新ドローン「DJI Mini 3」が安い理由

GIZMODO

ドローン初心者に魅力的な価格ですが、「初心者にこそ必要な機能」を搭載しない点には注意が必要です。

ガソリンから野菜まで、あらゆるものの物価が上がり続けています。人気ドローン商品のお手頃価格モデルをあいついでリリースしているDJIは、そんなインフレーションに真っ向から立ち向かっている唯一の企業かもしれません。最初は「DJI Mavic 3 Classic」で、ベースになった「Mavic 3」の望遠レンズをなくした廉価モデルでした。今度は、「DJI Mini 3 Pro」から、その目玉機能ともいえる障害物検知システムを省いた「DJI Mini 3」が登場しました。

超優秀なDJI Mini 3 Proは価格が…というところに登場

今年の5月に発表されたDJI Mini 3 Proは、DJIが長い年月をかけて磨き上げてきたドローン製造技術の証となるものでした。折りたたみ式の設計でコートのポケットに入るほど小型にもかかわらず、1/1.3インチCMOSセンサーを搭載したカメラで、横向きでも縦向きでも60fpsの4K動画を撮影でき、その動画を最大12kmの距離まで無線で伝送できます。航続距離も伸び、「3方向障害物検知」システムを備えています。3方向障害物検知とは、前方および後方と下方のセンサーを使って、飛行経路上の障害物を検出し、事前に回避できる機能です。そうした機能をすべて備えたうえに、重さはわずか249gなので、FAA(連邦航空局)に登録しなくても、アマチュア操縦士が非商用の娯楽目的で飛ばすことができます(これはアメリカでの話です。日本国内では、100g以上の機体は航空法の対象になっているのでご注意ください)。

DJI Mini 3 Proでいちばん辛いのは、送信機なしでも669ドル(100,760円)からという定価でしょう。手軽に操縦してみたいというアマチュアファンに理想的なドローンなのですが、値段は手軽ではありませんでした。そんなところへ新しく登場したのが、DJI Mini 3です。「Pro」の名が外れたかわりに、単体の価格は200ドルも下って469ドル(65,120円)になりました。

DJI Mini 3との大きなちがいは「3方向障害検知」ができないこと

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Image: DJI 新しく登場するDJI Mini 3は、前方プロペラの下に1組の支持脚が追加された

DJI Mavic 3DJI Mavic 3 Classicの差はそれほど大きくありませんが、DJI Mini 3と、オリジナルのProとの間には、目立った違いがいくつかあります。なかでも大きいのは、ジンバルカメラのすぐ上にあった光学センサーがないことと、前方2つのプロペラの下に支持脚が追加されたことです。

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Image: DJI DJI Mini 3 Pro(左)とDJI Mini 3(右)の比較

カメラとセンサーはProとほぼ変わらないうえに、横向きでも縦向きでも60fpsの4K動画を撮影できます。一方、「3方向障害物検知」システムがなくなったのはかなり大きい変化です。操縦の腕が半人前でもドローンが安全に戻ってくる、ちょっとした保険のような機能でした。DJI Mini 3では、動画を伝送できる距離も、12kmから10kmに下がっており、「Mavic Mini 2」なみの水準になっています。

最大飛行時間は若干伸びた

障害物検知がなくなった代わりにDJI Mini 3でうれしい点は、価格が下がったこと以外にもあります。標準のバッテリーでも、最大飛行時間が若干伸び、Proの34分に対して38分になったのです。オプションで、さらに大型のインテリジェントフライトバッテリーPlusを使えば、最大飛行時間は51分となり、DJI Mini 3 Proで同じインテリジェントフライトバッテリーPlusを使った場合の47分よりも長くなります。ただし、その場合はドローンの重量が250gという基準を超えるため、FAAに登録せずに飛ばすと違法になってしまいます(日本では最初から、届け出なしに飛ばすことはできません、念のため)。

価格は安くなったけど、よく考えて選ぶべき

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Image: DJI

DJI Mini 3の発売は来年ですが、すでに予約は始まっており、単体の定価は469ドル(65,120円)からとなっています。ただし、この価格で済むのは、これまでにDJIのドローン製品を使ったことがある場合だけ。初めて購入する場合は、送信機も必要だからです。旧製品の「DJI RC-N1」がバンドルされたキットなら559ドル79,750円。ドローンから送られてくる動画をプレビューするにはスマートフォンも必要)、タッチスクリーンを内蔵した新しい「DJI RC」がバンドルされたキットなら699ドル(97,570円)にはね上がります。

操縦に自信があるなら、安価なエントリーモデルのDJI Mini 3は間違いなく魅力的ですが、ドローンを飛ばすのが初めてなら、差額を惜しまずDJI Mini 3 Proも真剣に検討したほうがいいでしょう。障害物検知システムがあれば、墜落してかえってよけいな費用がかさむのを避けられますからね。

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