【モダンリテール調査】消費者向けブランドで働く従業員の52%「仕事でのメンタルヘルスに不安」

DIGIDAY

こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
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多くの企業が従業員のメンタルヘルスの改善に力を注いでいると公言しているにもかかわらず、ブランドで働く従業員は依然として苦闘している。

グロッシー(Glossy)と米モダンリテールによる、消費者向けブランドの従業員43人を対象とした調査では、回答者の52%が業務でのメンタルヘルスを懸念していると回答した。またこれらの従業員は今後の経済の不透明性についても懸念を表明しており、61%は「勤務している会社の財務的健全性を心配している」と回答した。

メンタルヘルス改善に向けた企業の取り組み

多くの企業は、パンデミックの最中に従業員のメンタルヘルスを改善するため注力すると公言しており、ハーバードビジネスレビュー(Harvard Business Review)の記事では、これが「職場でのメンタルヘルスの新時代」が到来すると2021年に宣言している離職率を考慮して、週4日勤務や、メンタルヘルス・デーやメンタルヘルス週間、調停やセラピー・アプリへの無料サブスクリプションなどを実践すると発表する企業が増えてきた。職場でのメンタルヘルスに関する非営利団体のマインドシェア(MindShare)は昨年の調査で、最低でもひとつのメンタルヘルス不良の症状を抱えている従業員の割合は、2019年の59%から、2021年には76%に増加したことを明らかにした。

企業のメンタルヘルス対策の結果、モダンヘルス(Modern Health)、アデュロ(Aduro)、アンマインド(Unmind)、ビダヘルス(Vida Health)、オプタム(Optum)、ヌーム(Noom)、キャラバンウェルネス(Caravan Wellness)など、従業員のメンタルヘルス改善を約束するさまざまな新興企業が出現した。

士気に対する認識のずれ

しかし、ワークライフ(WorkLife)の最近のレポートによれば、企業文化自体が有害であるか、従業員が適切な報酬を得ていないのなら、メンタルヘルスへの取り組みは無意味になってしまう。ある専門家によれば、企業が従業員の心の健康を向上させるためには、報酬の見直し、マネージャー職のトレーニング、現実的な想定仕事量への期待などが重要だという。

グロッシーと米モダンリテールの調査の結果は、エグゼクティブと同僚の士気に対する認識に乖離が見られた。エグゼクティブの士気が高いと感じている従業員は52%で、同僚の士気が高いと感じている従業員は36%だった。自分自身の士気についての評価は、両者の中間で42%だった。

これらの従業員たちは、景気の先行きに不安を抱きつつも、回答者の70%は「現在の仕事に満足している」と多少または強く感じており、30%は「新しい仕事を探している」と回答した。

この調査が行われた8月の時点で、ほとんどの従業員は、自分の仕事の安定性について心配していなかった。70%は、自分の仕事は安定していることに同意し、30%は「強く」同意していた。また、過去6カ月間に自社の企業スタッフがレイオフされたと回答した人は合計で15%だった。この割合は、小売スタッフや倉庫スタッフのレイオフ率の6%を上回っていた。

経済は「ほとんど何も変わらなかった」

過去1年間に大規模なレイオフがもっとも目立ったのはテック業界だったが、一部の消費者向けブランドも構造改革が行われた。2022年に企業レイオフを行った顕著な企業にはギャップ(Gap)ピーブイエイチ(PVH)グロッシアー(Glossier)がある。

米国労働統計局(U.S. Bureau of Labor)の統計によれば、レイオフと解雇によって、11月の米国全体の経済は「ほとんど何も変わらなかった」。この統計では、農業以外の部門で合計140万の事例が報告されている。求人の数は1030万と依然としてはるかに多いが、この数は10月から35万3000件と「減少してきた」。

[原文:Modern Retail Research: 52% of brand workers are worried about their mental health at work]

LIZ FLORA(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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