ソニーとKDDI、5Gの本格活用に向けた「複数ネットワークスライス同時利用」の実証に世界で初めて成功 

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 ソニー株式会社とKDDI株式会社は12月16日、5G スタンドアローン(5G SA)構成で複数のネットワークスライスを使い分けて同時利用する技術実証に成功したと発表した。両社によると、1つのアプリケーションに対して複数のネットワークスライスを使い分ける実証は世界初だという。

 ネットワークスライス(スライス)とは、ネットワークを仮想的に分割する技術「ネットワークスライシング」により、仮想的に分割されたネットワークのこと。5G時代に入り注目を集めている。一部のスライスは高速・大容量通信向け、別のスライスは低遅延が求められる通信向け、のようにすることで、1つのネットワークを各用途により適した、より高いパフォーマンスを発揮できるかたちで利用可能になる。

 5G SAとは、5Gのフル機能を利用できるネットワークのこと。現在一般的なNSA(Non Stand Alone)とも呼ばれる5Gネットワークはコア装置(設備)に4G装置を使用しているが、5G SAでは5G用の新規装置を使用する。ネットワークスライスは、5G SA上で使用可能になる。

ゲームの操作信号には低遅延、映像などには高速大容量のスライスを使用

 ネットワークスライシングは、ゲームストリーミングや映像配信において、制御信号は低遅延のネットワーク、映像信号などは高速ネットワークと特徴の異なるネットワークを使い分け、周囲の通信状況に影響されず安定的に利用するための技術として期待されている。現状のネットワークスライシングでは、機器と適用されるスライスが紐づいており、1つの通信機器で複数のスライスを使い分けることはできない。

 両社は2022年2月に、ネットワークスライシングを活用する取り組みとして、ゲームストリーミングを想定した実証を実施。同じネットワークで提供されるほかのサービスからの影響を受けにくい安定した通信により、外出先でもスマートフォンで安定してゲームをリモートプレイできることを確認していた。

 今回の実証では、3GPPで標準化された、アプリケーション/サービスごとに利用するスライスを指定する情報「URSP(User equipment Route Selection Policy)」を実装した5Gコア装置と、5G SA対応のXperiaを使用。5Gコア装置からスマートフォンにURSPのプロファイルを通知することで、単一のゲームアプリケーションに対して、映像信号と操作信号の送受信に異なる性質のネットワークスライスが割り当て可能であることを確認したという。

 これによって、今後、操作信号は低遅延で確実に通信可能なネットワークスライスを利用し、映像信号は無線環境に応じて最適化することで、無線環境が変化した場合でもより一層安定したゲームプレイが可能となるとしている。

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