2023年、ブランドが注力すべき プラットフォーム は?: アクセンチュアソング の行動トレンドレポート

DIGIDAY

2023年、ブランドが成功するには熱烈なファンについて熟知することが必要だ。

アクセンチュア(Accenture)のマーケティング・ブランディング・広告部門であるアクセンチュアソング(Accenture Song)による、人々の行動トレンドに関する年次レポートが12月第3週後半に公開された。ブランドロイヤルティ、職場、分散技術に影響する2023年の文化的変化を挙げるレポートだ。近年の「マクロ経済的なショック」を背景に、人々は不公正を糾弾しつづけ、各種デジタルプラットフォームを試し、自分がコントロールできる物事に集中していくという。

「多くの人が、世界は危機から危機へよろめいているように感じている。インフレやエネルギー供給などの状況を見ると、世界はどこに向かっているのかと自分の身に不安を抱いている部分がある」と語るのは、アクセンチュアソングのイノベーション部門責任者マーク・カーティス氏だ。

カーティス氏は「人々は適応する方法を身に付けつつあり、自分の人生をある程度コントロールできる方法を模索している」と話す。

ブランドは「コミュニティ」への取り組みに注力すべきか

それはブランドロイヤルティにどう影響するのか。レポートでは、帰属意識をもっと感じられる場所をネット上に求める動きがより広がると指摘している。ブランドがエンゲージメントの取り組みを集中させるべきなのはここだ。このような動きによって、ロイヤルティプログラムが「コミュニティ・ファースト、次に商品」というモデルで、人々をブランドへつなぐ形に変わっていくかもしれないとレポートは報じる。そのことは将来的にはNFT、AI生成アート、さらにはデジタルウォレットの導入拡大へとつながっていく可能性がある。

とくに、主要ソーシャルメディアプラットフォームが友達の投稿の優先順位を下げるアルゴリズムでフィルタリングを行うようになりつつある現状を踏まえると、今後成功するのは興味や活動を中心に人をつなぐプラットフォームだろう。たとえばReddit、Discord、Twitchなどが挙げられる。「Life Trends」と題されたこの年次レポートの言葉を借りると、「積極的に話を聞き、関わってくれるトライブの仲間を簡単に見つけられる場所」だ。

アクセンチュアの調査に参加した人々の大部分が、過去6カ月から9カ月のあいだに新しい趣味に挑戦した、または新しいコミュニティに入ったと回答している。以前DIGIDAYが報じたように、ソーシャルメディアでは自分発信からコミュニティ参加に中心が移るというトレンドが見られる。デジタルグッズ集め、スポーツやニュースでのひとつの出来事などをきっかけに誕生したオンライングループさえもある。

レイザーフィッシュ(Razorfish)のコンシューマー&コンテンツエクスペリエンス担当エグゼクティブバイスプレジデントのクリスティーナ・ローレンス氏は、「デジタルでは個人が情熱を注ぐパッションポイントやニッチな興味が、人と人を結びつける絆となる」と話す。「人にとって意味のある、徹底的に関連性のあるメッセージやクリエイティブ体験を創造するには、その興味にターゲットを絞ることが鍵となる」。

Web3コミュニティの構築が盛んに

分散型インターネットであるWeb3におけるコミュニティの形については、アクセンチュアは各ブランドが積極的に実験していくことの重要性を指摘する。たとえば、スターバックス(Starbucks)はNFTを使った「オデッセイ(Odyssey)」というロイヤルティプログラムを試しているところだ。テクノロジーそのものを重視するブランドより、リワードを提供して顧客を巻き込むことに焦点を当てるブランドのほうが大きく成功するだろう。

「全面的に成功するには、テクノロジーを後ろに押しやり、メリットを前面に出さなければならない」とカーティス氏はDIGIDAYに語った。

メインストリームでWeb3コミュニティを構築しようとする企業の試みはほかにもある。Twitterとインスタグラムはプロフィール画像にNFTを使える機能を導入した。Redditはサイトとモバイルアプリでデジタルアバターを導入し、ブロックチェーン技術を利用したプロフィール画像をあらかじめ決まった金額で購入できるマーケットプレイスを立ち上げている。

2022年、大手広告代理店の電通もマイクロソフト(Microsoft)と提携し、クライアントのWeb3の取り組みの手引きとなるメタバース学習空間を創り出した。電通のソリューション&イノベーション担当バイスプレジデントのバル・バカンテ氏によると、同社のメタバース施策はWeb3プログラムに関心を持つクライアントを、実際にどのようにサポートしていけばよいのかを探ることが狙いだ。

「これを、試して学ぶ『テスト・アンド・ラーン』としてすべてのブランドに勧めている」と以前バカンテ氏はDIGIDAYに語っている。「新しいものには何でも単純に大金を投じるブランドもあるが、現実的にはそれができないブランドも多い」。

[原文:What Accenture Song’s behaviorial research tells us about brand loyalty and Web3 in 2023

Antoinette Siu(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)

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