2022年10月末、Metaが新型VRヘッドセットの「Quest Pro」を発売。その数日後には、ソニーがPlayStation 5向けにVRヘッドセット「PlayStation VR2」の販売価格を発表しました。次世代VRヘッドセットが続々登場する中、「VRヘッドセットは高価すぎる」と海外メディアのThe Vergeが指摘しています。
VR is still too expensive – The Verge
https://www.theverge.com/2022/11/3/23439183/vr-virtual-reality-psvr2-playstation-meta-quest-pro-apple
2022年11月2日、ソニーのPlayStation 5(PS5)向けVRヘッドセット「PlayStation VR2(PS VR2)」の発売日が2023年2月22日になることと、希望小売価格が税込7万4980円になることが発表されました。一方、2016年に発売された1世代前のVRヘッドセットである「PS VR」は、PS VR2よりも約3万円も安価な税別4万4980円でした。
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Metaも新型VRヘッドセットの「Quest Pro」を発売したばかりです。Metaは複数のVRヘッドセットをリリースしていますが、Quest Proはスタンドアローンで動作するハイエンドモデルであるため、その価格もかなり高額な税込22万6800円となっています。
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さらに、Appleも独自開発のVR/ARヘッドセットを間もなくリリースするとウワサされており、次世代VRヘッドセットが続々登場する中で、VRヘッドセットの購入を検討する人も着実に増えているはずです。そんなVRヘッドセットの新しい波に乗ろうと考えているというThe Vergeのジェイ・ピーターズ氏は、「あまりに高額過ぎてショックを受けた」と語っています。
PS VR2の希望小売価格は税込7万4980円ですが、これを使うには別途PS5を購入する必要があります。PS5の販売価格は通常版が税込6万478円、ディスクドライブのないデジタル・エディションは税込4万9478円です。つまり、PS VR2でVRを楽しむには最低でも15万円以上の支出が必要となります。Quest Proは単体で動作可能なものの、販売価格は税込22万6800円と非常に高価で、AppleのVRヘッドセットも2000ドル(約29万6000円)以上になると予想されています。
これらのVRヘッドセットについて、ピーターズ氏は「公平に見て、これらのヘッドセットには高度な技術が詰め込まれています。PS VR2は有機ELスクリーンと、周囲の動きをトラッキングできる4つの内蔵カメラ、大幅に改善された専用コントローラーなどを備え、初代PS VRから大きくアップグレードを果たしています。Quest ProはQuest 2よりもずっとスマートで、顔の動きを追跡する内向きのカメラを備え、フルカラーのパススルー映像を見ることもできます。Appleのヘッドセットでは、目で見て決済することができるようになるとウワサされています」と述べ、技術的な観点で見ればこれらのVRヘッドセットに十分に満足できると主張。
しかし、VRヘッドセットが一般にも普及していく中で、テクノロジー企業はより安価な価格帯に寄り添う必要があるとピーターズ氏は語っています。実際、MetaのQuest 2は発売当初は「3万円台で購入できるスタンドアローン型VRヘッドセット」として注目を集めました。Quest 2の価格帯はNintendo Switchと同程度であるため、より多くの人がVRに触れる絶好の機会になったと主張しています。
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そんなMetaが新しくリリースしたのは、完全プロ向けに位置づけられているQuest Proです。そのため、「ほとんどの人にとって買うべきVRヘッドセットはQuest ProではなくQuest 2です」とピーターズ氏。さらに、「多くの人にとってQuest 2は十分な性能を有していると思います。それでもハイテク企業が極端にハイテクで高価なVRデバイスを押し売りするのはなぜでしょうか。ハイエンドモデルは憧れかもしれないし、最終的にコストを下げるために限界に挑戦する必要があるということかもしれません。しかし、Quest ProにQuest 2の3倍以上の価値があるでしょうか」と疑問を呈しています。
また、「独自にキラーコンテンツを生み出す代わりに、有名なVRスタジオを買収する」というMetaの方針が、VRを成功に導くことができるのかにもピーターズ氏は懐疑的なようです。そのため、ピーターズ氏は次世代VRヘッドセットの中でもPS VR2に特に注目しており、「初代PS VRで、ソニーは意味のある素晴らしいVRゲームを作りました。そのため、PS VR2でも同じような成功を収めることが期待できます。私の同僚であるビクトリア・ソングは、ソニーのPS VR2の看板タイトルとなるであろう『Horizon Call of the Mountain』に驚かされました。『Horizon Call of the Mountain』はソニーがPS VR2のために特別に作成したものであるため、素晴らしいゲームになるであろうと期待することができます」と述べました。
ただし、PS VR2はPS VRとの互換性がないということを理解する必要があります。つまり、ソニーはPS VR2向けにVRゲームライブラリをゼロから構築し直す必要があるというわけです。ピーターズ氏は開発者がPS VR2向けにコンテンツを開発してくれるであろうことを期待しながら、「PS VR2を発売と同時に購入することは、プラットフォームの将来に大きな賭けをすることになります」と述べ、発売から一定期間が経過して、コンテンツの拡充具合を見てから購入を検討することが賢い選択であろうとしています。ただし、ピーターズ氏はすでにPS5を所有しているため発売と同時にPS VR2を入手することを狙っているそうです。
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