Web3 ブランドは、TikTokとアプリを活用し、大衆消費者にリーチする方向へ

DIGIDAY

ブランドは革新的なWeb3のコンセプトに消費者が同調していないことに気づいており、日常の買い物客を取り込むために、多くのブランドがツールやマーケティング、言語を見直すようになっている。ロンドンを拠点とするデザイナー、チャーリー・コーエン氏が立ち上げたWeb3ネイティブのファッションブランド、RSTLSS(レストレス)は、Robloxのゲーマーやトレンドに敏感な10代の若者を含むグループをテクノロジー先進の世界へと引き込むために、アプリとTikTokを活用している。

今年はWeb3のマス・アダプションの始まりになる

RSTLSSはメタバース・エンジェル投資家のパリス・ヒルトン氏を含む投資家から3月に350万ドル(約4.6億円)を調達した後、12月15日にローンチした。それ以降、アプリを通じて1000個のNFTの「キー」をすべて鋳造している。この型破りなアプリは、消費者がRSTLSSの世界に入りやすくするために開発された。ドロップ、知識、カスタマイズの機会、ゲーミングとの統合、経験値やスキルツリーなどを含む収益構造が特徴である。

通常、NFTはオープンシー(Opensea)のようなNFTマーケットプレイスを通じて発売されるが、コーエン氏は、第2四半期にローンチ予定のRSTLSSのアプリとWebプラットフォームが、Web3のマス・アダプションのためのデフォルトのソリューションになることを期待している。

Web3の投資家でWeb3のブランディング会社カロスラボ(Kalos Labs)の創業者シャリ・グレイザー氏は、2023年はWeb3のマス・アダプションの始まりになると述べている。「暗号の冬の時代は、Web3のインフラやツールに取り組んでいる人々にとって信じられないほどの構築機会だった」とグレイザー氏は言う。「だが、不足していたのは、一般社会に向けた(シームレスな)オンボーディング(必要な知識を習得するプロセス)の部分だ。世間一般の人にとってWeb3への障壁は高い。インスタグラムが今年Web3プログラムをローンチし、AmazonがNFTマーケットプレイスを立ち上げる可能性があることから、今年からすべての主要なソーシャルメディアプレイヤーが存在感を確立するのを目にするだろう」。

NFTへの新たな提案となるRSTLSSのアプリ

RSTLSSのアプリは、現在、NFCチップと連動した物理的なツインを伴うカスタマイズ可能なデジタルジャケットを中心に、NFTジャケットドロップを主催している。ユニセックスのRSTLSSジャケットは、デジタルコレクタブルであると同時に、Roblox、アバタープラットフォームのレディプレイヤーミー(Ready Player Me)、さまざまなメタバースワールド、AR/VRソーシャルインテグレーションなどのゲーミングプラットフォームで着用されるデザイナースキンとしても機能する。また、将来のローンチへの鍵としても機能する予定だ。このジャケットの所有者は、同ブランドのセールやアップデート、コラボレーションに独占的または早期にアクセスすることができる。デジタル衣料品のNFTは数多く存在するが、ブランドが所有する専用のNFTアプリを通じて入手できるものは多くなく、ゲーム内で着用できるものはさらに少ない。

「コレクターは、現在ベータ版のアプリをダウンロードし、iOS上で鋳造が行われる」とコーエン氏は言う。「これは非常に異なるUXであり、現在のNFTのフォーマットにこれまでとは違う提案を加えている。我々はNFTの供給の大部分を人々が取ることを許すのではなく、多様なホルダー基盤を確保しようとしている」。

このアプリは必要不可欠なツールとしても機能する。衣服のオンチェーン登録を行う物理的なジャケットのNFCチップは、アプリを通してのみスキャンが可能だ。さらに、デジタルジャケットをユーザーが試着するためのARレンズも、そのアプリでなければ解除できない。「このアプリを作り始めたのは2021年の春。モバイルアプリで機能できるようにすれば、どこでも機能できると思った」と彼女は述べた。「アプリはUXに取り組む上でいちばん難しい場所なので、まずはその設定に多くのリソースを投入した」。

「今年の後半に行うドロップがあり、そこではアプリにもネイティブなたまごっちのような要素を取り入れるつもり」とコーエン氏は言い、アプリをセールスポイント以上のものにしたいのだと付け加えた。「また、このアプリは地下鉄のなかでただ座っている人々のためのものであり、そうした人たちが衣服のカスタマイズや作成をして遊びたくなるようなものになる」。

流行を作り、カルチャーを前進させるのは十代の女子

コーエン氏は次のようにも語った。「NFTに関しては、ゲーミングコミュニティから大きな懐疑的な声がある。NFT、ブロックチェーン、Web3など、ほぼカリカチュアされたメタバースのミームと化したあらゆるものから離れて、大々的なリブランドと抽象化を行う必要がある。しかし、ゲーミングの空間は、消費者がデジタルにネイティブに存在し、デジタル資産の価値を理解し、デジタルアイデンティティに多くの価値を置く唯一の空間なのだ」。

ゲーム内、特にRoblox内には「巨大なユーザー生成コンテンツ経済があり、そこでは人々がデジタル資産の作成と販売からブランドとビジネスを構築し始めることができると気づいている」とコーエン氏は言う。ハウスオブブルーベリー(House of Blueberry)のようなRobloxのクリエイタースタジオや、サミュエル・ジョーダン氏のようなクリエイターは、ナトリ(Natori)、ステラマッカートニー(Stella McCartney)、フォーエバー21(Forever 21)などのブランドと協働して、収益性のあるビジネスを築いている。

いまのところ、RSTLSSの1000人のユーザーは、従来の20代から30代のWeb3コレクターに大きく偏っている。しかし、さらなるゲーミングとの統合、クリエイターエコノミーの要素、新たなソーシャルメディアのアプローチにより、ユーザーベースはより包括的なものに拡大するとコーエン氏は考えている。同ブランドは従来のブランドともコラボレーションの話を進めているが、まずはクリエイティビティとアクセスを優先している。

コーエン氏によると、10代の女子は流行を作り、カルチャーを前進させる。「我々がまず参入したかった既存のWeb3やゲーミングのコミュニティ以外では、10代の女の子たちに注目している」と彼女は述べた。RSTLSSのスキンが今年から販売され、着用できるようになるRobloxは、ユーザーベースの44%が女性だ。RSTLSSはRobloxのほか、アニメやK-POPを中心としたプラットフォームやソーシャルメディアでもターゲットオーディエンスにリーチしている。

マーケティングプラットフォームはTikTokに重点を置く

Robloxからプレイヤーやクリエイターが卒業していくと、次に進む段階としてはWeb3が自然な流れになるとコーエン氏は考えている。また、現在の会話のシフトからすると、TikTokerを引きつける可能性もある。「ゲーマーコミュニティと同様に、TikTokでもWeb3やNFTに対して懐疑的な意見が多くみられる」とコーエン氏は述べた。「そのようなナラティブを転換するために取り組んでいる。また、RSTLSSにまつわる多くの知識と物語があるので、独自のTikTokアカウントを持つ複数のストーリーキャラクターを作成する予定だ」。それらのTikTokアカウントは、ブランドのメインブラウザー体験と歩調を合わせて、次の四半期にローンチされる予定である。

「当初はTwitterとDiscordを中心にソーシャルメディア活動に注力してきたが、徐々にTikTokへと重点を移している」とコーエン氏は言った。コーエン氏と同名の創業10年のテックウェアブランドは、6万2000人のフォロワーがいるTikTokを主要なマーケティングプラットフォームとして活用している。

[原文:Web3 brands are using TikTok and apps to reach mass consumers]

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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