【天竜二俣編】時が止まったかのような「第3村」鉄道遺産! トウジたちが暮らすエヴァンゲリオンゆかりの地を探訪!!

ロケットニュース24

エヴァンゲリオンゆかりの地を訪ねる旅の第2弾。第3新東京市での束の間の平和が崩壊した物語後半、生き残った人々が身を寄せ合って暮らす「第3村」に行ってみた!

正確には “制作陣が第3村を描く時にビジュアル面で参考にした場所” ……と言うべきなのだろうが、同時に「本物の第3村」だった。どういうことかご説明したい。


・「第3村」化している天竜二俣駅

ニアサードインパクトで世界は壊滅寸前。災禍を生き延び、大人になったトウジやケンスケやヒカリが暮らしているのが第3村だ。テレビシリーズとはまったく異なる世界が広がり、新しい展開が待っているのだと視聴者が一目で理解する場所。

そんな第3村のモデルと言われるのが、静岡県浜松市の天竜二俣駅だ。登録有形文化財に指定されている鉄道遺産があり、自由に立ち入ることはできないが見学ツアーがある。予約不要で現地集合、参加費は大人ひとり600円だ。ほかに乗車体験ツアー(要予約)もある。

着いてみたら、さっそくあちこちに「第3村」って書いてあるじゃないかぁぁぁ! 熱狂的なファンがやっちまったのかと思ったが、ちょうどコラボレーション期間中なのだそう。入場券を購入すれば、ホームで写真を撮ることもできる。

ホームの駅名標などもすべて抜かりなく掛けかえられている。本物感がすごい! ちなみに天竜浜名湖線はエヴァだけではなく、『ゆるキャン△』の聖地でもあるとか。ラッピング列車が走ったりするそう。


・ガイドさんとウォーキングツアー

天竜二俣駅に集合した参加者は、ガイドさんの案内のもと5分ほど離れた見学スポットに向かう。歴史的な説明にアニメ情報を交えて教えてくれるガイドさんの話は軽妙でわかりやすい。

最初に目に入るのは、作中でも描かれている「高架貯水槽」! かつて蒸気機関車への給水に使われていたものだそう。

そこから運転区事務所エリアに入っていく。「運転区事務室」「運転区休憩所」「運転区浴場」といった施設が文化財に指定されている。いまでも現役で使われている事務所なので、建物内部に入ることはできないし、仕事の邪魔になるような行動も不可。

いやいや、現在進行形で使用中っていうのがすごいな。文化財に囲まれながら働くってどんな感覚なんだろう。レトロな木造建築にはなんとも言えない趣があり、狭い地域で人々が肩を寄せ合って暮らす第3村を彷彿させる。

窓越しに見学できる浴場。現在は使われておらず、列車のヘッドマークが飾られている。

作中では鉄道車両を公衆浴場に利用していて、レイの入浴シーンが(変な意味でなく)印象的だった。レイはこの村で初めて農業をし、赤ちゃんに触れ、猫に興味をもち、挨拶を覚える。

ツアー一行は、ハイライトとなる扇形車庫と転車台へ! 診療所を出たシンジが初めて見た第3村の風景だ。作中ではバラックのような住宅が建ち並び、車庫から見て左側に食糧の配給所、右側にトウジの家があった。

現実でも作中でも転車台から放射状に線路が伸びていて、必要な方向に蒸気機関車を転換することができる。立体駐車場のターンテーブルみたいだ。


これ、実際に動く!! いまも稼働しているものは国内にわずかで、非っ常~~~に貴重なものだそう。


現在の列車は両方向に進めるため、転車台の必要性は低下しているのだとか。天竜二俣駅で現役なのは、車両の整備などをする扇形車庫に列車を納めるため。

最後に車庫に隣接する鉄道歴史館を見学する。作中では「診療所」「CLINIC」とペイントされ、トウジの診療所となっていた建物だ。

トウジといえば、とんがった少年時代を知っているぶん「先生」と呼ばれて村人から頼られている姿が新鮮だ。人はどんどん変わって大人になるのに、いつまでも変わらない(変われない)シンジやアスカが対照的に描かれている。

館内には物語そのままに「空襲警報發令」や「しんじょはら」の駅名標がある!


体育館のような高い天井に、古ぼけた木枠のガラス窓。昭和レトロとはこのことだ。歴史を刻んだ建物特有の、胸がグッと詰まるような情緒がある。

見学できるのはそう広くないエリアだが、右を見ても左を見ても雰囲気抜群。写真はトウジの家があるあたり。

よく「家は人が住まなくなると死ぬ」と言うが、古い建築物は本来の役目を終えて「遺産」や「展示」になった途端に魂を失うような気がする。きれいに管理されていても、建物のもつ存在感のようなものが薄くなり「夜にひとりで来ても全然怖くないな!」と感じられる。

たくさんの建物が移築されている野外博物館のようなところでも、なんとなく「人の気配が残っている家」「残っていない家」と区別できるのは本当に不思議だ。もし霊感的なものと結びつけるのなら、「過去にここに住んでいた人がなんちゃら~」とかいう話になるのかもしれない。

昭和15年開業の天竜二俣駅は、いまもなお鉄道施設として活き活きと血が通っている場所だ。活力と郷愁が絶妙なバランスで混在している。現在でも人々の足となっていることには言い尽くせない価値がある。



・「第3村」コラボは2023年1月31日まで

ツアーが終わっても、帰るのはまだ早い。駅の窓口では「第3村」と印字された本物の切符(硬券)を販売。駅の売店「てんはまや」でもエヴァグッズを扱っていた。

駅名看板などが「第3村」に変わるスペシャルキャンペーンは2023年1月31日(火)まで。

鉄道好きなら車庫で間近に見られる車両や、駅の正面でSLを展示している「機関車公園」も外せない。エヴァファン、ゆるキャン△ファン、鉄道ファン、すべてを分け隔てなく受け入れてくれる懐(ふところ)の深い駅だ。


参考リンク:天竜浜名湖鉄道株式会社
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.

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