Tony Fadell氏と言えば、「iPhone」プロジェクトの主要メンバーとして、テクノロジー業界で半導体に関する極めて重要な決定の1つを下した人物であることは間違いない。そのFadell氏が英Armの取締役に就任すると、同社が現地時間11月3日に発表した。同社がスマートフォンからデジタルライフのさらに多くの分野へと進出するのを手助けするという。
提供:Stephen Shankland/CNET
Fadell氏が「iPod」とiPhoneにArm製チップシリーズを採用するよう促したおかげで、スマートフォン業界におけるArmの有利な立場が固まった。Armのプロセッサーは現在、Appleの「M1」「M2」プロセッサーや、Amazonの「Graviton」のようなチップ設計を採用したデータセンターのおかげで、PC市場に浸透しつつある。
Fadell氏は米CNETの独占インタビューで、完全な製品を設計した自身の経験が、Armがプロセッサー設計の方向性を決めるのに役立つと期待していると述べた。
3日までFuture Shapeという社名だった投資コンサル企業Build Collectiveのプリンシパルを務めるFadell氏は、「私は、もっとシステムレベルの発想をもたらせる。(中略)私はエンドユーザーについて考えている」と語った。チップがメモリーや電源、センサーなどの部品とどのように組み合わさって完全な製品を作っているかを理解していると言う。
Fadell氏は、重要な時期にArmに加わる。同社はプロセッサー設計によって、生活の中に存在するデジタル機器の数と重要性を大きく引き上げたいと考えている。そうした思いは、自動運転車やスマートウォッチ、セキュリティ用ビデオカメラなどの機器や、スマートスピーカーに組み込まれたデジタルアシスタントなどのオンラインサービスに表れてくるだろう。
同氏はiPodにArmのチップを選択したが、iPhoneに採用するにはより強い説得が必要だったという。当時Appleの最高経営責任者(CEO)だったSteve Job氏がIntelのチップを好んだためだ。Fadell氏はAppleを去った後、自身が創業し後にGoogleに買収されたサーモスタットメーカーNestで、再びArmの設計を選択した。
同氏がArmの設計を他の選択肢より好んだ最大の理由は、低消費電力という点が重視されていることだ。性能のためにバッテリー持続時間を犠牲にするべきではない。PCやサーバーでも消費電力が大きな制約となっている今、低消費電力を重視するArmの姿勢は重要性を増していると、同氏は語った。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。