米Micron Technologyは11月1日(現地時間)、業界初となる1β(ベータ)プロセス製造のDRAM(LPDDR5X)の量産を開始した。1ダイあたりの容量は16Gbで、転送速度は8.5Gbps。従来の1αプロセスと比較して電力効率が15%、容量密度は35%向上したとしている。
なお、メモリやNANDは、CPUやGPUとは構造が大きく異なるため、プロセスルールの下一桁の数字を明らかにしていないのはほとんどだが、Micronによれば「13nmプロセスクラス」としている。また、業界では微細化においてEUV露光(極端紫外線露光)への移行が進んでいるが、Micronでは独自の高度なマルチパターニング技術により、引き続き液浸露光を採用する。
1βプロセスのLPDDR5Xでは、JEDECで新たに定められた、強化された動的電圧/周波数スケーリング拡張コア(eDVFSC)をサポート。これにより動作周波数のティアを最大3,200Mbpsまで引き上げつつ、省電力関連の制御により電力効率性を高めた。
また、新プロセスの導入においてキャパシタの最適化も重要であるとしており、メモリアレイの縮小のみならず、センサー、アンプリファイア、ビットラインなどの最適化を行ない、性能向上を図ったとしている。
2日に開かれた記者発表会では、同社 DRAMプロセスインテグレーション担当バイスプレジデントのティ・トラン氏が、新プロセス導入の背景について説明。現在、モバイルデバイスでは写真やビデオといったデータが日常的に増えているだけでなく、AIや自動車分野でも多くのデータが生み出されており、この拡大するデータのニーズに応えていく必要があると説明。
その中で同社は、業界に先立って176層のNANDや232層のNAND、1αプロセスのDRAMといった技術を投入し、他社をリードしてきたが、この姿勢は今後10年間続けていくことをMicronは決心しており、その中でさまざまなイノベーションを生み出していく必要性があるとした。
なお、なぜPCやサーバー向けではなくモバイル向けのLPDDR5Xからなのか、という質問に対しては、モバイルデバイスが現在もっとも進化が著しく、最先端のアプリではARやAIといった複雑な処理を実行する中で、高速なメモリへのニーズが高まっており、そしてそれらの処理を低消費電力で行なう必要があるためだと答えた。
コメント