【立ち食いそば放浪記】第297回:自由すぎる旭川の駅そばに「型にハマるな」と教えられた話 / 俺たちはどこへだって行ける

ロケットニュース24

2022年に入って旭川に来るのは2度目だ。出不精の私(中澤)としてはこれはかなりの頻度と言える。そんな私が、1度目に来た時から気になっているのが旭川駅にある駅弁屋「旭川駅立売商会」だ。見た目は駅にある普通の駅弁屋という感じであるこの店。だが、よく見ると立ち食いそばコーナーが併設されているのである

駅弁と立ち食いそばはたしかに両方駅にあるもの。とはいえ、両立しているのは初めて見たかもしれない。しかも、駅弁屋だけでもおかしくないようなスペースで。そこはかとなく漂うおおらかさ。しかし、入店してみたところ、この店のおおらかさはそんなもんじゃなかった

・メニュー

かけそばが税込み380円と立ち食いそば価格であるこの店。かき揚げ(税込み580円)のところに「No.1」と書かれたメニューには、特に珍しいものはない。入店するのに気合の必要ない、なんとなく寄れる立ち食いそば屋さんという感じ。

というわけで、なんとなく『月見そば(税込み450円)』を注文した。すると、店員さんがこう聞いてくる。「ここで召し上がられますか?」と。ここ以外にどこがあるんです


・後ろ

素朴な疑問を聞き返したところ、店員さんは「あちらで食べても大丈夫ですよ」と私の後ろを手で示す。あれ? そちらになんかありましたっけ

振り向いたところ、そこに10人掛けの長机が置かれており、勉強してる子とかもいる。さらには、窓際にも出っ張りがあり座れるようになっていた。

・通路

とはいえ、都内の感覚で言うならそこはもう店の敷地外。完全に駅構内……っていうか、通路である。野放しすぎるだろ! そのため、なんとなく私はカウンターで食べることを選択した。

そばはさすが近所だけあって幌加内(ほろかない)産。日本一のそばの名産地である。さらに、つゆの味は昆布だしだと思われる。かつおだし主体のつゆより優しく上品な味。でも、決して味が薄いわけではなく、しっかりとつゆの旨みが感じられるところは、思いのほか丁寧な味づくりである

・旭川の空に教えられた

それにしても、地元民らしきお客さんが割と入れ替わり立ち替わりやって来る。結構、人気の店なのかもしれない。そして、その客たちは多くが丼を持ち出して食べていた。そこで改めて通路で食べている人たちを観察してみると、壁一面が窓になっているし解放感が凄そうだ。

確かに、あそこで食べるそばはウマそうである。本来なら行けるはずの場所。変に空気を読んで、自分から選んだ今──。


俺たちはどこにだって行っていいんだ。しかし、行けなかった私。なぜあの時一歩を踏み出さなかったのか? 今は少し後悔している。大きい窓の外、広大な旭川の空の眩しさに「型にハマるな」と教えられた気がした。

・今回紹介した店舗の情報

店名 旭川駅立売商会 旭川駅構内コンコース売店
住所 北海道旭川市宮下通8-3-1 旭川駅 1F
営業時間 8:00~18:00
定休日 無休

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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