アンテナ展開に成功した商業衛星、明るすぎて天体観測への影響が憂慮されている

GIZMODO

オリオン座並みに目立つ。

今週、9月に打ち上げられた試験衛星「BlueWalker 3」がアンテナアレイの展開に成功しました。朗報には違いありませんが、天文学者らにとって同衛星の明るさは天体観測を脅かす光害となりそうです。

現地時間の月曜AST SpaceMobile社は、同社の試験衛星が地球低軌道上でアレイの展開を完了し、通信アレイが693平方フィート(64平方メートル)に広がったと発表しました。このアレイは地球低軌道で展開された商業通信衛星のアレイとしては最大規模で、スマートフォンに直接通信を提供できるよう設計されています。

何でもビッグサイズなことで知られるテキサス州に拠点を置く同社にとって衛星の大きさは自慢の種のようで、AST SpaceMobileのAbel Avellan会長兼CEOはBlueWalker 3に関するツイートで「テキサス製。サイズは大事!」と豪語していました。

しかし空からデータを収集する天文学者らにとっては、何ら自慢するようなことではありません。Sky & Telescopeによると、アンテナが完全に開いた状態の同衛星は、夜空で最も明るい物体になるかもしれないそうです。

オランダのデルフト工科大学で宇宙力学の講師を務めるMarco Langbroek氏は、打ち上げ時からBlueWalker 3を追跡しています。9月に空を観察した際の同衛星の見かけの等級は、肉眼で見えるが非常に明るいわけではない+3.5ほどでした。しかし、アンテナを展開してからは著しく明るくなったのです。

「この数日間のほかの観測者による幾つかの初期レポートは、2等級ほどとかなり明るくなったと指摘しています」とLangbroek氏は米Gizmodoのメール取材に答えています。「1等級の差は2.512倍の明るさなので、以前よりも約6倍明るいということです」

「天頂通過時についてのあるレポートは、明るさのピークが+2から+1等級だと述べていて、それはオリオン座の恒星ほどの明るさです」と補足していました。衛星は展開され始めたばかりなのでもっと明るくなるかもれないとLangbroek氏は予測しています。

天体観測に影響を及ぼす可能性を危惧

天文学者らは、衛星が望遠鏡での画像に光跡として現れたり天文台の検出器を飽和状態にしたりと観測に干渉し得るとの懸念を表明しています。

アメリカ国立科学財団(NSF)の国立光赤外線天文学研究所 (NOIRLab)と国際天文学連合(IAU)の「Centre for the Protection of the Dark and Quiet Sky from Satellite Constellation Interference(衛星コンステレーションの干渉から暗くて静寂な空を守る会)」は、この衛星を観察して地球を周回する際の等級を記録するよう世界中の天文学者に呼びかけました。NSFのレポートには、「(地球低軌道を周回する衛星は)地球の脅威となるような小惑星や彗星、太陽系外縁天体、重力波源の可視光対応天体の探索といった薄明かりでの観測を要する科学プログラムに偏った影響を及ぼす」と書かれています。

BlueWalker 3は1基だけでも、天体観測に干渉するほどの大きさです。しかし同衛星は、100基以上によるコンステレーションを構築するための試験衛星にすぎません。AST SpaceMobileは史上初にして唯一の宇宙に置かれた、スマートフォンで直接利用できるブロードバンド通信網を築くことを目指していて、2024年末までにはもっと多くの自社衛星を宇宙に送り出すつもりです。

地球低軌道はすでに商業衛星で混み合っています。イーロン・マスクのSpaceXは地球低軌道上に通信衛星コンステレーションを構築していて、4万2000基を配備予定。Amazon(アマゾン)はProject Kuiper用に3236基の衛星を、OneWeb(ワンウェブ)は648基の衛星を打ち上げる計画です。

Source: Business Wire, Twitter, Sky & Telescope, NOIRLab,

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