【初心者も必見】ロードバイク歴30年の沼の住人が憧れる。いつか乗ってみたいロードバイクとは(メルカリマガジン)

デイリーポータルZ

自転車とひとことで言っても、その中にはいわゆる街乗り用の自転車からマウンテンバイク、ロードバイクなど、実に様々です。今回は、自身も愛用のクロスバイクからロードバイクへ移行しようと計画を立てているデイリーポータルZ編集部の安藤昌教さんが、ロードバイク歴30年の沼の住人である岡本紳吾さんにお話を聞きました。

(執筆・撮影/安藤昌教、編集/デイリーポータルZ編集部、メルカリマガジン編集部)

前回までのあらすじ
ロードバイクに興味を持ち始めたデイリーポータルZ安藤が、自転車歴30年という岡本さんに初心者向けのロードバイクとそれに付随するアイテムを指南してもらう。今回は岡本さんも憧れるバイクについて聞きつつ、実際バイクにまたがってみた。

ロードバイク歴30年という生粋の自転車乗りである岡本さんをもってしても、手に入れられていない、いつか乗りたいと憧れるバイクというものがあるらしい。

ぜったい初心者向けではなさそうですが、この山、登るからにはてっぺんというものを知っておきたいじゃないですか。そんなこんなで今回はロードバイク沼の住人にとっての憧れのロードバイクについて聞きました。えらいことになっています。

ロードバイク乗りにとっての憧れのマシーンとは

安藤

岡本さんはこれまでもたくさんのロードバイクに乗ってきたかと思うんですが、そんなロードバイク沼の住人が「いつかは乗りたい」と憧れている自転車ってあるんですか。

岡本

もちろん憧れのマシーンはありますよ。実は最後の最後に乗りたい自転車はすでに決まっていて、それがオレゴン州ポートランドにあるSPEEDVAGEN(スピードバーゲン)※です。同じポートランドのベアリングメーカー、CHRIS KING(クリスキング)とセットで組むのが夢です。

※安藤注)SPEEDVAGENについては少し調べてみたところ、、伝説のセミオーダーフレームブランドらしく、怖くなってそっとページを閉じました。一人一人の体に合ったマシーンなのでメルカリには出てきそうにありません。おっかない。

安藤

最後に乗りたいロードバイクがすでに決まっているというのは夢があっていいですね。なかなか趣味の道具でそのくらい憧れられるものってないので。

岡本

夢は夢として、現実的には最後の自転車にたどり着くまでにあと何回か買い換えのチャンスがあると考えていて、あわよくばサーベロのR5-CXに乗ってみたいと思っています。

安藤

サーベロは岡本さんが今乗っているロードバイクと同じブランドですね。

岡本

そうです。これはクライミングバイクのR5をシクロクロスレーサー仕様にしたものですが、日本ではまだ売られていないんです。

安藤

なんだかわかんないけどすごそう、ということだけはわかります。

岡本

FACTOR(ファクター)の OSTRO GRAVELというのも興味あります。未舗装路用のバイクなのに空気抵抗を考慮したフレームという、乗りこなせる人がいるのかわからない自転車なんですが、デザインがとてもよく、ストリートでも映えます。これも日本では確かまだ売ってません。

安藤

どんどん出てくるじゃないですか。もう値段を聞くのはやめようと思ったんですが、とはいえ読者も気になると思うので一応聞きます。今話してたロードバイクはざっくりいくらくらいするんですか?

岡本

スピードバーゲンだと200万~ってところでしょうか。ファクターのだと、今見るとフレームで5,000ドルってなってますね。

安藤

そのくらいになってくると、聞いておいてよかったなと思います。頑張れば買えるレベルの買い物だと、買わないことがストレスにもなるんですが、このくらいぶっ飛んでると、もう買えるわけないので逆に気が楽です。

岡本

そうですね。フレームで5,000ドルってなると、完成品組むといくらになるんだ、と。ただ、それだけ払う価値のあるロードバイクだということも確かです。

僕はカメラが好きなのだけれど、撮れる写真は同じなのに、どうしてわざわざ高くて使いにくいクラシックカメラを選ぶのか、と聞かれると反論できない。

それはただ「自分にとって価値のあるものだから」としか言えないと思うのだ。何に情熱(とお金)をかけるかは自由である。岡本さんの語るロードバイクにもこれと同じタイプの熱を感じた。

ロードバイクの世界大会優勝モデルがお店に出たらすぐに売れていく時代

安藤

趣味の世界でも高い自転車を夢見始めるときりがないということはわかりました。では世界のトップレベルの自転車乗りが参加する、ツールドフランスとかに出てくる自転車って、どんな自転車なんでしょう

岡本

いまはPINARELLO(ピナレロ)ってブいうランドをよく見ますね。あとは僕が乗っているサーベロも多いですよ。有名な世界大会では金だったのがピナレロ、銀だったのがサーベロでした。

安藤

自分も興味があったり競技者だったりすると自転車レースの見どころも変わってきそうですね。僕はマラソンを走るんですが、レース中継とか箱根駅伝とかでは靴ばっかり見ちゃいますから。

岡本

選手が使ってるマシンやギアは徹底的に見るようになりますね。そういえば有名な世界大会のあとに神宮前の自転車屋さんに優勝バイクといってピナレロが入ってきたんです。184万円だったんですが、翌週行ったら売れちゃってました。

安藤

金額もさることながら、金さえ払えばいつでも買える、というものではないんですね。欲しくてもタイミングを逃すと買えないということですか。

岡本

今は特にそうですね。買える時に買えっていう世界だと思います。

ロードバイクはお金をかければトレーニングせずに速さが得られる世界

安藤

ロードバイクに乗っていて、さらに高い自転車とかいいパーツが欲しくなるっていうのは、やはり速さを追求したいという欲求からなんですか。

岡本

基本的には自転車乗りは速さを追求したいと常に思っていると思います。頑張ってトレーニングして速くなるには何か月もかかるところを、お金をかけてマシーンをいじればショートカットできる、というのは確かにあると思います。

安藤

そこは自転車レース特有の努力の仕方な気がしますね。F1とか、車のレースも同じか。マラソンなんかだと、靴を変えたからってすぐに速くなることないですから。

岡本

そうですね。その点、自転車はかけたお金にある程度比例して速くなるってところがあります。

値段の違いは素人にもわかるものなのか

安藤

10万円と200万円の自転車だと、僕らみたいな素人が乗っても違いが出るものなんですか。

岡本

変わるかもしれないし変わらないかもしれないですね。

安藤

その程度なんですか。

岡本

結局、レベルの高い人が乗ると差が出るんだと思うんです。たとえば僕なんかだとフルパワーでも700W※くらいしか出せないんですが、プロだと2000Wとか出してくるんですね。そのパワーを受け止めて速さに変えることができるのが高い自転車ということになります。

※安藤注)ロードバイクにおけるW(ワット)は、単位時間あたりのパワーを示す単位として用いられるらしい。

安藤

なるほどー。ちゃんと練習をしつつ、お金も貯めてパーツをいいものに変えていく。ロードバイクはいろんな方面から楽しめるというか、悩めるスポーツだということがわかりました。いよいよ足を踏み入れていいものか迷います。

岡本

楽しいですよ。どうですか、乗ってみませんか。

岡本さんの80万円の自転車は、またいだだけでも速そうなオーラをビンビン感じた。もしかしたらハンドルを押さえてくれていた岡本さんからの(転ぶなよ)という無言のプレッシャーだったのかもしれない。

乗るのは怖いのでその場で持ち上げさせてもらったのだけれど、これが想像の半分くらいの重さでした。すごいなー。

今回はロードバイク歴30年以上という岡本さんに、初心者向けのロードバイクを指南してもらった。

話を聞いているとテンションが上がって「買う!今買う!」と興奮しながらメルカリを見るんですが、いいものはやはり高くて、「いいね」を押すのが精一杯でした。でも知識だけはたっぷり獲得したので、あとは資金さえ貯めたらいつでもロードバイク乗りになれそうです。

安藤昌教(あんどうまさのり)

デイリーポータルZ編集部勤務。ものをむかずに食べる「むかない安藤」としても活躍中。好きなものはカメラと恐竜。あとサメが出てくる映画。

岡本 紳吾(おかもとしんご)

ロードバイク歴30年以上。東京表参道でweb制作会社を経営していたが、いろいろあって会社を長野県茅野市に、事務所を隣の原村に移転。コーヒーの焙煎を本格的に始め、これまでの制作スキルを生かして豆売りECを開始。八ヶ岳珈琲研究所:https://h.coffee/

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