通常に戻ったCES 2023。世界各地から3,200社を集めて開催

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CTA CEO ゲイリー・シャピロ氏

 世界最大のデジタル関連の展示会となる「CES 2023」が、1月5日~1月8日(現地時間)に米国ネバダ州ラスベガス市の会場(ラスベガスコンベンションセンター : LVCC、Venetian Expoなど)で開催される。現地時間1月3日には報道関係者向けの各種の会見や、プレイベントなどが開始されており、すでに多くの出展社から新製品に関する発表などが行なわれている。

 昨年のCESはコロナ禍の渦中という特殊な環境で開催されたが、今年のCESは2020年以前の通常の状態に戻り、何の制限もなくなった。

 1月3日には、CESの主催者であるCTA(Consumer Technology Association)による記者説明会が実施され、CTA CEOのゲイリー・シャピロ氏によるCES 2023の見どころなどに関する説明が行なわれた。

CESの歴史は統合の歴史、古くは家電からIT、そして今は自動車産業を統合して1つの展示会になっている

1月3日の夕方に行なわれたCES Unveiled、報道関係者向けに新製品のプレビューなどが行なわれている。多くの報道関係者が集まって開催された

 CESは、以前は「Consumer Electronics Show」の略でCESとされてきたが、近年はこの略称を廃止し、単に「CES」(シーイーエス)というイベント名にしている。これはCESがすでに家電のショーではなく、もっと大きな意味での「デジタル」をテーマにしたイベントに変貌したということを象徴している。

 CTA CEOのゲイリー・シャピロ氏は「過去20年間で我々は姿を大きく変えてきた。その最大の要因はデジタルやITを基盤として、新しい産業の統合を進めてきたことだ。たとえば、CESは今や最も大きな自動車ショーの1つになっており、自動運転などに関するさまざまなソリューションが発表、展示されている。私がCTAで働き始めた1970年代には、自動運転などは夢また夢のSFの中でしかない技術だった。しかし、今やそれが現実になりつつあり、実際に多くのメーカーがそのソリューションをCESで競っている」と述べる。

 過去20年~30年の間にCESは大きく変貌しており、元々は家電(たとえばTVやオーディオ)向けの展示会だったものが、PCやスマートフォンなどのデジタルやITを取り入れた。

 さらにこの10年では自動運転などのITと自動車産業の融合をテーマに、昨年から新しく供用されるようになった、LVCCのウエストホールが自動車産業向けに用意され、そこに多くの自動車メーカーが集まっている。

 このように、今やCESはデジタルとITというところを基盤にしてさまざまな産業が集うショーになっている。自動車産業はその中でも最も巨大だし、ほかにもパンデミックにより従来よりも注目度が上がっているヘルスケアもその1つだ。

 ウエストホールができるまでは自動車産業が集められていたLVCCのノースホールは、今やヘルスケア関連の産業が集められており、さまざまなIoT機器などを展示している。

ラスベガスに3,200社が集合。中国からの出展社は減ったがそれでも日本よりは多い

CTA 副社長 兼 展示会責任者 ジョン・ケリー氏

 CTA 副社長 兼 展示会責任者のジョン・ケリー氏は「我々は米国ベースの企業だけでなく、グローバルに多くの企業を誘致しており、今回のCESには50もの国々から多くの出展社を集めている。最終的な出展社は3,200社に上っており、そのうち1,400社が米国外からの参加企業になっている」という。

 ケリー氏は「我々は日本や韓国、台湾などの東アジアの国々を含む国のパビリオンを20以上用意しており、そこには各国のユニークなスタートアップが参加している。また、ウエストホールの自動車関連の展示会場には300近い企業がブースを構えており、自動運転などのソリューションを展示している」と述べる。

 引き続きCTAがスタートアップを重視して、日本で言うところの日本貿易振興機構(JETRO)に相当するような、各国の経済振興団体が開設するブースが20カ国を超えており、JETROも「J-Startup」と呼ばれる展示会場を、Venetian Expoの1階に設営される「Eureka Park」(スタートアップなどのブースが集中する展示会場)に出展する計画だ。

 ケリー氏は「自動車以外にもメタバース、ヘルスケア、サステナビリティテックなどさまざまな産業でユニークな展示が行なわれる」と述べ、そうした内容が今回のCESでは目玉の展示になると強調した。

 昨年のCESは、屋内ではマスク着用、参加にはワクチン接種証明書の提示が必要とコロナ禍という特殊な状況で行なわれたのに対して、今年は2020年までの通常の運営に戻って開催されている。今回は屋内でのマスク着用も求められず、ワクチン接種証明書も必要なく、みな2020年のCESと何も変わらず参加できるようになっている。

 唯一の違いは、直前までゼロコロナ政策が行なわれていた中国からの参加者や出展社はまだ以前と同じレベルには戻っていないことで、ケリー氏によれば「以前のCESでは中国の出展社数は500社を超え、韓国と同じ出展社数だった。しかし、今年で言えば、中国の出展社は減っており、韓国よりも下、日本よりは上という出展社数になっている」とのこと。

 中国の政策変更(ゼロコロナ政策の破棄)がCES開催直前の12月だったこともあり、例年よりは参加者も出展社も少ないと説明した。ただ、TCLやハイセンスといった米国に拠点があるような中国メーカーは参加しており、今後中国がゼロコロナ政策を破棄したことで開放路線が続けば、来年以降はこれまで通りに戻っていくだろうと述べた。

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