i-PRO、BTOを実現したモジュールカメラ–現場のニーズに応え組み合わせは1500超通り

CNET Japan

 監視カメラや医療用カメラなどを手掛けるi-PROは1月20日、小型モジュールを1500通り以上組み合わせて、現場に合わせたカメラを1台から作れるBTOモジュールカメラ「moduca」(モジュカ)シリーズを発売したと発表した。BtoB向けの販売になるが、アマゾンでの取り扱いも一部開始している。

「moduca」(モジュカ)
「moduca」(モジュカ)

 moducaは、映像を取り込む光学モジュール、取り込んだ映像を処理するSoCモジュール、処理した映像や情報を出力するインターフェースモジュールを組み合わせて、設置場所や用途に応じたカメラをオーダーできるというもの。1台から注文を受け付け、10台未満の注文の場合、3営業日以内に出荷するスピードもポイントだ。

組み合わせ自在
組み合わせ自在
左から、光学モジュール、インターフェースモジュール、SoCモジュール
左から、光学モジュール、インターフェースモジュール、SoCモジュール
モジュール同士のコネクタ部分をつなぐと作れる
モジュール同士のコネクタ部分をつなぐと作れる

 i-PRO モジュールカメラ事業部事業部長の塚原伸一氏は「映像やAIの活用が期待される業界は製造、建設、店舗、オフィス、医療などと多岐に渡り、その市場は2026年に4000億円規模に達すると推測される。しかし製造現場であれば狭い画角、店舗で商品の欠品を検知するのであれば広角と求められるスペックはさまざま。現状のモジュールカメラでは、それぞれのシーンに細かく対応できなかった」と現状を説明する。

 その理由は、多くの在庫を持つことができず、大量生産型だったため。「今後のAIの普及にあたり、非常に多岐に渡り多品種、少量生産でのカメラが必要になる」(塚原氏)とニーズの変化を捉え、moducaは開発された。

 すでに、自動車、カメラ部品や基盤実装の製造を手掛ける豊洋精工や東芝ライテックなどで先行導入しており、豊洋精工では製品ラインの画像検査に取り入れたところ、作業スタッフ0.5名分の働きを実現したとのこと。豊洋精工 福岡工場工場長の河津克久氏は「モジュールカメラは安価な価格で購入できるので、1年かからずコストの回収ができる。1台導入では0.5名という事例に過ぎないが確実に効果が見込め、複数台導入すれば効果はさらに上がると認識している」と導入のメリットについて話した。

 発表会には、ノーコードのAI画像処理ソフト「ImagePro」を扱うRUTILEAや、簡単に早くAIモデルを作成できる「Learning Center Vision」のAI insideといったAI関連企業もゲストとして登場した。

 モジュールカメラの価格は5〜6万円程度とのこと。「従来モジュールカメラを用意しようとすると開発費が発生していた。この開発費をなくし、1個から素早く納品できる体制を整え、時間の価値を追求しようと思っている。今後数年内に年間200億円の事業にしていきたい」(塚原氏)と今後について話した。

左から、i-PRO モジュールカメラ事業部事業部長の塚原伸一氏、RUTILEA 取締役の柴田恭佑氏、豊洋精工 福岡工場工場長の河津克久氏、AI inside Product Marketing Unitマネージャーの佐々木章宏氏、i-PRO 代表取締役会長兼CEOの中尾真人氏、i-PRO モジュールカメラ事業部営業・企画マネージャーの小口隆恵氏
左から、i-PRO モジュールカメラ事業部事業部長の塚原伸一氏、RUTILEA 取締役の柴田恭佑氏、豊洋精工 福岡工場工場長の河津克久氏、AI inside Product Marketing Unitマネージャーの佐々木章宏氏、i-PRO 代表取締役会長兼CEOの中尾真人氏、i-PRO モジュールカメラ事業部営業・企画マネージャーの小口隆恵氏

 i-PROは、2019年10月にパナソニックから独立。2022年4月に、社名を「パナソニックi-PROセンシングソリューションズ」からi-PROへと改めた。i-PRO 代表取締役会長兼CEOの中尾真人氏は「パナソニックから受け継いだ事業から一歩進み、独自開発した新規事業がmoduca。信頼性が要求される画像技術を今後も伸ばしていきたい」とした。

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