創価学会や旧統一教会など各宗教の本当の信者数は?

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馬鹿げたことに、文化庁の統計による各宗教の国内信者数を合計すると、日本の人口より多くなる。文化庁宗務課が毎年行っている「宗教統計調査」によると、各宗教の信者数は1億8114万6092人だ(令和2年12月31日現在)。

しかし、各宗教の本当の信者数はどのくらいなのか?また、旧統一教会は本当にそんなに力があるのだろうか?そのあたりについて、「日本の政治「解体新書」:世襲・反日・宗教・利権、与野党のアキレス腱」(小学館新書)で分析してみた。

古いデータで恐縮だが、『週刊ダイヤモンド』の2009年9月12日号の「新宗教巨大ビジネスの全貌」という記事によると、宗教団体の自称信者数のベスト5は、①神社本庁(約6805万人)②幸福の科学(1100万人)③創価学会(827万人)④浄土真宗本願寺派(約694万人)⑤浄土宗(約606万人)だという。

世界平和統一家庭連合HP、創価学会HPより

①はいわゆる氏子の総数で、らしい。私も町内会から回ってくる奉加帳に少額のお付き合いをしているので、その神社にほとんど行かないが、氏子に数えられているのだろう。④⑤は檀家の数であろう。

②については、『文藝春秋』09年8月号に掲載された大川隆法インタビューによれば「ウチは創価学会より集票力がある」で「会費をとっていないので信者数を確定できないが、信者だけに渡される根本経典『正心法語』の発行部数が累計で1100万部くらい」ということだ。答えているが、実際の信者数はいくら多くみつもっても100万人程度と推計されている。

③は、創価学会公式サイトにも掲載されていた数字だが、現在は「827万人」ではなく、「827万世帯」と書かれている。公明党は2022年の参議院選挙比例区で618万票を獲得しているので、ほかの宗教ほどには、実数から乖離していないものと思われる。

④⑤は檀家の人数という意味だろう。

それでは、実数はどのくらいかだが、島田裕巳氏の「新宗教の政治と金」(宝島新書)をみていろんな分析がされていたので、それをもとに私の解釈を加えて紹介する。

島田氏によると、大阪商業大学JGSS調査というのが、いちばん堅いところを抑えた数字なので、それをもとに島田教授は、創価学会217万人、天理教38万人、顕正会33万人、立正佼成会20万人、真如苑17万人崇光真光&世界真光文明教団13万人エホバの証人12万人、幸福の科学3.8万人旧統一教会1.2万人と推定している。

一方、NHKの宗教意識についての調査から推計すると、創価学会378万人、立正佼成会63万人だという。なので上記の大阪商業大学の数字の二倍ということになる。感覚的には、このあたりが幽霊会員を除いた場合の妥当なところであろう。

公明党は、創価学会の信者に加え、それなりの政治団体としての公明党を評価する浮動票も獲得しているということになろう。

旧統一教会は、アクティブな信者は、せいぜい2~3万だろう。そういう意味では、参議院比例区で自民党の議席数に与える影響はほぼ皆無なのだが、現在の参議院議員選挙比例区の仕組みである「非拘束式名簿」ではそれくらいの票数でも確実に集中投票させれば自民党の誰を当選させるかには、少し力を発揮できる。

参議院選挙の比例代表では、有権者は候補者名または政党名を記載して投票し、各政党候補のうち個人名での得票が多かった者から順に当選人が決まっていく。政党名で投票する人が多いので、同じ党内の他候補を押しのけて当選できる可能性が少し高まる程度だ。

先の参議院議員選挙では、安倍派の井上義行議員が165042票を獲得して当選したが、選挙通の人々の推計によれば、3万票ほどが旧統一教会の支援を受けたことでの上乗せではないかと言われている。

その意味では、もし支持を受けなければ当落ギリギリだったと見る人が多い。いずれにせよ、旧統一教会の信者はほとんど保守系だから、自民党の議席数には影響はなかったのは間違いないし、その意味で、なにか巨大な政治力をもっているというのが事実とは思えない。

あとは、選挙運動員として有能な人材を送り込むことで、どこまで役に立ったかといった程度だろう。選挙運動員として頼りになるということでいえば、野党でも北朝鮮がらみでいつも話題になる人たちがいるのも忘れてはならない。

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