ラグジュアリー再販 が激戦するなか、同カテゴリーに注力するeBayはジュエリー認証を取り入れ成功

DIGIDAY

ティラス・カムダー氏は、3年ほど前にeBayのラグジュアリー部門担当ゼネラルマネージャーに就任した。eBayは長年日用品のピアツーピア再販のハブとして知られていたが、CEOのジェイミー・イアンノーネ氏はeBayをラグジュアリーのパワーハウスに変革して、ザ・リアルリアル(The RealReal)やクロノ24(Chrono24)のような企業と競合するほどに成長させるというビジョンを持っていた。

ラグジュアリー顧客を取り込むために、カムダー氏とチームは多くの機能を導入し、有名なインフルエンサーを起用したりeBayのラグジュアリーイニシアチブ専用のソーシャルプレゼンスを作成するなど、大規模なマーケティング展開を推進している。

宝石や高級アイテムの認証を強化

eBayラグジュアリー部門の成長の最大の成果は宝石の認証だ。カムダー氏の就任以前は、eBayには高価なアイテムを認証する手続きはほとんどなかった。購入したものが本物かどうかを判断するのは購入者に任されていた。しかし、eBayが今年初めにラグジュアリー顧客を対象に実施した調査では、82%が認証保証によりラグジュアリーアイテムの購入がより魅力的になると回答している。

eBayは、7月、ジェモロジカル・インスティテュート・オブ・アメリカ(Gemological Institute of America、以下GIA)と協力した。GIAは、インターナショナル・ジェモロジカル・インスティテュート(International Gemological Institute)とともに、世界でもっとも信頼されているダイヤモンドの認証機関と見なされている。eBayで販売されるすべてのダイヤモンドはカットや透明度などのもっとも一般的な要素を認証するGIAジェモロジストにまず送られる。eBayはGIAと直接提携している唯一のオンライン再販業者である。

「当社がGIAと協力していると言えるのはとても重要だ」とカムダー氏。「その点で当社は差別化されており、(マーケティングで)この点について強調してメッセージを発信している」。

カムダー氏によると、2020年に認証が開始されて以来、eBayは200万点以上の製品を認証したという。シャネル(Chanel)、デヴィッドヤーマン(David Yurman)、グッチ(Gucci)などのブランドによるラグジュアリージュエリー向けのプラットフォームの売上高は、2021年と比較して2022年には100%以上増加している。ウォッチやハンドバッグも同様の成長を遂げている。オメガ(Omega)、タグ・ホイヤー(Tag Heuer)、シャネル、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)などのブランドがベストセラーであり、2022年初頭の時点で価格が500ドル(約6.7万円)を超えている場合には認証されている。ラグジュアリー部門を成長させるための取り組みに加えて、同社は今年、ラグジュアリー商品の世界的な売上高が全体的に向上している恩恵を受けている。世界的な売上高は1.45兆ドル(約195兆円)に達する可能性を秘めている。

熱心な購入者を取り込むマーケティング戦略の成功

カムダー氏によると、eBayはラグジュアリー部門のマーケティングにも「多額の投資」を行っているというが、具体的な広告費については明らかにされなかった。1月にはメインの@eBayハンドルとは別に、@eBayWatchesを使用して同社初の独立インスタグラムアカウントを立ち上げた。このアカウントの典型的な投稿には、ストール社(Stoll & Co)の時計の認証プロセスの舞台裏を記録した動画がある。@eBayWatchesアカウントは、メインの@eBayアカウントよりもエンゲージメントが比較的少なく、フォロワーはeBayのメインアカウントの100万人のフォロワーに対してわずか2万人である。

ほかのマーケティング活動には毎年恒例のラグジュアリーエクスチェンジ(Luxury Exchange)の主催がある。これは、ニューヨーク市のダイヤモンドディストリクトで開催され、顧客がジュエリーやほかのラグジュアリーアイテムを売買できる2日間の対面イベントである。eBayはTikTokで200万人以上のフォロワーを持つレミ・ベイダー氏のようなインフルエンサーを招き、このイベントを宣伝した。

TikTokはeBayが投資しているもうひとつの分野であり、特に認証プログラムを宣伝する有料広告を掲載している。

イアンノーネ氏は、この種のマーケティング活動はeBayの新しい戦略であると述べている。

「ファネル下部の最適化から離れて、ファネル全体のマーケティングへとアプローチを変えた」とイアンノーネ氏は語っている。「全体的な戦略は熱心なバイヤーを取り込むことだ。この戦略をスニーカーから開始して、次にラグジュアリーへ移行したが、当社にとってはこれは非常にうまく機能している」。

ラグジュアリーは11月初めに終わった四半期の収益の大きな原動力だった。売上高は24億ドル(約3224億円)と同社の予測ガイダンスを上回り、同社の株価が急上昇した。カムダー氏によると、eBayの平均的なラグジュアリー顧客は年間で時計に9000ドル(約121万円)、そのほかの商品に8000ドル(約107万円)を費やしているという。

ラグジュアリー再販に注力継続

しかし、黒字化に注力しているザ・リアルリアルや、最近トレードシー(Tradesy)を買収して米国市場に参入したヴェスティエール・コレクティブ(Vestiaire Collective)などの企業がひしめくラグジュアリー再販では相変わらず厳しい競争が続いている。再販は今後もラグジュアリー市場の大きな部分を占めるであろう。

「再販はなくならない」と述べているのは、リキュレイト(Recurate)のような再販企業に投資するビジブルベンチャーズ(Visible Ventures)のプリンシパル、ユリ・ドフザンスキー氏だ。「消費者の観点からすると、多くの人々は再販環境で掘り出し物の高級宝石を見つけたことを名誉の証のように感じている」。

現在の進路のおかげでeBayはラジュグアリー部門を成長させ続けるのに好位置につけている。

「ジェイミー(・イアンノーネ氏は)決算報告のたびにラグジュアリーについて語っている」とカムダー氏。「この部門は当社にとって重要だ。ラグジュアリーが毎年成長を続けて、当社のビジネスの大きな部分になることを望んでいる。カテゴリーを超えて熱心な顧客やファンを獲得することに注力しており、ラグジュアリーはその大きな部分を占めている」。

[原文:EBay’s efforts to grow its luxury business are paying off

DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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