生き物が自らの姿を捕食者の目から隠すカモフラージュにはいろいろな方法があります。中南米のジャングルに生息する「ガラスガエル」は、筋肉や皮膚の透明度が高く、透明に近づくことで隠れるのですが、そのために体内を循環している赤血球を肝臓に隠すという方法を採っていることが研究でわかりました。
Glassfrogs conceal blood in their liver to maintain transparency | Science
https://doi.org/10.1126/science.abl6620
Transparent glassfrogs ‘vanish’ at night by hiding red blood cells in liver | Live Science
https://www.livescience.com/glassfrogs-hide-blood-in-liver
Glass Frogs Turn Transparent When They Sleep… By Hiding Almost All Their Blood : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/glass-frogs-turn-transparent-when-they-sleep-by-hiding-almost-all-their-blood
デューク大学の生物学者カルロス・タボアダ氏らの研究チームが調べたのは、中南米のジャングルに生息するフライシュマンアマガエルモドキ(ガラスガエル)です。
カエルの多くは夜行性で、昼は体色の色素に似た葉に乗ったり葉の下に潜ったりして身を隠します。しかし、日光が降り注ぐと、葉を通過した光によってカエルのシルエットが浮かび上がり、捕食者はカエルを見つけることができます。
ガラスガエルは筋肉や腹側の皮膚の透明度を上げることで、シルエットが浮かばないようにして、生き残りを図っています。
タボアダ氏は、普通の生き物なら体内を循環する赤血球により、透明な組織すらも不透明に見えることがあるのに、なぜここまで透明になることができるのか、詳しく調査を行いました。
調査では、11匹のガラスガエルについて就寝中・覚醒中・仲間を呼んでいるところ・運動後など、さまざまな状況で撮影を実施。その結果、睡眠中のガラスガエルは起きている間に比べて透明度が34%~61%高くなっていることがわかりました。
さらに、透明度が高くなるのは、循環する赤血球の量が最大で89%減少したことが原因で、減った赤血球は肝臓内に集中していることもわかりました。
論文の共同筆者であるゾンケ・ヨンセン氏は「ガラスガエルがやっているのは、人間がすべての血液を体から取り出し、体内のランチバッグに入れているようなものです。ガラスガエルはどうやってこれを実現しているのでしょうか?クールなことに、我々は知らないのです」と述べています。
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