Windows 95は16ビット版シムシティの実行を検出すると特別なモードに入っていた

GIGAZINE


Windows 95は32ビットOSですが、旧来の16ビットソフトウェアも完全に実行することができました。その中の1つに、Windows 3.1向けの16ビット版「シムシティ」も含まれています。実は、Windows 95のベータ版の時点では16ビット版シムシティは動かなかったのですが、Microsoftが徹底的な調査を行い、特別な仕様を盛り込むことで乗り切っていました。

この情報はゲーム関連ポッドキャストを配信している@Kalyoshika氏が発掘したもの。元となる情報は、著名エンジニアのジョエル・スポルスキ氏が2000年に執筆したコラムです。

Strategy Letter II: Chicken and Egg Problems – Joel on Software
https://www.joelonsoftware.com/2000/05/24/strategy-letter-ii-chicken-and-egg-problems/


スポルスキ氏はオリジナルの「シムシティ」開発に携わったジョン・ロス氏から「解放したばかりのメモリを読み込んでしまうバグを残してしまった」という証言を得ました。

Windows 3.x系統ではこのバグによる影響は出ませんでしたが、Windows 95のベータ版でテストしたところ、シムシティは動きませんでした。Microsoftは綿密な調査を行ってロス氏の証言したバグを突き止め、Windows 95に「シムシティを探すコード」を追加しました。

これにより「シムシティ」の実行を検知するとWindows 95はメモリをすぐには解放しない特別なモードでメモリ管理を行い、「シムシティ」を動かしていたとのこと。「シムシティ」は当時500万本を売り上げる人気タイトルだったので、新しいOSで動かないとなるとユーザーが環境移行を渋ることが予想されたため、無理やりにでも下位互換性を確保する必要があったというわけです。

スポルスキ氏は、プラットフォームとコンテンツの「卵が先かニワトリが先か」問題の解法の1つだったとして、この施策を評価しています。

なお、この件についてはMaxisやEA、ハドソンに所属した経験のあるマイク・ペリー氏が補足を行っていて、ロス氏は1994年発売のシムシティ2000を手がけたあとMaxisを退職し、MicrosoftでWindows 95に携わったとのこと。ちなみにMicrosoftが無理やり動かした16ビット版シムシティとは別に、1995年にWindows 95向けに32ビット版シムシティが発売されており、当時は「デラックスエディション」に両方が収録されていたそうです。

True story, minor correction: Jon wrote SC2K for DOS, and worked on the Win95 OS at MS after leaving Maxis. Trivia: there is a 16-bit version of SimCity for Win3.1, and a totally different 32-bit ver for Win95. You can see both bundled together in the “Deluxe Edition” circa 1995. pic.twitter.com/5aw0wsGh5w

— Mike Perry (@mike_perry)

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
シムシティのゲームクリエイターが明かす開発秘話とは? – GIGAZINE

18年前に開発された幻のシミュレーションゲーム「SimRefinery」がインターネットアーカイブに公開中、ブラウザからインストール不要でプレイ可能 – GIGAZINE

26年の時を超えて幻の海外ファミコン版「シムシティ」のプロトタイプが発見され有志の手により復活 – GIGAZINE

シムシティで生み出された人口600万人超の究極のディストピア都市「マグナサンティ」 – GIGAZINE

Windowsの「3D ピンボール」完成までの物語、無名のスタートアップが20年も愛されるゲームをどのように作ったのか? – GIGAZINE

XPまであったゲーム「ピンボール」がWindows Vistaから消えた知られざる理由とは? – GIGAZINE

・関連コンテンツ

Source

タイトルとURLをコピーしました