半導体での電子スピン波の電気的検出に初成功。並列演算素子や省電力素子の実現に

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半導体中の電子スピン波の模式図

 国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構は23日、さまざまな材料で電子スピン波を観測できる手法を開発したと発表した。超並列演算素子などへの応用が期待されるという。

 情報量の爆発的な増加が見込まれる中、より効率的な情報処理を行なうため、並列処理を可能にする新たな情報担体が検討されてきた。その中でも、さまざまな材料に存在する電子スピン波は、波の重ね合わせを利用して並列演算処理を省電力で実現できる可能性があるが、その検出には光学的な手法しか存在せず、汎用性の高い観測手法が求められていた。

 東北大学大学院工学研究科 齋藤隆仁氏、好田誠教授らによるグループは、ピーター・グリュンベルグ研究所およびヴィクトリア大学と協力し研究を実施。半導体の電気伝導測定で観測される量子干渉効果を利用し、半導体における電子スピン波の電気的な検出に初めて成功し、論理モデルを構築した。

 また、この論理モデルをガリウムヒ素半導体材料に適用し、電子スピン波の緩和時間を実験的に求めるとともに、電子スピン波を安定して保持できる条件を発見した。

 研究グループでは、今回の成果によって電子スピン波を活用する半導体材料の開発を加速でき、将来的には半導体ベースの超並列演算素子への展開や省電力技術の開発に貢献できるとしている。

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