SNS戦略 で先をいくサマーフライデーズが語る、成功ポイント10

DIGIDAY

マリアンナ・ヒューイット氏は、スキンケアブランドのサマーフライデーズ(Summer Fridays)の共同創業者だ。このカルトブランドは、2018年、同氏とインフルエンサー仲間のローレン・ゴアス・アイルランド氏によりジェットラグマスク(Jet Lag Mask)1製品でローンチされた。現在では、カルト的な14製品はセフォラ(Sephora)でも取り扱われている。ローンチ以来、サマーフライデーズはインフルエンサーの創業者2人から学んだ教訓と、両氏が何年にもわたってオーガニックなフォロワーを築いてきた経験を活用して、インスタグラムでは50万人以上、TikTokでは3万3700人を超えるファンのフォロワーを育ててきた。ヒューイット氏は、エレホン(Erewhon)スムージーとのコラボレーションでバイラルになったこと、インフルエンサーとの協働、インフルエンサーやコミュニティイベントの拡大、美容ブランドのTikTokアプローチなどについて語ってくれた。

11月14日〜16日に開催されたGlossyビューティ x ウェルネスサミットにマリアンナ・ヒューイット氏が登壇。Glossy西海岸特派員のリズ・フローラ氏との会話からの10項目を以下に紹介する。

ブランドの成功のカギはファンと提携したスポンサードコンテンツ

「我々はあらゆる規模のインフルエンサーやタレントと協働している。皆、この数年のTikTokの台頭を目にしているだろう。TikTokの成長ではフォロワー数はもはや重要ではない。フォロワーが100人、1000人、100万人のクリエイターと協働できるが、誰の動画がバイラルになるかはわらかない。だからこそ、あらゆる範囲のフォロー数を持つ人々へのオーガニックなギフトとシーディングが非常に重要になる。なぜなら、TikTokerのリーチはバイラル性によって少しずつ異なるからだ。協働相手については当社はさまざまな人々と協働しているが、ブランドと関与して製品を購入したり試したり使ったりして、オーガニックに愛用してくれる人々が重要だ。

スポンサード投稿がはるかに効果があるのは、誰かに製品を初めて渡してその人のオーディエンスが製品について初めて耳にするような場合と比べて、(そのブランドのコンテンツを)オーガニックに共有している人材とすでに協働している場合だ。我々は製品を共有する人々と関与するように努めている。ダッシュ(Dash)やトライブ(Tribe)などのプラットフォームを使い、誰が投稿や共有を多く行っているかを確認している。また、EMVを見て、ショップライン(Shopline)やLTKのようなアフィリエイトプラットフォームと提携もしている。そうすれば、最多のリンククリックと売上を推進しているのは誰だかがわかる。望むコンテンツの種類とキャンペーンの目標に応じて、その目標に最適なインフルエンサーと提携することが可能になる」。

没入型のインフルエンサーイベントにフォーカスすべき

「インフルエンサーとして私は多くのギフトを受け取っている。オフィスには毎日モノが山積みになっているが、試せる数は限られている。だが、イベントが開催されて、製品やその人気の理由、製品の研究開発について創業者やマーケティングチームのメンバーと話すことができれば、その製品について詳しく知ることができて、試しに使ってみようという気持ちになる。つまり、これは実に没入型(で自分が好む経験)なのだ。イベントに参加するインフルエンサーには、製品を開梱したというストーリーひとつだけではなく、製品を(ソーシャルアカウントで)共有してほしいと願う。インフルエンサーは製品に関わるライフスタイルについていろいろと共有しており、それには製品に関する学びも含まれている」。

顧客に近い都市に進出する

「コミュニティイベントの場合、コミュニティと関与するために計画されていることが重要なので、(我々が検討するのは)ポジショニングは何か、ブランドの親和性についてか、関与したい都市に深く根ざしているかというようなことだ。ソーシャルやShopify(ショッピファイ)、セフォラでの分析を常に確認している。我々にとっては、当社のトップドアは何か、当社にとって最重要な都市はどこか、どの都市に対応する必要があるのかと問うことが重要だ。コロナ以前の我々のコミュニティイベントはニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコなどの一握りの大都市だった。それから、シカゴとマイアミ。シカゴとマイアミは当社にとって依然トップの都市だが、(他社の)ブランドイベントは行われない。なので、当社がイベントを開催したときには喜ばれて大好評を博した」。

ブランドのイベントを動画向けに調整して、顧客のエンゲージメントを維持する

「パンデミック以前にも動画はあったが、当時はインスタグラムのストーリーぐらいだけだった。いまではリールとTikTokがあるので、パンデミック以前には容易ではなかった素晴らしい撮影の瞬間を捉えたいし、動画では何を映すのかが重要だ。アクティビティなのか、何かが作られているところなのか、それとも、その出来事が最後にどうなるかを見届けたいのか、フックは何か、皆に視聴してもらうためには我々は何をすべきか。

私は何かの制作過程が見られるイベントに行くのが好きだ。最近行ったイベントはパスタ関係のもので、皆もその過程を見たいだろうからパスタ作りの全工程をシェアしたいと思った。皆が最大限に制作できるように、写真と動画のフィードのために共有について考えなければならない。パフォーマンスの素晴らしい瞬間に(に備えて)皆が携帯電話を手にしてその瞬間を共有したいと思っている。自分は何が見たいのか、常にそれにフォーカスする。このようなことが当社のイベントで作成したいことだ」。

意外なパートナーシップでバイラルな瞬間を生み出す

「エレホンから連絡があり、サマーフライデーズか、または私のためにスムージーを作ることについて話し合った。ブランドがほかの小売業者と提携するときには、提携のために最終的にその小売業者に支払わなければならないことになる。結局、マリアンナの「ココナッツクラウド(Coconut Cloud)」スムージーが完成した。マリアンナのスムージーなのだが、「これをどうすればサマーフライデーズに関連づけられるだろうか?」と考えた。スムージーにブルースピルリナを使うことを思いつき、スムージーはきれいな青色になった。その色はサマーフライデーズとジェットラグマスクのようだった。(容器の)底にはココナッツクリームが入っていて、スムージーを注ぐと波模様になる。それが美しいと思い、数百人が買ってくれるだろうと思った。

今月はプーシュ(Poosh)のコラボもあった。ヘイリー・ビーバー氏もプーシュとスムージーのコラボを行い、それがバイラルになって皆が共有していた。これはサマーフライデーズのものではなかったが、ある小売業者との経験的な瞬間であり、製品が共有されたり、サマーフライデーズやサマーフライデーズブルーが思い出されたりした瞬間だった。(サマーフライデーズのコラボは)エレホンでは1カ月の予定だったが、結局2カ月になった。

いまではエレホンのバイラル性は知られているので、ブランドは提携を求めてエレホンに手を差し伸べている。ここロサンゼルスに限られてはいるが、大勢が来店し、観光客も訪れる。多くの人の目的地となっている。そこにはクリーンでサステナブルなビューティブランドが多くあるので、(エレホンとサマーフライデーズの)ブランド親和性は実に素晴らしい。店舗に行くと、いまではこのスムージーは定番メニューに含まれている。これは、まとまりのある一種のブランドメッセージを持っていて、皆が共有したいと思う予想外のコラボレーションのために提携する例だが、美容と美容のコラボレーションとは違う」。

TikTok検索を駆使してインフルエンサーパートナーを見つける

「TikTokを単なる動画プラットフォームと考えてはいけない。YouTubeやインスタグラムで機能するものはTikTokではうまく機能しないだろう。Tiktokには独特の専門用語やトレンド、音声がある。TikTokではわずか1、2週間遅れて行動してもうまくいかない。トレンドベースの場合にはユーザーはすぐに次に移ってしまうので、事前にあまり多くのコンテンツを制作することはできない。先週はやったオーディオを今週投稿したら、TikTokの素早いペースゆえにそれはすでに古くなっている可能性がある。TikTokが実に素晴らしいのは、まったく新しい世代インフルエンサーとクリエイターがいるからだ。コロナ以前はフォロワー数が少なかった人々が、パンデミックから抜け出しつつあるいまでは100万人を超えるフォロワーを獲得している。TikTokによってインフルエンサーの活躍の場が平準化されている。

当社が今年初めに日焼け止めをローンチした際には、日焼け止めを取り上げているクリエイターをターゲットにしたいと思ったが、インスタグラムでそのような人を特定するのは困難だ。TikTokでは何でも検索できるので日焼け止めを検索して、日焼け止めの動画をシェアしているクリエイターを探したら容易に見つけられた。特定のタイプのローンチやブランド、製品に関して協働するニッチなインフルエンサーを探したい場合には、TikTokでそれを実現するのは実に簡単だ」。

TikTokの使用料を支払えばブランドには広告よりも利益が多い

「オーガニックに動画を共有したり自然な動画を投稿する人々にはとても助けられている。そのような人々を見つけて彼らの動画を見て、すでに制作されているコンテンツを宣伝するので支払いたいとか、その使用に対して支払いたいと伝えている。彼らは支払いを期待せずにコンテンツを制作しているのだが、バックエンドで支払いを受けられるようになってとても喜ばれている。このような方法では動画はよりオーガニックに見える。視聴中に広告が表示されるのと、オーガニックな動画を見るのでは、製品を心から愛して共有している人のほうが私は好きだ。

ブランド側はソーシャルキャンペーンや投稿のためのブリーフを作成するのを好む。だが、ブランド側が提供するポイントが多く言及されるとオーガニックではなくなり、共感も得られにくくなる可能性があるのは知っておくべきだ。なので、TikTokのコンテンツを成功させたいなら、製品を提供して『当社にとって重要な3点のうちの1点だけを含めてくれ』と頼む。それだけでいい。インフルエンサーが自分のオーディエンスとTikTokでもっともうまく機能すると思うことを行う制作面の自由を彼らに与える。

それが広告のためだけであっても、または後押ししたいと思っているが実際には自社広告として機能する何かのためだけであっても、もっと指図はできる。その場合はインフルエンサーではなくコンテンツクリエイターと協働したほうが良いかもしれない。なぜなら、コンテンツクリエイターはこちらからのブリーフに基づいてコンテンツを制作するだけだから。バイラル動画や多くの売上を期待しているなら、クリエイターにもっとも得意なことをやってもらえばいい」。

ユーザーにインスタグラムのチェックアウト機能を早く学んでもらう

「共同創業者のローレンと私が今年の初めにインスタグラムライブを主催した際、チェックアウト機能を試してみた。インスタライブを行うのはそれほど気が進まないのだが、この機能を試してみたかったので、ライブにプロモコードを紐づけた。ライブの開催時間帯にD2Cサイトで売上が伸びたので、これが機能していることがわかり、もっとやってみたいと思っている。

またインスタグラムのオーディエンスを教育して、チェックアウト機能に慣れてもらうことも重要だ。すでにクレジットカードでの支払いを行ったことがあるなら2回クリックするだけ。カートに入れて、チェックアウトする。とても簡単ではあるが、その購入方法に慣れてもらう必要がある。皆がクレジットカード情報を安心して登録するようになるには少し時間がかかるだろう。だが、1度やればそれは非常に迅速(なプロセス)だ」。

ブランドはソーシャル戦略をブランドイメージの一部として捉えるべき

「当社のそれぞれのプラットフォーム、コンテンツさえも異なる目的のためにあると考えている。あるコンテンツは教育用、あるコンテンツは販売促進用、別のコンテンツはブランドポジショニング用といったように。狙っているブランド要素の全体的なブランドマーケティング戦略のために目的を定めて行うことが重要だ。(目的がはっきりしない)何らかの投稿を行ってすぐに売上をチェックするというようなことではない。ストーリーやビーリアル(BeReal)やTikTokなどすべてのプラットフォームに毎日来る日も来る日も投稿して、どのプラットフォームにもプレゼンスを持っていることがカギだ。

つまり、誰かがある会社の製品の購入を考えているとき、その人が最後に見たのがその会社の投稿であるということだ。また、多額のギフトやシーディングを提供して、他人のコンテンツにできるだけ多く含まれるようにすることでもある。そうすれば購入するときに当社を選んでもらえる。最近、セフォラのセールがあったが、セフォラのすべての動画でオススメ商品として取り上げてもらえるようにしたかった。そうすれば、セールが始まったら当社の製品の購入が考慮されるからだ」。

ライブストリーミングの成功には自然さが重要

「当社の創業者2人はインフルエンサーなので、我々のところに来ては購入したりオススメを聞いてくるオーディエンスがいる。なので、我々はライブでそのような話をすることに慣れている。表に出る創業者がいないブランドや、カメラの前に登場する人があまりいないブランドの場合は多少難しいかもしれない。その場合には自社のインフルエンサーとして協働したいと思う人材を見つけることだ。インフルエンサーを雇うか、ブランド内で担当者を見つければ継続的に協働することができる。選択肢はたくさんある。インフルエンサーに(自分の)オーディエンスにリーチしてそのブランドの製品を販売しているプラットフォームがあればそこで行うこともできるし、ブランドのプラットフォームで行うこともできる。または、一緒にライブショーを共催すれば彼らのオーディエンスと自社のオーディエンス、それから自社ブランドの人材も活用して、もっと多くの人々に販売することができる。

我々のライブでは(サマーフライデーズ製品の)ライブチュートリアルを実際に披露したが、オーディエンスは我々のコメントやDMやカスタマーサービスにアクセスすることなく、我々に直接質問することができた。そのようなリアルタイムのやりとりは(購入に)とても役立った。また、購入コードやプロモコードが含まれたギフトなどを提供して、ライブ中にチェックアウトするように促したことも役立った」。

[原文:Glossy Summit Spotlight: How Summer Fridays is staying ahead on social media

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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