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eコマースの売上が低迷するなか、Amazonは、同社の成長中のスポーツコンテンツ事業からさらに多くの収益を得ようとしていると報じられている。
スポーツ専用配信アプリをローンチか
ジ・インフォメーション(The Information)は2022年12月28日、Amazonが同社のストリーミングサービス「プライムビデオ(Prime Video)」を補完するために、別のスポーツ専用アプリをリリースすることについて言及したと報じた。米モダンリテールは、スポーツストリーミングの野心についてAmazonにコメントを求めたが、同社はこれに返答していない。しかし同社の最高経営責任者を務めるアンディ・ジャシー氏は、2022年のメディアイベントにおけるデジタルメディアサービスの提供について強気だったと見られている。ハリウッドリポーター(Hollywood Reporter)のレポートによれば、同氏は「長期的に見て、プライムビデオ事業を、非常に魅力的で経済性を持つ独立した事業とする機会があると考えている」と述べた。
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スポーツ用アプリを別に展開することで、Amazonは広告を掲載する新たな場所を獲得し、同社の中核であるeコマース事業の成長が減速している時期において、新たな収益源を生み出すことができる。しかし、スポーツ中継放映権がますます高価になってきたことを考えれば、これは同時に、Amazonにとって大きなコストを伴う事業でもある。アナリストたちは、テック大手であるAmazonは資金が潤沢で、長期的に同社のAWSインフラによって構築をサポートできることから、同社がこのような事業に参入することは正しい方向への一歩となる可能性があると語っている。
「その噂は驚くべきことではない。Amazonはスボーツ、特にライブのスポーツをますます重視しつつある。これはAmazonプライム(Amazon Prime)の会員数を増やして維持するための新しい方法だ」と、調査企業ガートナー(Gartner)でマーケティング実践を手掛けているディレクターアナリストのブラッド・ジャシンスキー氏は述べている。
ハバスメディア(Havas Media)で市場インテリジェンス担当のマネージングパートナーを務めているジェイソン・ケネフスキー氏は次のように述べている。「これは、Amazonにとっては収益源の増加につながるだろう。そのため、一般的にストリーミングサービスが行っている、より大きな投資を収益化するための正しい方向への一歩だといえる。同社は、NFL(ナショナルフットボールリーグ)に対して収益を上げるための方法をいくつも見出す必要がある。同社は2023年、広告を閲覧し、商品を購入するまでのループを閉じるため、いくつものモデルを構築するだろう」。
放映権でのプレゼンス拡大
Amazonのスポーツへの傾倒は、プライムメンバーシップの一部として、より多くの動画コンテンツや、ほかの限定サービスを組み合わせる成長戦力の一部として開始された。同社は、これまででもっとも顕著な放送関連の契約として、米国内で自社のストリーミングサービス「プライムビデオ」で、毎年15試合のサーズデーナイトフットボール(Thursday Night Football)と、1試合のプレシーズンのゲームを独占的に配信する10年間の契約を結んだことを、2021年3月に発表した。Amazonは、これらのデジタルストリーミングの権利に年間約10億ドル(約1320億円)を支払っていると、ブルームバーグ(Bloomberg)は報じた。
ジャシンスキー氏は次のように述べている。「サーズデーナイトフットボールについてのNFLとのパートナーシップは、今年のマーケティングの要となるものだ。同社は明らかに、サーズデーナイトフットボールの獲得を隠していない。この件はAmazonのホームページに掲載されているし、同社のパッケージにも記載され、多くのチャネルで言及されている」と、同氏は指摘している
しかしAmazonは、ほかの主要なスポーツイベントの配信権を確保する作業も進めている。同社は2022年10月に、NBA(ナショナルバスケットボールアソシエーション)とのパートナーシップにより、ブラジルにおける数年間のストリーミングの権利を獲得したことを発表した。また同社は、英国における最大のスポーツ中継放映権の契約として、UEFA(欧州サッカー連盟)チャンピオンズリーグフットボール(UEFA Champions League football)の試合を追加した。同社は過去4年間にわたって、国際的なスポーツ中継放映権について、市場でのプレゼンスを少しずつ拡大しており、全米オープンテニス(U.S. Open Tennis)やプレミアリーグフットボール(Premier League football)の試合を配信している。
レガシーメディアとテック系企業の競争
Amazonがスポーツをさらに重要視するにつれ、ほかのテック企業も注目を強めている。2022年12月、NFLは特定地域では放送されない試合の「サンデーチケット(Sunday Ticket)」パッケージがGoogleのYouTubeで販売されると語った。NFLとのこのようなパートナーシップ拡大により、視聴者はYouTube TVやYouTube Primetime Channelsでそういった試合を見られるようになった。
ケネフスキー氏は、このような動きはいくつかのレガシーメディアのホールディング企業と、AmazonやAppleのようなテックのライバル企業とのあいだで、スポーツの試合のメディア放映権を賭けた入札競争が起きることを示唆していると、米モダンリテールに語った。
同氏は、Amazonの新しいスポーツ用アプリについて、ホワイトスペースを狙ったものではなく、Amazonがこれまで投資してきたさまざまなスポーツリーグのすべてを集約するためのプラットフォームだとみなしている。
「これまで放送権に投資してきた広告主が、その権利をストリーミングに持ち込むことが増え続けるだろう。その兆候はすでに見られている。しかし、デジタルで視聴する人々が増え続けることで、Amazonにはさらに多くのチャンスが生まれるだろう」と、ジャシンスキー氏は付け加えている。
Amazonによれば、9月15日にロサンゼルスチャージャーズ(Los Angeles Chargers)とカンザスシティチーフス(Kansas City Chiefs)のTNF(サーズデーナイトフットボール)プレミアゲームをプライムビデオで配信したときは、1300万人の人々が視聴した。
広告枠の販売も模索
スポーツを推し進めるのと並行して、Amazonはより有利な広告枠の販売も模索している。同社は最近、これらの試合のブランデッドコンテンツをプライムビデオで配信するための最初のスポンサーとして、カーニバルクルーズライン(Carnival Cruise Line)を指名した。しかしAmazonはこれらの広告スポットの料金をどれだけにすべきかを依然として検討中で、一部の経営幹部は以前、Amazonが、料率を引き下げてクライアントを引き込もうとしていたと、米モダンリテールに語った。
今年はeコマースの伸びが鈍ると予測されており、Amazonが、買い物客との関係を維持するためのゲームコンテンツを見いだすことができるならば、その恩恵を得られる可能性がある。「スポーツはコンテンツの頂点に昇り続けている。Amazon、Apple、Netflix、Googleの各社が、従来のメディアではもう見られなくなったコンテンツを配信するたびに、ケーブルテレビの契約解除が加速する理由は一つ増えていく」と、ケネフスキー氏は語る。
[原文:Amazon Briefing: Why Amazon is betting on sports as it looks to expand revenue streams]
VIDHI CHOUDHARY(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)