【Hothotレビュー】「Radeon RX 7900」の性能をチェック!チップレットでどこまで進化したのか?

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 12月13日より、RDNA 3アーキテクチャを採用するAMDの新世代GPU「Radeon RX 7900シリーズ」が発売される。

 この発売に先立って、「Radeon RX 7900 XTX」および「Radeon RX 7900 XT」をテストする機会が得られたので、AMDの新世代GPUが持つパフォーマンスをベンチマークテストで確かめてみた。ちなみに価格は7900 XTXが17万9,800円、7900 XTが15万9,800円だ。

AMD新ハイエンドGPU「Radeon RX 7900 XTX/XT」を最速ライブレビュー!AMD公式配信とスペシャルコラボで冬の祭りだ!!

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 12月12日(月)22:30よりRadeon RX 7900 XTX/XTの徹底解説ライブを配信中です。23時頃からGeForce RTXとの比較を含むベンチマーク結果の解説、そしてRadeon RX 7900 XTXの実機ライブデモを実施します!解説は“KTU”こと加藤勝明氏、MCは“改造バカ”高橋敏也氏。日本AMD公式配信AMD HEROES WORLDとのコラボ企画として、同番組から日本AMDの佐藤美明氏、鈴木咲さんをお迎えします。

(ライブ終了後は即アーカイブを視聴できます)

新設計のRDNA 3を採用したハイエンドGPU「Radeon RX 7900シリーズ」

 AMDのRadeon RX 7900シリーズは、新アーキテクチャである「RDNA 3」を採用した新世代のハイエンドGPU。シリーズ最初の製品として、Radeon RX 7900 XTXとRadeon RX 7900 XTの2モデルがラインナップされている。

 RDNA 3アーキテクチャでは、AMDがCPUでも導入しているチップレット技術が採用されており、GPUの演算器を集約したGraphics Compute Die(GCD)と、メモリコントローラやInfinity Cacheを備えたMemory Cache Die(MCD)という2種類のダイで構成されている。製造プロセスはGCDが5nmで、MCDが6nm。各ダイを接続するインターコネクトの帯域幅は5.3TB/sに達するという。

 上位モデルであるRadeon RX 7900 XTXのGPUコアでは、96基のコンピュートユニットが有効化されており、6,144基のストリーミングプロセッサや、96基のRay Acceleratorのほか、新たに追加されたAI Acceleratorを192基利用できる。Infinity Cacheは96MBで、VRAMには20Gbps動作のGDDR6メモリを24GB搭載。GPUとVRAM間は384bitのメモリインターフェイスで接続されており960GB/sの帯域幅を実現し、Infinity Cacheを含めた実行メモリ帯域幅は3,500GB/sに達する。バスインターフェイスはPCIe 4.0 x16で、TBPは355W。

 下位モデルのRadeon RX 7900 XTのGPUコアでは、84基のコンピュートユニットが有効化されており、5,376基のストリーミングプロセッサや、84基のRay Accelerator、168基のAI Acceleratorを利用できる。Infinity Cacheは80MBで、VRAMには20Gbps動作のGDDR6メモリを20GB搭載。320bitのメモリインターフェイスで接続されたGPUとVRAM間の帯域幅は800GB/sで、Infinity Cache込みの実行メモリ帯域幅は2,900GB/s。バスインターフェイスはPCIe 4.0 x16で、TBPは315W。

【表1】Radeon RX 7900シリーズの主な仕様
GPU Radeon RX 7900 XTX Radeon RX 7900 XT Radeon RX 6900 XT
アーキテクチャ RDNA 3 RDNA 3 RDNA 2
製造プロセス 5nm GCD + 6nm MCD 5nm GCD + 6nm MCD 7nm
コンピュートユニット 96基 84基 80基
ストリーミングプロセッサ 6,144基 5,376基 5,120基
Ray Accelerator 96基 84基 80基
AI Accelerator 192基 168基
ROPユニット 192基 192基 128基
ゲームクロック 2,300MHz 2,000MHz 2,015MHz
ブーストクロック 2,500MHz 2,400MHz 2,250MHz
AMD Infinity Cache 96MB 80MB 128MB
メモリ容量 24GB (GDDR6) 20GB (GDDR6) 16GB (GDDR6)
メモリスピード 20Gbps 20Gbps 16Gbps
メモリインターフェイス 384bit 320bit 256bit
メモリ帯域幅 960GB/s 800GB/s 512GB/s
実効メモリ帯域幅 3,500GB/s 2,900GB/s 非公開
PCI Express PCIe 4.0 x16 PCIe 4.0 x16 PCIe 4.0 x16
消費電力 (TBP) 355W 315W 300W
税別実売予想価格 999ドル 899ドル

比較用GPUとテスト環境

 Radeon RX 7900シリーズの比較対象には、前世代のハイエンドGPUであるRadeon RX 6900 XTのほか、NVIDIA最新のハイエンドGPUであるGeForce RTX 4080とGeForce RTX 4090を用意した。

 各GPUのテスト時動作仕様は以下の通り。Radeon RX 7900シリーズのGPUクロックが製品仕様と多少異なっているが、これについてはAMDより問題ないとの回答を得ている。また、用意したビデオカードで唯一リファレンスボードでない「Colorful iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-V」については、リファレンスクロック相当で動作するノーマルモードでテストを行なう。

【表2】各ビデオカードの動作仕様
GPU Radeon RX 7900 XTX Radeon RX 7900 XT Radeon RX 6900 XT GeForce RTX 4080 GeForce RTX 4090
ビデオカードベンダー AMD AMD AMD NVIDIA Colorful
製品型番 リファレンスモデル リファレンスモデル リファレンスモデル Founders Edition iGame GeForce RTX 4090 Vulcan OC-V
ベースクロック 1,720MHz 1,387MHz 1,825MHz 2,205MHz 2,235MHz
ゲームクロック 2,269MHz 2,025MHz 2,015MHz
ブーストクロック 2,499MHz 2,499MHz 2,250MHz 2,505MHz 2,520MHz
メモリ容量 24GB (GDDR6) 20GB (GDDR6) 16GB (GDDR6) 16GB (GDDR6X) 24GB (GDDR6X)
メモリスピード 20Gbps 20Gbps 16Gbps 22.4Gbps 21Gbps
メモリインターフェイス 384bit 320bit 256bit 256bit 384bit
メモリ帯域幅 960GB/s 800GB/s 512GB/s 716.8GB/s 1,008GB/s
PCI Express PCIe 4.0 x16 PCIe 4.0 x16 PCIe 4.0 x16 PCIe 4.0 x16 PCIe 4.0 x16
Power Limit 320W 450W
GPU PPT(持続/短時間) 291.0W/349.2W 257.0W/308.4W 255W
温度リミット 不明 不明 不明 83℃ 84℃
Resizable BAR 有効 有効 有効 有効 有効
GPUドライバ 22.40.00.57 (31.0.14000.57006) 22.40.00.57 (31.0.14000.57006) 22.11.2 (31.0.12029.10015) GRD 527.37 (31.0.15.2737) GRD 527.37 (31.0.15.2737)

 各ビデオカードを搭載するベース機材には、Ryzen 7 7700Xを搭載したAMD X670E環境を用意した。

 そのほかの機材や条件については以下の通り。

【表3】テスト機材
CPU Ryzen 7 7700X (8コア/16スレッド)
CPUパワーリミット PPT=142W、TDC=110A、EDC=170A、TjMAX=95℃
CPUクーラー ADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%)
マザーボード ASRock X670E Taichi [UEFI=1.11.AS06]
メモリ DDR5-6000 16GB×2 (2ch、30-38-38-96、1.35V)
システム用SSD Samsung SSD 980 PRO 500GB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
アプリケーション用SSD CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB 10Gbps)
電源 玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1200W/80PLUS Platinum)
OS Windows 11 Pro 22H2 (build 22621.900、VBS有効)
電源プラン バランス
計測 HWiNFO64 Pro v7.34、ラトックシステム RS-BTWATTCH2
室温 約24℃

ベンチマーク結果

 今回実施したベンチマークテストは、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「サイバーパンク2077」、「Microsoft Flight Simulator」、「Forza Horizon 5」、「DIRT 5」、「フォートナイト」、「エーペックスレジェンズ」、「アサシン クリード ヴァルハラ」、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」、「エルデンリング」、「Blender Benchmark」。

3DMark「Speed Way」

 3DMark最新のDirectX 12高負荷テストであるSpeed Wayでは、Radeon RX 7900 XTXが全体3番手のスコアとなる5,782を記録。Radeon RX 7900 XTを約17%、Radeon RX 6900 XTを約59%上回った一方、GeForce RTX 4080を約19%、GeForce RTX 4090を約41%下回った。

【グラフ01】3DMark v2.25.8043「Speed Way」

3DMark「Port Royal」

 3DMarkのDirectX Raytracing(DXR)テスト「Port Royal」において、Radeon RX 7900 XTXは全体3番手のスコアとなる15,611を記録。Radeon RX 7900 XTのスコアは13,668で全体4番手だった。

 Radeon RX 7900 XTXは、Radeon RX 7900 XTを約14%、Radeon RX 6900 XTを約59%上回った一方、GeForce RTX 4080を約13%、GeForce RTX 4090を約39%下回っている。

【グラフ02】3DMark v2.25.8043「Port Royal」

3DMark「Time Spy」

 3DMarkのDirectX 12テストであるTime Spyでは、標準テストの無印版Time Spyのほかに、高負荷版のExtremeを実行した。

 Radeon RX 7900 XTXはGeForce RTX 4080を上回る全体2番手のスコアを記録しており、Radeon RX 7900 XTを9~10%、Radeon RX 6900 XTを34~36%、GeForce RTX 4080を2~3%上回った。一方で、トップスコアのGeForce RTX 4090を14~18%下回っている。

【グラフ03】3DMark v2.25.8043「Time Spy」

【グラフ04】3DMark v2.25.8043「Time Spy Extreme」

3DMark「Fire Strike」

 3DMarkのDirectX 11テスト「Fire Strike」では、標準テストの無印版Fire Strikeのほか、高負荷版のExtremeとUltraを実行した。

 Radeon RX 7900 XTXは、ここでもGeForce RTX 4080を上回って全体2番手のスコアを記録。Radeon RX 7900 XTを6~16%、Radeon RX 6900 XTを約18~43%、GeForce RTX 4080を4~11%上回った。一方で、トップスコアのGeForce RTX 4090を6~19%下回った。

【グラフ05】3DMark v2.25.8043「Fire Strike」

【グラフ06】3DMark v2.25.8043「Fire Strike Extreme」

【グラフ07】3DMark v2.25.8043「Fire Strike Ultra」

3DMark「Wild Life」

 3DMarkのVulkanテストである「Wild Life」では、標準テストの無印版Wild Lifeと、高負荷版のExtremeを実行した。

 Radeon RX 7900 XTXのスコアは全体3番手となっており、Radeon RX 7900 XTを6~18%、Radeon RX 6900 XTを18~42%上回った一方、GeForce RTX 4080を13~15%、GeForce RTX 4090を21~38%下回っている。

【グラフ08】3DMark v2.25.8043「Wild Life/Wild Life Extreme」

3DMark「DirectX Raytracing feature test」

 DXRによるリアルタイムレイトレーシング性能の計測に特化した3DMarkの「DirectX Raytracing feature test」において、Radeon RX 7900 XTXは全体3番手のフレームレートを記録しており、Radeon RX 7900 XTを約16%、Radeon RX 6900 XTを約85%上回った一方、GeForce RTX 4080を約42%、GeForce RTX 4090を約64%下回っている。

 Radeon RX 7900シリーズのレイトレーシング性能は、RDNA 2ベースのRadeon RX 6900 XTから大きく向上してはいるものの、GeForce RTX 40シリーズとの間には大きな差が存在していることが分かる結果だ。

【グラフ09】3DMark v2.25.8043「DirectX Raytracing feature test」

3DMark「PCI Express feature test」

 3DMark「PCI Express feature test」は、バスインターフェイスの帯域幅を計測するテストだ。

 今回テストしたGPUは、いずれもバスインターフェイスにPCIe 4.0 x16を採用しており、GPU毎に多少の差はあるものの27GB/s前後となっている。

【グラフ10】3DMark v2.25.8043「PCI Express feature test」

VRMark

 VRMarkでは、「Orange Room」、「Cyan Room」、「Blue Room」を実行した。

 Orange RoomについてはCPUがボトルネックになることもあり、Radeonは平均400fps弱、GeForceは平均430fps前後で頭打ちとなっている。

 Cyan Roomでは、Radeon RX 7900 XTXが全体ベストのスコアを記録しており、Radeon RX 7900 XTを約12%、Radeon RX 6900 XTを約39%、GeForce RTX 4080を約8%、GeForce RTX 4090を約5%上回った。

 5K解像度で実行されるBlue Roomでは、Radeon RX 7900 XTXがGeForce RTX 4080とほぼ同等のパフォーマンスを発揮している。Radeon RX 7900 XTXはRadeon RX 7900 XTを約18%、Radeon RX 6900 XTを約45%上回る一方、GeForce RTX 4090を約28%下回った。

【グラフ11】VRMark v1.3.2020「ベンチマークスコア」

【グラフ12】VRMark v1.3.2020「平均フレームレート」

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。

 Radeon RX 7900 XTXのスコアは全体3番手で、Radeon RX 7900 XTを8~19%、Radeon RX 6900 XTを16~38%上回る一方、GeForce RTX 4080を2~5%、GeForce RTX 4090を9~22%下回った。

【グラフ13】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「スコア」

【グラフ14】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「平均フレームレート」

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、画質プリセットを「高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。

 Radeon RX 7900 XTは、フルHDでGeForce RTX 4080を僅かに上回っているものの、WQHD以上ではGeForce RTX 4080を6~7%下回り、全体3番手のスコアとなっている。

 結果として、Radeon RX 7900 XTXはRadeon RX 7900 XTを6~19%、Radeon RX 6900 XTを20~38%上回る一方、GeForce RTX 4090を3~30%下回った。

【グラフ15】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.3

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077では、グラフィックスプリセットの「レイトレーシング:ウルトラ」をベースに、AMDとNVIDIAの超解像技術を使用した場合としなかった場合の合計3パターンで、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。なお、今回使用したゲームバージョンはDLSS 3非対応なので、NVIDIA GPUでのフレーム生成はテストしていない。

 超解像技術を使用せず、アンチエイリアス(AA)に「TAA」を設定した場合、Radeon RX 7900 XTXはRadeon RX 7900 XTを12~17%、Radeon RX 6900 XTを51~70%上回る一方、GeForce RTX 4080を33~34%、GeForce RTX 4090を46~52%下回った。レイトレーシングを積極的に活用する設定では、GeForce RTX 40シリーズがかなり優勢なようだ。

 AMDの超解像技術であるFSRを使用した場合、Radeon RX 7900 XTXはRadeon RX 7900 XTを13~15%、Radeon RX 6900 XTを38~50%上回る一方、GeForce RTX 4080を19~33%、GeForce RTX 4090を20~47%下回った。画質については別として、FSRによるフレームレート改善効果はDLSSに近いものであることが、両方を試したGeForce RTX 40シリーズの結果から伺える。

【グラフ16】サイバーパンク2077 (v1.61)「フルHD (1,920×1,080ドット)」

【グラフ17】サイバーパンク2077 (v1.61)「WQHD (2,560×1,440ドット)」

【グラフ18】サイバーパンク2077 (v1.61)「4K (3,840×2,160ドット)」

Microsoft Flight Simulator

 Microsoft Flight Simulatorでは、画質プリセットを「ウルトラ」に設定して、超解像技術を使用した場合としなかった場合で、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。テスト時のグラフィックスAPIは「DirectX 12」で、FSRの設定は「バランス」。DLSSはネイティブ解像度でアンチエイリアスのみを行なうDLAAを利用しつつ、DLSS 3で追加されたフレーム生成も有効化した。

 超解像を使用せずにアンチエイリアスを「TAA」に設定した場合、Radeon RX 7900 XTXはGeForce RTX 40シリーズを1~8%上回って全体ベストを記録している。WQHD以下ではRadeon RX 7900 XTやRadeon RX 6900 XTと差がついていないことなどからも分かるように、これはCPUがボトルネックとなった結果だが、ドライバの違いなどからAMDとNVIDIAでは頭打ちになるフレームレートが異なるようだ。

 FSRをバランス設定で有効化した場合もRadeonがやや優勢で、TAA設定では4Kでフレームレートの低下が見られたRadeon RX 7900 XTとRadeon RX 6900 XTが、Radeon RX 7900 XTXに匹敵するフレームレートを記録している。ただ、4Kの結果を除くとFSRの利用で逆にフレームレートは低下しており、CPUがボトルネックになっている状況でFSRを使ってGPU負荷を軽減しても、パフォーマンス向上につながらないことが分かる。

 GeForce RTX 40シリーズでのみ利用できるDLSS 3のフレーム生成は、CPUのボトルネックを超えてフレームレートを大きく向上させている。この結果をみると、AMDが2023年にリリース予定の「FSR 3」において、FSR 2の2倍のフレームレートを実現するとしているFluid Motion Frameなる技術が、DLSS 3のフレーム生成に相当するものであることを期待したくなる。

【グラフ19】Microsoft Flight Simulator (v1.29.30.0)「フルHD (1,920×1,080ドット)」

【グラフ20】Microsoft Flight Simulator (v1.29.30.0)「WQHD (2,560×1,440ドット)」

【グラフ21】Microsoft Flight Simulator (v1.29.30.0)「4K (3,840×2,160ドット)」

Forza Horizon 5

 Forza Horizon 5では、画質プリセットを「エクストリーム」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。

 Radeon RX 7900 XTXの平均フレームレートは全体3番手で、Radeon RX 7900 XTを8~13%、Radeon RX 6900 XTを7~24%上回る一方、GeForce RTX 4080を3~6%、GeForce RTX 4090を10~22%下回った。

【グラフ22】Forza Horizon 5 (v1.538.198.0.HV)

DIRT 5

 DIRT 5では、画質プリセットを「Ultra High」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。全ての条件でレイトレーシング(Raytraced Vehicle Shadows)を有効にしている。

 Radeon RX 7900 XTXは、フルHDでGeForce RTX 4080を僅かに下回ったものの、WQHD以上では逆にGeForce RTX 4080を2~9%上回った。その他のGPUとの比較では、Radeon RX 7900 XTを11~19%、Radeon RX 6900 XTを49~53%上回る一方、GeForce RTX 4090を20~24%下回った。

【グラフ23】DIRT 5 (v1.0.277037.506)

フォートナイト

 フォートナイトは、ゲームバージョン23.00にてUNREAL ENGINE 5.1を採用し、これによりグラフィックス設定が刷新された。

 今回のテストでは、グラフィックスプリセット「最高」をベースとして、Naniteやレイトレーシングを用いるLumenを無効にした設定と、NaniteとLumen(およびハードウェアレイトレーシング)を有効にした設定、NaniteとLumenを有効化しつつアンチエイリアスを「Temporal Super Resolution(TSR)」にした設定の3パターンでフレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIは「DirectX 12」。

 NaniteやLumenを無効化した設定において、Radeon RX 7900 XTXは全体3番手のフレームレートを記録しており、Radeon RX 7900 XTを8~18%、Radeon RX 6900 XTを24~36%上回る一方、GeForce RTX 4080を8~13%、GeForce RTX 4090を8~31%下回った。

 NaniteとLumenを有効化して、アンチエイリアスを「TAA」にした設定でも、Radeon RX 7900 XTXのフレームレートは全体3番手で、Radeon RX 7900 XTを11~17%、Radeon RX 6900 XTを39~48%上回る一方、GeForce RTX 4080を2~5%、GeForce RTX 4090を16~27%下回った。

 NaniteとLumenを有効化しつつ、アンチエイリアスを「TSR最高」にした設定でも、やはりRadeon RX 7900 XTXのフレームレートは全体3番手だった。Radeon RX 7900 XTXはRadeon RX 7900 XTを8~11%、Radeon RX 6900 XTを33~42%上回る一方、GeForce RTX 4080を約3%、GeForce RTX 4090を9~19%下回った。

【グラフ24】フォートナイト (v23.00)「フルHD (1,920×1,080ドット)」

【グラフ25】フォートナイト (v23.00)「WQHD (2,560×1,440ドット)」

【グラフ26】フォートナイト (v23.00)「4K (3,840×2,160ドット)」

エーペックスレジェンズ

 エーペックスレジェンズでは、描画設定を可能な限り高く設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。

 Raden RX 7900 XTXは、WQHD以下でGeForce RTX 4080を4~5%上回っており、4Kでもほぼ同等のフレームレートを記録した。そのほかのGPUとの比較では、Radeon RX 7900 XTを3~16%、Radeon RX 6900 XTを23~44%上回る一方、GeForce RTX 4090を2~25%下回った。

【グラフ27】エーペックスレジェンズ (v3.0.20.42)

オーバーウォッチ 2

 オーバーウォッチ 2では、描画品質をもっとも高い「エピック」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fps。

 Radeon RX 7900 XTXは、WQHD以下でGeForce RTX 4080を3~6%下回っているが、4Kでは逆に約3%上回っている。その他のGPUとの比較では、Radeon RX 7900 XTを17~18%、Radeon RX 6900 XTを46~52%上回る一方、GeForce RTX 4090を25~27%下回った。

【グラフ28】オーバーウォッチ 2 (v2.2.0.2.107804)

アサシン クリード ヴァルハラ

 アサシン クリード ヴァルハラでは、画質プリセットを「最高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。なお、本タイトルはFSRに対応しているので、FSRを「バランス」設定で有効化した場合のパフォーマンスも計測した。

 FSR無効時のRadeon RX 7900 XTXは、フルHDでGeForce RTX 4090を僅かに上回ってトップに立っており、GeForce RTX 4080を全ての画面解像度で10%ほど上回っている。Radeon RX 7900 XTもGeForce RTX 4080に匹敵する平均フレームレートを記録しており、他のゲームよりもRadeonが優勢な結果となっている。

 FSRをバランス設定で有効化した場合のRadeon RX 7900 XTXは、4KでこそGeForce RTX 4090を約4%下回ったものの、WQHD以下では逆に9~16%上回って全体ベストを記録している。他のGPUとの比較では、Radeon RX 7900 XTを7~9%、Radeon RX 6900 XTを24~33%、GeForce RTX 4080を10~20%上回った。

【グラフ29】アサシンクリード ヴァルハラ (v1.6.2)「FSR=オフ」

【グラフ30】アサシンクリード ヴァルハラ (v1.6.2)「FSR=バランス」

モンスターハンターライズ:サンブレイク

 モンスターハンターライズ:サンブレイクでは、画質プリセットを「高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。

 Radeon RX 7900 XTXは、WQHD以下では全体ベストのフレームレートを記録しており、4KではGeForce RTX 4090を24%下回るものの、GeForce RTX 4080とほぼ同等のフレームレートを記録した。ただ、WQHD以下ではRadeon RX 6900 XTを含めてGPU使用率は100%未満となっているため、純粋にGPUコア性能だけを反映した結果ではない点を考慮する必要はある。

【グラフ31】モンスターハンターライズ:サンブレイク (v13.0.0.0)

エルデンリング

 エルデンリングでは、画質プリセットを「最高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。ゲームの上限フレームレートは60fpsで、自動描画調整は無効にしている。

 結果は全てのGPUが上限フレームレートの60fpsに張り付いており、どのGPUでもパフォーマンスに差はつかなかった。

【グラフ32】エルデンリング (v1.08)

Blender Benchmark 3.1.0

 Blender Benchmark 3.1.0では、標準で用意されている3つのシーン(monster、Junkshop、classroom)をテストした。テストに用いたBlenderのバージョンは「3.4.0」。

 Radeon RX 7900 XTXは、Radeon RX 7900 XTを16~19%、Radeon RX 6900 XTを32~35%上回っているものの、GeForce RTX 4080に2.4~2.8倍、GeForce RTX 4090には3.7~4.2倍という大差をつけられている。

 AMDはレビュアーズガイドにて、Blender 3.5でハードウェアレイトレーシングが利用できるように取り組んでいることを明らかにしており、今後Radeonが備えるRay Acceleratorを使った処理の高速化が実現する可能性を示唆している。これによって、GeForce RTX 40シリーズとの差が縮むことを期待したい。

【グラフ33】Blender Benchmark 3.1.0 (Blender v3.4.0)

システムの消費電力とワットパフォーマンス

 ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。

 Radeon RX 7900シリーズのアイドル時消費電力は100W弱で、92.1WのRadeon RX 6900 XTや、97.6WのGeForce RTX 4080よりやや高いものの、109.0WだったGeForce RTX 4090よりも10W近く低い数値となっている。

 テスト実行中の平均消費電力は、Radeon RX 7900 XTXが435.4~522.2Wで、Radeon RX 7900 XTが428.8~484.3Wだった。これは、Radeon RX 6900 XT(417.1~468.2W)より高く、Wild Life Extreme以外ではGeForce RTX 4080(274.1~445.3W)よりも高い消費電力だ。

 フレームレートが60fpsで頭打ちになっているエルデンリング実行中の平均消費電力は、GeForce RTX 4080が274.1W、GeForce RTX 4090が305.8Wに抑えられているのに対し、Radeon RX 7900シリーズとRadeon RX 6900 XTは440W前後の電力を消費している。Radeon RX 7900 XTXのGPU使用率は7割程度なのでGPU負荷的には余裕があるはずだが、GeForce RTX 40シリーズほど大きく電力をカットすることはできていないようだ。

【グラフ34】3DMark実行中とアイドル時のシステムの消費電力 (平均/最大)

【グラフ35】ゲームテスト実行中のシステムの消費電力 (平均/最大)

 ベンチマーク実行中のシステム平均消費電力で、ベンチマークスコアや平均フレームレートを割ることによって求めた「ワットパフォーマンス」をまとめてみた。また、Radeon RX 6900 XTを基準に指数化したグラフも用意した。

 Radeon RX 7900シリーズのワットパフォーマンスは、従来のハイエンドGPUであるRadeon RX 6900 XTをほとんどのテストで明確に上回ってはいるものの、GeForce RTX 40シリーズには大きな差をつけられている。

 Radeon RX 7900シリーズは5nm製のGCDと6nm製のMCDの組み合わせで構成されているのに対し、GeForce RTX 40シリーズはNVIDIA向けにカスタマイズされた4nmプロセスで製造されたモノシリックダイなので、製造プロセスやチップレット構成の差がワットパフォーマンスに影響しているのかもしれない。

【グラフ36】各GPU搭載システムのワットパフォーマンス(スコア/平均消費電力)

【グラフ37】Radeon RX 6900 XT搭載システムのワットパフォーマンスを100%とした場合

ベンチマーク実行中のモニタリングデータ

 モニタリングソフトのHWiNFO64 Pro v7.34を使って取得した、FINAL FANTASY XVベンチマーク(4K/高品質)実行中のモニタリングデータから、GPU温度などをまとめてみた。

 Radeon RX 7900 XTXのGPU温度は最大67℃(平均61.1℃)で、メモリ温度は最大86℃(平均82.6℃)で、メモリ温度がやや高いように見えるが、推移グラフからはサーマルスロットリングが作動した様子は見られない。

 Radeon RX 7900 XTのGPU温度は最大68℃(平均63.6℃)で、メモリ温度は最大90℃(平均86.6℃)。こちらもメモリ温度が高いが、やはりサーマルスロットリングが作動した様子は見られない。メモリ温度が高いのはGPUクーラーの設計によるものだろう。

コストパフォーマンスが魅力になるRadeon RX 7900シリーズ

 Radeon RX 7900シリーズは、前世代のハイエンドGPUであるRadeon RX 6900 XTを大きく上回るパフォーマンスを実現している。レイトレーシング性能の差は大きいものの、プレイするゲームのタイトルやグラフィックス設定次第では、GeForce RTX 4080と同等以上のパフォーマンスを発揮する場合もある。国内の価格は上位のRadeon RX 7900 XTXでも17万9,800円であることを考えると、コストパフォーマンス的には優秀な選択肢となる。

 とは言え、10万円を大きく超える価格のPCパーツは決して安くない。このクラスの製品を購入するユーザーであれば、多少の価格差よりパフォーマンスを優先するであろうことを考えると、今後はライバルとなるGeForce RTX 4080との間の価格差を継続して提供できるかどうかが鍵となるだろう。

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