwitterからアカウントを停止されたユーザーがこぞってマストドンへ乗り換えれば、話題性の高いネットワークになりうるという。

ヴェラソニワールドワイド(Verasoni Worldwide)のエイブ・カスボCEOは、マストドンにもTwitterと同様のニュースフィード、ハッシュタグ、趣味嗜好を同じくする人々のコミュニティがあると話す一方、サイトは使い勝手が悪く、ナビゲーションが難しいとも指摘する。

「マストドンの分散型構造は分かりにくく、それ自体が大きな課題となっている」とカスボ氏は話す。「Twitterから永久に離脱することを考えているユーザーにとって、自分のネットワークをマストドンで再構築できるのかという問題が残る」。

一方で、ソーシャルメディアマーケティングエージェンシーのIZSRIを所有するザック・サイディ氏は「将来的に広告商品が追加されるなら、広告主にとってマストドンは格好の投資先になるかもしれない」と話す。「マストドンには、業界の別を問わず、主要な意思決定者に訴求する強力な機会がある。現在の勢いを維持できれば(かつ、2008年風のインターフェイスを修正すれば)、Twitterのシリアスな側面におけるシリアスな競合となりうるだろう」。

Post.News(ポストニュース)

設立:2022年11月

本社:ニューヨーク

バックグラウンド:現在はベータ版で、修正すべき問題はいくつか残る。

概要:ポストニュースもミニブログ形式のプラットフォームで、Twitterと同じような方法でコンテンツを共有する。視覚的には多くのユーザーに愛されるTwitterにもっとも近い。

総ユーザー数:ユーザーの不評を買う順番待ちリストには、現在53万人が名を連ね、そのうち25万人がアカウントを有効化している。

広告表示:なし。ポストニュースは「サブスクリプションや広告に頼らないプレミアムニュースの配信」を謳っている。そのため、パブリッシャーとの提携を積極的に進めており、先週、USAトゥデイ(USA Today)がその第1号としてポストニュースとの提携を発表した。

しかし、ビジネスモデルの全容はまだ明らかにされていない。クラウド(Croud)で米国担当のマネジングディレクターを務めるクリス・テイト氏によると、ライターに有料で記事を提供するよう声がけがあり、記事単位の課金を検討しているのではないかとささやく声もある。

マーケティング関係者の評価:

ポストニュースはTwitterの代替候補としては新参の部類に入るため、機能も人員もまだ整っていない。ヴェラソニのカスボ氏が指摘するように、少なくとも現状では、数十万あるいは数百万規模のフォロワーを持つアカウントに対応しうるほどの人も技術も準備できていない。

もちろん、こうした不備に対しては、すでにユーザーや外野から非難の声があがっている。テイト氏の説明によると、「規模の拡大は非常に慎重かつよく考えておこなっており、ユーザーエクスペリエンスとコンテンツモデレーションを特に重視している。反面、Twitterの基本機能の多くはいまだ実装されていない。特にアクセシビリティ機能を後回しにしたことで非難を浴びている」という。

Discord(ディスコード)

設立:2015年

本社:サンフランシスコ

バックグラウンド:共同創業者のジェイソン・シトロン氏(CEO)とスタニスラフ・ヴィシュネフスキー氏によって設立された。当初はゲーマー向けに開発されたものだが、その後、ゲーム以外のコミュニティを追加しつつ、利用範囲を広げてきた。

テキストチャットとボイスチャットから出発し、2017年にビデオ通話、ストリーミング、画面共有の機能を追加した。2022年にはファイルおよびメディアを共有または交換する機能を実装し、さらにSpotify、Twitch、Xbox Liveとの連携も可能になった。

概要:コミュニティや友人たちとの交流を可能とする音声、動画、テキストによるチャットアプリを謳っている。

総ユーザー数:インフルエンサーマーケティングハブ(Influencer Marketing Hub)の調べによると、月間アクティブユーザー数は1億5000万人。

広告表示:巷間いわれるところでは、ディスコードは広告商品を持たず、またその予定もないというが、テイト氏によると、ディスコードには「ディスコードアドバタイザー(Discord Advertiser)」というブランド向けの広告プラットフォームがあり、スポンサードメッセージやバナー広告を通じて、ディスコードユーザーに製品やサービスを訴求できるという。

「ディスコードは、エンゲージメントの深い、的確なオーディエンスにリーチしやすいプラットフォームだ」とテイト氏は話す。「ターゲティングの種類も広範で、ユーザー属性、興味関心、あるいはロケーションに基づくターゲティングなどが利用できる」。

マーケティング関係者の評価:

ラブンスキー氏にいわせれば、ディスコードはプロモーション向きのソーシャルメディアプラットフォームというよりも、ディスカッションプラットフォームに近い。チャットグループに参加しなければ、その価値は実感できないと同氏は話す。「チャットグループはすばらしい。私が担当するいくつかのクライアントも、チャットグループに参加して、ハウツー記事などのコンテンツを宣伝している」。

同様に、ムーヴァーズ・アンド・シェイカーズ(Movers+Shakers)で戦略責任者を務めるタイラー・ウェントワース氏は、コミュニティとのリアルタイムの交流を重視する数社のクライアントに、ディスコードに参加して、熱心なファンを作り、特別なエクスペリエンスを提供するのが良いと提案したという。

「ディスコードはリアルタイムの交流を大切にするTwitterのコミュニティやファンダムと相性が良い。現在、同好の士と交流することを目的にTwitterを利用している多くのユーザーにとって、ディスコードは理想的な乗り換え先となるだろう」。

そういうわけで、ディスコードはニッチなコミュニティ向けの選択肢だ。いずれにしても、テイト氏が指摘するように、ディスコードには、サーバーやボイスチャンネルやテキストチャンネルを作成したり、あるいはこれらに参加したりする機能など、ゲームコミュニティ向けに設計された各種の機能が備わっている。

Reddit(レディット)

設立:2005年

本社:サンフランシスコ

バックグラウンド:設立から17年目を迎えるRedditは、すでに定評のあるプラットフォームのひとつである。

概要:Redditはソーシャルニュースウェブサイトとして認知されている。Twitterと似ていなくもないが、投稿のキュレーションやプロモーションはユーザーによる。

総ユーザー数:デイリーアクティブユーザー(DAU)は5200万人。

広告表示:米DIGIDAYが以前に伝えたとおり、マーケターにより快適なエクスペリエンスを提供するための広告プラットフォームを構築する一方、アルファ版やベータ版を含め、新しい広告フォーマットの導入も進めている。

マーケティング関係者の評価:

テキスト中心という点ではTwitterに似ているが、すでにブランドセーフティに関わる問題を抱えており、その解決が最優先事項であることは間違いない。サイディ氏も指摘するとおり、Redditは過激な意見や不穏なコンテンツが集まる複雑怪奇なウサギの穴と化している。

米DIGIDAYが以前に取材した複数のマーケティング関係者は、Redditについて非常に肯定的に話していたが、そもそもこのプラットフォームを利用するブランドや広告主は、概してニッチなオーディエンスを求める傾向にある。

ウェントワース氏が説明するように、Reddit上のほぼすべてのコンテンツはユーザーが投稿したものであり、ブランドの投稿ではない。ブランドがコミュニティを構築し、リーチを達成するのは不可能に近い。

「Redditのユーザーの大半はブランドのプレゼンスをよく思わない」と同氏は話す。「Redditで活動しようと試みるブランドは、怒濤の反対票と『ブランドは引っ込んでろ』的な暴言にさらされる」。

前向きな話としては、テイト氏が「米国クラウドではすでに広告支出の多様化を検討しており、Redditも投資先候補のひとつだ」と述べている。

Tumblr(タンブラー)

設立:2007年2月

バックグラウンド:Tumblrは、マイスペース(MySpace)が存在していた時代にインターネットを賑わせた、もっとも長い歴史を持つミニブログ型のソーシャルプラットフォームのひとつである。

概要:Tumblrはいわゆる短文投稿サイトに類するミニブログ型のソーシャルメディアプラットフォームで、写真、音楽、動画、リンク、引用、GIF、テキストをはじめ、多様な形式のコンテンツを共有できる。

総ユーザー数:スタティスタ(Statista)の調べによると、ユニークビジター数は約3億7600万人。

広告表示:ほかのソーシャルプラットフォームと似たような広告商品を提供している。テイト氏が話すとおり、Tumblrの広告フォーマットは、タイムラインのオーガニック投稿と同じように見える動画や静止画を用いたネイティブ広告で、主要なプラットフォーマーが採用するインフィード広告に近い。ただし、同氏によると、「インターフェースは野暮ったく、オーガニックに投稿されたミームや画像と純粋に一体感のある広告コンテンツを作成するのは難しいかもしれない」という。

マーケティング関係者の評価:

Tumblrは10年以上前から存在しているが、ラブンスキー氏によると、Tumblrでブランドの存在感や影響力を構築するには多くの時間がかかるため、マーケティングにはあまり勧められないという。

その反面、Twitterで人気のあるファンダムの多くは、すでにTumblrでも強い存在感を示しており、コミュニティを築いたり、オリジナルのコンテンツを共有したりしている。

ウェントワース氏が指摘するように、特にZ世代のあいだでTumblrをクールと見る向きが復活している。そして、このZ世代こそ、マーケターやブランドが是が非でもリーチしたいオーディエンスなのである。

同氏によると、「多くのブランドがTumblrでTwitterスタイルのコンテンツ(短文、ミーム、テキストベース)を試験的に展開し、オーディエンスの反応を探っている」という。

[原文:Considering leaving Twitter? Here’s a roundup of alternatives

Krystal Scanlon(翻訳:英じゅんこ、編集:分島翔平)

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