フィリピンの派手な手作りケーキを買える店が岐阜にある

デイリーポータルZ

外国で見るあのケーキを日本で!

アジアの旅先で見かけるようなケーキ屋を見つけた。

日本にはない独特な色とセンスの、海外を感じるケーキ屋だ。

店の名は「Nida’s CANTEEN & BAKE SHOP」(以降Nida’s)。フィリピンの方がやっている店だ。

場所は名古屋から名鉄で1時間ほどのところにある岐阜県の可児(かに)市。そのロードサイドにある。

先日20周年を迎えたデイリーポータルZを私的に祝おうと、ケーキをつくりに行った。

可児かにどこカニ?

岐阜県可児市は名古屋の北北東、岐阜市からは東側にある。

可児市と隣の美濃加茂市は外国人、特にフィリピン人とブラジル人が多い。多く住んでいるのでフィリピン料理屋やブラジル料理屋が結構ある。

東京の池袋の一角の中国料理屋や、大阪の鶴橋の一角の韓国料理屋ほどではないけれど、フィリピン料理屋やブラジル料理屋が点々とあるのだ。

「Nida’s」はそんな可児や美濃加茂のフィリピン人のニーズに応え続けて10年以上のケーキ屋さんだ。

002L.jpg
英語とフィリピンのタガログ語が書かれているNIDA’s CANTEEN & BAKE SHOP

フィリピンの誕生日は盛大に祝うもの

ただフィリピンのケーキ事情がわからない。

そこでフィリピン事情に詳しい、名古屋の大曾根にあるフィリピンカフェバー「Republic」の日本人マスター、ウェイウェイさんに聞いてみた。

「フィリピンで誕生日ケーキはすごいニーズあるんですよ。誕生日の人がどーんと振る舞う習慣があって、とにかくたくさんケーキを並べるんです」

なんだかシャンパンタワーみたいな世界だ……。

ウェイウェイさん「それでだいたいあってます(笑)」

そんなRepublicも、ときどき店でフィリピンスタイルでスイーツ食べ放題イベントをするそうなのだ。すごい。

003L.jpg
フィリピンカフェバー「Republic」のウェイウェイさん。パンデサールというフィリピンパンも出してるという。おいしそうだ
004L.jpg
Nida’s~の店ではこんなケーキがつくれるらしい。作りたくなるでしょう!?

扉の先のフィリピン

いざ可児へ!

名鉄広見線「可児川」駅で下車。そこから北に向かって美濃加茂方面に15分ほど歩くとその店がある。

駅前には工場があり、その駐車場にはフィリピンのタガログ語やブラジルのポルトガル語で書かれた案内がある。なるほど働いているフィリピン人やブラジル人が結構いるようだ。

住宅地を抜けると大通りに。大通り沿いにはブラジル料理屋もあるけど、ここはNida’sに。

005L.jpg
海外旅行はドアベルから。ところでよくみると以前はそば処だったようだ。
006L.jpg
視線の先にすごく味のある店内が広がっていた。食事のメニューも壁に並べられている。

フィリピンでこの手の店に入ったはっきりとした記憶はないけれど、アジアでさすらう中でバスを乗り継いだ先でふらりと入ったお店のような、そんな雰囲気だ。

ロードサイドにあってトラックが横を走り抜けるのが一層それっぽい雰囲気を出している。

オーナーは女性のNidaさん。フィリピンの人は英語でやりとりできるのがありがたい。学校で習う英語でなんとかなるのだ。

007L.jpg
フィリピンの肉まん「Siopao」を出してくれたNidaさん。なんと手作りだという。これがうまい!そしてケーキもまた手作りだそう!

この店を10年以上やりくりしているNidaさん。

店の広告塔としては、Facebookのページがあり、この取材も来店前に店のFacebookページでコンタクトを取り、この日にうかがいますと連絡した。それから以前地元の可児のケーブルテレビから取材を受け放送されたこともあるという。

Nidaさん「今日も2件ケーキの依頼が来てるのですよ。これからまた作らなくてはいけなくて」とのこと。

なるほど人気で要予約なわけだ。

008L.jpg
準備をはじめるNidaさん。店内には飲食メニューも有る
009L.jpg
ガラスケースには味のある人形もあった。子供向けのおもちゃも売ってるのだろうか。
010L.jpg
駄菓子屋のようにバラ売りの菓子も売られていた。
いったん広告です

フィリピンの職人、ケーキをつくる

「ケーキの作り方は秘密で見せられないんだけど、デコレーションは見せてあげますね」

そういってNidaさんは手作りのチョコレートケーキとデコレーションのバタークリームをもってきた。

頼んだのはデイリーポータルZのロゴを見せた上で「派手にお願いします」

さてどのようなのができるのでしょうか……!

011L.jpg
ためし書きをするNidaさん。妥協はしない。
012L.jpg
試し書きのあと一気に書いていく。
013L.jpg
さらに上と下の縁にチョコレートでデコレーションしていく。ここが手慣れててほんと早い!
014L.jpg
さらに上からホイップクリームで描いていく

Nidaさんは真剣に静かにケーキを作っていく。勝手ながらフィリピン人というと陽気で明るい印象があったのだけれど、すごく真面目で職人気質だ。

こんな話を聞いた。

 「サウジアラビアで看護師をやって、それから主人(フィリピン人)の都合で日本に来たんです。最初はお店も手探りで広告もしなかったんですが、いつの間にか口コミで広がりました」という。人生いろいろだ。

しかも自分の腕ひとつで、フィリピン風ケーキや、フィリピン風肉まんSiopaoを再現し、店をやりくりしているのだ。

015L.jpg
角に花を飾り、更にカラースプレーをかけ……
016L.jpg
デイリーポータルZケーキが完成した!!

つくりはじめると慣れているもので、あっという間に完成した。職人だった。

ウェイウエイさんに見せると「クリームがバタークリームで光沢があるのがクラシックなフィリピンらしい!」と驚愕。

昔ながらの素朴なフィリピンケーキが買えるのだ。そりゃあ人気になるのわかります。

017L.jpg
「小さいケーキには無理だけど」と先ほど見た人形を取り出すNidaさん
018L.jpg
「ケーキの飾りなんですよ」と見せてくれた。ケーキ用の人形だったのだ!

店の人形はケーキの飾りだった。

例えば新郎新婦の人形は結婚記念、赤ちゃんの人形は出産記念、女性の人形は女性が主役の誕生日記念など向けのケーキなのだ。恐竜やヒーローは子供の記念日向けだ。フィリピン人にはアメコミも人気だからスパイダーマンもあった。

しかもどれもフィリピンからもってきたものだというのだ。すごい!

購入は本当に喜んでくれるフィリピン人のお客さんに譲り、今回はケーキの横において写真を撮らせてもらった。

019L.jpg
カップルも子供も赤ちゃんも皆大好きデイリーポータルZケーキとなりました。

フィリピンの庶民の伝統、海外に残る

ケーキはもちもちして手作り感があり、実に美味しかった。チョコレートケーキの値段は1600円。いいのかそんな安くて。

「最近機械でケーキに印刷できるようになったでしょう?私も不安でねえ」

いやいや、昔ながらの素朴なフィリピンケーキが買えるのだ。こんな貴重なケーキはここでしか食べられないので安心してください。

住所:岐阜県可児市土田3808−2
Facebook:Nida’s Canteen & Bakeshop

Source

タイトルとURLをコピーしました