すきやき風「松阪牛ふりかけ」の実力にうめく

デイリーポータルZ

よのなかのものはおおむね「ピンキリ」だ。食べものも、食べることが好きだと日常的に上等なものを買うかもしれないが、私はどちらかというとできるだけ安く買いたいと思っている。

それで思えばあまり、高級の側の景色を知らないのだ。

表面がマットブラック、裏面がゴールドと、豪華さとおらつきの絶妙なバランス、芸能事務所で言うなら明らかにLDHであろう、すきやき味のふりかけを見つけてしまった。

一袋200円。ばかみたいに高いわけではないのだけれどなんと松阪牛を使った商品だという。

(編集:古賀及子)

その名も伊藤牧場「松阪牛ふりかけ」

買って来たのは三重県津市の伊藤牧場という松阪牛の飼育牧場が販売している「松坂牛ふりかけ」。

販売元は牛肉そのものも手掛け、焼き肉店も経営しているのだそう。

楽天のショップを見て見ると、松阪牛のカレー、ラーメンとセットでこのふりかけを販売していた。

松阪牛といえば一大ブランド牛だ。

わたしだったらそのブランド力に頼って工夫の一切をさぼろうものだが、さぼらず旺盛に商品開発していて尊敬する。

ところで、すきやき味のふりかけといえば、我々にとってのベースは永谷園の「すきやき」だろう。

迷わず「すきやき」を名乗るあっけらかんとした様子は子どもごころにも頼もしいものだった。

とくべつな日のメニューとしての鍋物のすきやきとは別の意味で、これはこれで正しく「すきやき」であるととらえていた。

このふたつを今日は食べ比べてみたい。

ひとりではその違いを感じ切るのに不安がある。ライターの小堺さんにも食べてもらおう。

なお、小堺さんはまだ「松阪牛ふりかけ」の値段は知りません……!

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パッケージから自信みなぎるふりかけ

古賀:
今回食べくらべるのは「すきやき味のふりかけ」です。

これ見て。「松阪牛ふりかけ」。表面は真っ黒で、裏面が金できらっきらという。

おもて
うら!

小堺:
ふりかけにこのデザインはすごいね。

古賀:
「松阪牛」というブランドの力があるとふりかけだってここまでいけるというね。

小堺:
自信を感じるよね。

古賀:
でね、これ成城石井で見つけたんですが、見つけた瞬間に、丸美屋の「すきやき」の高いやつじゃん!って思ったの。

これな

小堺:
なるほど~~。「松阪牛ふりかけ」は「すきやき風味」って書いてあるもんね。 

古賀:
ね! 丸子さんは丸美屋の「すきやき」は食べたことある? うちは結構食べるんだけども。

小堺:
いや~~、それがあんまりなくて。「のりたま」派なんですよね。

古賀:
のりたまを愛する気持ちは私もよくわかります。ちなみに実家は「味道楽」でした。

小堺:
あ~、味道楽ってのもあるね……!

「松阪牛ふりかけ」は「すきやき」の何倍のお値段でしょうか

古賀:
さて、この両者の値段を当てるクイズをやりたいんですがね、ちょっと比べるのが難しいんですよね。

小堺:
というと?

古賀:
松阪牛ふりかけなんですが、一袋そんなに高くないんです。でもね、すきやきに比べると、内容量は全然少ない。

小堺:
ああ、なるほど。この袋で何グラムぐらい入ってるの?

古賀:
丸美屋のすきやきふりかけは84g、それに対して松阪牛ふりかけは30gしかはいってないという。

小堺:
おお……希少ですね。

古賀:
砂金ですよ、砂金。

小堺:
砂金ふりかけ。

古賀:
とりあえず、このふたつの袋の、グラム当たりの「松阪牛ふりかけ」が「すきやき」の何倍か当ててもらおうかな。

さあさあ

小堺:
う~~ん、どうだろうな……3倍かな!

古賀:
丸子さんはいつもとってもいい答えを言ってくれますね。

小堺:
うわっ! もっと高いのか。

古賀:
袋でいうと、丸美屋のすきやきふりかけは150円、松阪牛ふりかけは200円なのね。

小堺:
あれ、そんなに高くない。

古賀:
そこを、グラム当たりで計算すると、4倍でした。

小堺:
おお~~っ。 さすが砂金!

古賀:
松阪牛ふりかけ、ちょっとしたお礼にもいいんじゃないですか。マンガとか本とか貸してくれた人に返すとき、こっそり袋に入れておいたり。

小堺:
「そうだ、古賀さんから貸したマンガが返ってきたんだった。本棚にもーどそ。…………ふりかけ?」

古賀:
おかしいか。

小堺:
いや、うれしいうれしい。急な金色のふりかけ。

海苔と鰹節が高級なふりかけだった!

古賀:
そしたら、まずはいつもの丸美屋のやつをあけてみましょうかね。

小堺:
これって牛は入ってるんですか。

古賀:
入ってるんですよ。パッケージの原材料にちゃんと「牛肉」ってある。

小堺:
へ~~。(白いご飯の上にかけてみる)お、いいにおいがする。

古賀:
松阪牛の方もあけますね。こっちは松坂牛のパウダーが入ってるんだって。
あれ、見た目はあんまりかわらないか。

このような違い

小堺:
肉なのかな?茶色の色味が違うね。あと香ばしさのかおり方が違うかな。

古賀:
まずは丸美屋の方、丸子さん食べてみてください。すきやき味だから、甘いんですよ。

小堺:
あ~、なるほど。子どもが好きそうな味だね。

古賀:
これ以上すきやき味のふりかけとしてどう美味しく作るんだろう。

小堺:
確かに……。今回ばかりは違いが感じ取れないかもしれないね。

古賀:
差異がわかりかねない予感……。

小堺:
(松阪牛ふりかけの方も食べる)あ! 海苔が高級だ。

古賀:
うん。口内で感じるパーツの粒が大きいね。

小堺:
そうだね、かつお節のうまみもすごい。

古賀:
削り節のしっかりした存在感ね! なんだかそれこそ本気高級ふりかけの「錦松梅」みたいな方向性。

小堺:
そうだよね、まじめで美味しいふりかけ。大人向けな感じがするな。

古賀:
牛っぽい脂の甘味を出そうと海苔とか鰹節が頑張ってる感じでね。

小堺:
なるほど、これは高級ですね。

古賀:
うん。牛だけじゃなくて周りの素材を頑張るってことだったんだな。

小堺:
ギリギリわかりましたね。違い。

古賀:
ね! わたしたち、成長している!

小堺:
(スッと松阪牛ふりかけを胸にかかげる)

古賀:
勲章だ。

ふりかけは勲章となりました

 

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