【疑問】なんで干し芋はあんなに高いのか? 気になったので自作してみた結果見えてきたことは…

ロケットニュース24

秋冬の隠れ激ウマスイーツといえば「干し芋」であろう。紅はるかや紅あずまといった激甘品種の芋が増えたこともあり、干し芋のレベルも年々上がっている。

ダイエット中のおやつにさつまいもがいい……と聞いてから、私も積極的に焼き芋や干し芋を食べているのだが……。干し芋ってめっちゃ高くない???

ブランド芋ならひと袋500円とか1000円はザラ。美味しいから沢山食べたいけど、あっという間に食べ終わってしまう。芋自体は安くで売ってるのだから、自作できないか調べてみたところ、干し芋屋さんが公開するレシピを発見。早速作ってみることにしたのだが……。

・干し芋は自作できるが……

今回参考にしたのは干し芋・さつまいもメーカーの「照沼」が公開しているレシピ

必要なものは

・さつまいも
・蒸し器
・軍手 or ふきん
・干し網(100均とかに売ってる)

作り方は、さつまいもを蒸して皮を剥き、薄切りにして、天日干しする。とめちゃめちゃシンプル。しかし、実際にやってみると死ぬほど面倒くさかった。


・天気との勝負

数日間、天日干しにするため、3日ほど連続で晴れた日が好ましいらしい。思い立ってすぐ作れるってわけじゃないのだ、干し芋は。

11月中旬の天気予報をチェックすると……3日連続で晴れてる日、すくねえ〜〜〜! 

そう、変わりやすいものの例えに「女心と秋の空」なんて言葉があるように、秋の天気はひどく変わりやすいのだ。お天道様がぜんぜん味方してくれやしない……。

もちろん、専用の家電・ドライフードメーカーなんかを使えば天気を気にせず、いつでも干し芋が作れるのだろう。しかし、わざわざ家電を買いたくはない。


・蒸し時間が長い

数日間の晴天が約束された日、仕事から帰ってきて「さあ干し芋を作るぞ」と思ってレシピを見たら、芋の甘さを引き出すために、皮付きのまま弱火でじっくり1時間〜2時間ほど芋を蒸す、と書いてあった。

蒸し時間、長っ!

火の元が心配なので、当然、その間は火のそばを離れられない。芋と向き合う1時間……。竹串が芋にスーッと通るようになるまで蒸すのだが、蒸しすぎてもいけないらしい。塩梅が難しい……。


・アツアツの状態で皮を剥く

芋が蒸し上がったら、芋が熱いうちに皮を剥く。熱いので軍手やふきんで芋を持ち、菜箸でこそぐように芋の皮を剥いていく。皮はスーッとむけるものの、とにかく手が熱い! 

家に清潔な軍手がなかったので、厚手のビニール手袋で作業したのだがあまりの熱さに、長時間芋を手に持っていられないので皮剥きが難航。結果的にちょっと火傷した。まさかこんなに苦労するとは思わなかった。写真がぶれているのはそのせいである。

ちなみに、皮を剥いてから芋を蒸せばいいのではないかと言われそうだが、それだと芋が水っぽくなってしまうのでNGなのだ。


・冷ましてから薄切りにする

皮を剥くのはアツアツの状態じゃないとダメだが、蒸したての芋は崩れやすいため、薄切りにするのは冷ましてからがいいらしい……。

ここまでで、すでに1時間半から2時間経っているのだが、またしても待ち時間発生である。

芋がほどよく冷めるまで時間を潰すのだが、ほっかほかの芋が全然冷めない。さすが、真冬にカイロ代わりに買われるだけある。

20〜30分ほど経って、芋がある程度冷めたところで1センチほどの薄切りにするのだが、蜜の多い芋は柔らかいので、まあ切りにくい。

そして慎重に、切った芋が崩れないよう、干網に芋を並べていく……。

まさか、蒸して薄切りにした芋を並べるだけでこんなに時間がかかるとは思わなかった。パウンドケーキとかなら、もうとっくにできあがって食べている時間である。効率化や生産性を重視するベンチャー企業の経営者が干し芋を作ったら発狂しちゃうんじゃないかと思う。


・ここからさらに数日かかる……

干網を見ると、薄切りの芋達がいかにも美味しそうに黄金色に輝いている。奮発して「紅はるか」を買ってよかった。

しかし恐ろしいことに、2時間以上手をかけたにも関わらず、まだ食べられない。ここはまだ干し芋作りの序の口にすぎないのである。ここから3日〜1週間ほど芋を干して、熟成させていくのだ。スローライフ極まれり!

翌朝……干して一晩たった芋を触ってみたが、まだ全然柔らかい。袋を締め忘れた食パンはすぐカピカピになるのに、なんで「さあ乾燥させてください」と堂々と干している芋は乾燥しないのか。

最初は網の下にキッチンペーパーを敷いていたのだが、それだとなかなか乾かないので、網を干し野菜専用のものに変えて干すこと3日……。

干し芋がようやく出来上がった!!

完成の印は、芋を2つに折り曲げても割れないことらしい。全体的に身がギュッと縮んでいて、一回りくらい小さくなった印象だ。

私はほどよくしっとり感の残るほうが好みなので3日で引き上げたが、自分の好きな硬さになるまで干していていいそう。

ワクワクしながら、さっそく食べてみると……


ちゃんと干し芋ができてる〜〜〜!!!


干したことでぎゅっと芋の甘みや味わいが濃くなった感じがする。手作りの干し芋の美味しさはひとしおだ。


と言いたいところだが……


ぶっちゃけ市販の干し芋と比べるとどこか甘みなどが物足りない。4日ほどかけて手作りしたんだから、感動するくらい美味しくあってほしいものだが「ふーん、こんなもんか」という感想がどうしてもぬぐえない。


・結論「買ったほうがいい」

そしてその瞬間に市販の干し芋の量が少なくて高い理由が痛いほどわかった。芋が甘くないといけないし、天気に左右されるし、時間はかかるし、甘く美味しく作るにはコツがいるからなのだ……。

シンプルなものほど、美味しく作るのは難しい。実際に作ってみて初めてわかったけど、手間暇を考えると、干し芋の高さは妥当だった。今後はありがたく、甘くて美味しい干し芋を購入しようと思った次第である……。


執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.

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